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『事件?』



「えぇ。ずっと先輩に嫌がらせというか、不当な暴力を受けていたある下級生がカッターナイフをポケットに入れて登校していることが分かったの。」


「ひっ…それってもしかして…。」

「真意は本人にしか分からないけれど、先生に指導室に連れられた時に[やられる前にやらなきゃ]という言葉を繰り返していたそうよ。不当な暴力を受け続けて、恐怖心から相当追い詰められていたようね。」

「でも、何でカッター持ってるって分かったわけさ?隠し持ってた訳じゃないの?」

「それが、その人生徒昇降口で筆箱を落として中身を散らばらせたみたいで、俯いて拾っていることに気付いた上級生の女子達が手伝おうと近付いたの。」

「親切な人もいたんですね。」

「えぇ、全員がそんな人達では無かったから。近付いた時に彼に見えたのは、3年生であるということを示す上履きの赤いラインで…。」

「[囲まれた]と思ったってことっすか?」

「でしょうね。突然叫びながらポケットからカッターナイフを出したそうよ。泣き叫びながら手を振り回してね。」



恵里の話に全員が言葉を失う。



「怪我人は出なかったんですか?」

恐る恐る亮が尋ねる。



「幸いなことに、カッターで怪我をした人はいなかったのだけど、避けた先輩の1人が下駄箱の角に腕をかすめたらしくて、少しだけ出血していたそうよ。その場に居合わせた他の生徒達が騒いだことで先生が駆け付けたというわけ。」

「そんなことが……実際にあるんですか…?」

「信じられないでしょうけど、確かに和正が入る前の年に起きた事よ。」

「でも俺が入学した時とかって普通に先輩ら良い人だったのに…その後で何かあったんすか?」

「先生方が来てすぐにその生徒は指導室に連れて行かれたわ。最初は落ち着きがなくて、ずっと興奮状態だったらしいんだけど、事情を聞きつけた友人達が主になってその生徒を落ち着かせて、それからの事情聴取だったそうよ。うちは当時の生徒会長だけがその場に立ち会ったわ。会長から聞いた話では、[何もしていないのに][先輩って何なんですか?][ただ1、2年早く生まれただけで][何で自分が][やられる前にやらなきゃ]と呟いていたそうよ。その日はなんとか落ち着いて帰ったんだけど、それからその生徒はしばらく学校を休んでいたわ。保護者も知らなかったみたいで何度か学校に事情を聞きに来ていたわ。」


「親御さんには言えなかったんでしょうね。」

「それは辛かっただろうね…。」

「なぜその生徒が標的になったのかというところが気になるがな。」

「なぜでしょうね。それは私達にも最初は分からなかったわ。」

「それで梶本先輩…どうなったんですか…?」

「結論から言えば…転校して行ったわ。」

「その苛めてた先輩達がですか?」

「彩…そうね、その先輩方と…うちの生徒会長がね。」



『え…。』



「何で~!?何で生徒会長まで!?」

「自分が何も出来なかったから…とかっすか?でもそれで会長が転校する訳ないっすよね!?」

「確かに…何故だ?」

想像していなかった事に興奮する京香と和正、豪は腕を組んだままこてんと首を傾げた。


「分かった!!実は生徒会長が黒幕で、他の生徒を操ってたんだ!!!「違います。」おうぅぅ…。」

どや顔で自分の推理結果を述べた義孝を速攻で恵里の発言が打ち砕く。


「それで…生徒会長は何で学校辞めてしまったんですか…?」

「拓未は何故だと思う?」

「え…っと、事件の後で生徒会長が何かしらやったんだろうな…とは思うんですけど…。」

「そうね。彩は?自分が3年の生徒会長だったらどうしたと思う?」

「私ですか!?うーん…とりあえず、事件が起きるまでに関わっていた先輩を呼んで…注意とかですかね?でもな…うーん…生徒会長の役割がイマイチ理解出来てなくて…すいません(汗)」

「いいえ、十分よ(微笑)実は…生徒会長はずっとこのことに関して悩んでいたのよ。先輩が後輩に理不尽な暴力をしているという事実を知って何度もその解決に動こうとしていたわ。でも…学校側に止められていたのよ。被害を受けている後輩にも何度も接触しようとしていたんだけど、その度に気付いた周りに止められてね…よく[知っていて何も出来ないなんて加害者と一緒だ]だとか、[傍観も悪でしかない]と落ち込んでいたわ。人一倍正義感の強い人だったから…。」


「駄目だって分かってんのに何も出来ないって、相当辛かっただろうね。」

眉間に皺を寄せて義孝が言う。


「そうでしょうね。そして、事件が起きてしまった。それこそ生徒会長はショックを受けたはずよ。でも、何も出来なかった自分がショックを受けても良いのかとさえ悩んでいたわ。


ここからが、生徒会長が学校から去ることになった事についてなんだけど…。多くの先生が、各教室、指導室に集中している時に、生徒会長はそもそもの原因になった3年生達を空き教室に呼び出したのよ。元々真面目なタイプでもない先輩方だったからあまり担任の先生も彼らの不在に疑問を抱かなかったみたいなんだけれど…。」


「それで…?呼び出してどうしたの?」

「会長は彼らに謝罪するように求めたわ。ここまで人を追い詰めて、時間の経過と同時に許されるなんて彼は絶対に納得出来なかったから。何度も謝罪するように話したんだけど…。」

「反省しなかったんすか?その先輩ら。」

「えぇ。」

「はー?自分達のせいでそんな事件が起きたのに!?」

「そうね。事件の直接の原因は自分達にはないし、それだけでそんな行動に出るのはその生徒がおかしいからとまで言ったそうよ。」

「己の犯した過ちを認めないとは…。」

「許せませんね。」

「その言葉にずっと我慢していた会長の堪忍袋の緒が切れたのよ。」









「なぁ、君らだって分かってるでしょ?こんなことになるまで、自分達があの子を追い詰めたっていう認識はあった?あってもなくても起きてしまったことは事実、ちゃんと謝罪して下さい。」


「は?何であいつが起こした事件と俺らが関係あるって言えるわけ?」

「追い詰めたっていう程俺ら大したことしてないと思うけど?」

「大体、こんなことになったの全部俺らのせいみたいに言うけどさ、先生らだって気付いてて何も言わなかったし、あんただってあいつのために何かしたのかよ?」

「だよな。生徒会長って名前だけで、あんたも見てるしかなかったんだろ?」

「俺らはまだ自分達で良い事悪い事分かんないわけ。それに、お前は知らないかもしんねぇけど、俺らだって1年の時何人かの先輩に囲まれてボコられたりとかあったんだよ。」

「そうそ。毎日体に傷作って帰ってさ、親にも言えないわけ。先輩にやり返せるわけなんてねぇし。」

「最上学年になった今、あの人らと同じことしてるだけなのに、何で俺らだけ責められるわけ?」

「俺らは先輩からの暴力にただ黙って耐えた。カッター持ってきたあいつがおかしいんだろ?」

「弱すぎなんだよな。俺らの時はもっと忍耐強かった。」



「君達が辛い思いをしてたってことには気付けなかったけど、じゃあ何で自分がした辛い体験を他の人にもさせようとするわけ?しかも、君達はあの子だけを集中的にいびってたよね?他の部活とかでも何度か騒ぎはあったけど、それは顧問の先生が落ち着かせて解決していった。君達はあの子とは部活も違うよね?なのに何で彼を選んだわけさ。」



「会長は知らねぇんだ(笑)あいつの兄貴…あいつの兄貴が俺らをいびってた先輩だからだよ!!」

「見た瞬間すぐに分かったよ。どことなく顔は似てるし。違ったのは雰囲気だけかな。兄貴の方は見るからにヤンキーみたいだったのに、弟はすげぇ情けないかんじだし。」

「これはさ、俺らからしても[復讐]なんだよね?」



「復讐?君達と先輩の間に何があったか分かっていない弟を巻き込んでおいて復讐?」



「そうだよ!家族なんだから、兄貴の罪は弟の罪だろ?」

「ちょうど先輩は高校他県に行ってくれたからな。」


「復讐…そうか…復讐ね…。」



3年生達の言い分を聞いて少しずつ彼らに近付く。

なんの罪悪感も感じていない彼らはそれを警戒することもなかった。

すると突然、1人の制服を強く引っ張り、開いていた窓から体を投げ出させるような形で外へとその体を押し込んだ。

突然のことに、無反応だった周りは状況を理解した途端に生徒会長を止めに入る。



「おいっ!!会長何やってんだよ!!?」

「落とす気かよ!!」

「だったら…何?」

「はっ!?ふざけんなって!!まじ、手離せよ!!」

「離したら…落ちちゃうよ?良いの?」

「待てっ!!離さないでくれ!!」


上半身を背中から外へ投げ出された生徒が叫ぶ。



「俺から…離れてくれないかな?」

静かに言い放つ会長の言葉に、止めるために彼を掴んでいた3人が離れる。



「あのさ、俺も結構我慢の限界だったんだよね。確かに俺は同学年の君達が下級生の時に感じた辛さに気付いてあげられなかった。君達が先輩を憎く思う気持ちがあっても仕方ないと思う…。でもさ、だからって関係のない後輩を巻き込んで良いってことにはならないと思うんだよね…。それが例え、君達に傷を負わせた人の肉親だったとしてもさ…。復讐…ね。それが相手に危害を加えても良いっていう正当な理由になるんだったら…俺が今ここで君を落としたとして、彼のために復讐しましたって言えばそれで収まるんだよね…?」



「待てって会長!!それは絶対にやめろ!!分かってんだろ!?お前がやってんのは…。」


「分かんないなぁ…俺も君達と同学年だからさ、何が正しくて何が悪いかなんて分かんないんだよ…(微笑)ただ…誰の言葉だったかは覚えてないけど…1つだけずっと頭に残ってる言葉があってね……[人を苛める時には、その後で本人・もしくはそいつを大切に思う人に殺されても良いって覚悟が無ければいけない]っていうの…。」



「なんだよっ!!会長、あいつと知り合いなのかよ!!」

「いや…面識はあっても話したことはないよ?」

「じゃあ何で!!!!?何であんな奴庇うんだよ!!!?」


「はぁ…あんな奴?何を思ってあんな奴って言ってんのかな?これでも生徒会長…君達よりは生徒のことよく分かってるつもりだけど…。それに…庇う?俺は君達の敵でも彼の敵でもない。…生徒の味方だけど…?」



「何で生徒の味方っていう奴がその生徒落とそうとすんだよ!!ここ3階だぞ!!下手したら怪我だけじゃ終わらないかもしれないっつうのに…っ!!」


「教えてあげてんだよ…[人は痛みを知るまで人の痛みを分かれない馬鹿]だからね…。彼はこれ位の窮地に立たされたんだよ?君達のくだらない復讐に巻き込まれてね…。今の君なら分かるよね…?」


「だからって…頼む…落とさないで…。」


泣きながら許しを請う生徒を冷めた目で見る会長。

周りは恐怖で足がすくんでしまっている。




ガララララッ!!




「お前ら!!何してる!!?」

「先生…。」

「三笠[みかさ]…お前何を?すぐにそいつを中に引き入れろ!!」


「はぁ…分かりましたよ。本当に先生方は俺のやることなすこと邪魔する…。」


ブツブツ言いながら掴んでいた生徒を乱暴に中に引き入れる生徒会長の三笠。

落とされるかもしれないという緊張感から解放された生徒は少しパニックを引き起こしている。


ふと見上げた教室の窓から生徒の半身が投げ出されていることに気付き、慌てて教室に飛び込んできた教師2人は状況が読めないでいた。


1人が三笠から生徒達を引き離し、1人は彼と対峙していた。



「三笠、ここで何をしていた?」

「先生方が行わない生徒指導を俺が代わりに行っていたまでです。落とす気なんてありませんでしたよ。ただ、他者によって与えられる[痛み][恐怖][苦痛]を彼らに理解させただけです。」

「今回のことに関しては、俺ら教師陣のみで動くからお前は何もするなと前前から言っていただろ!!」

「聞いてましたよ。でも、先生方がもたついていたせいで…保身にばかり走っていたせいで今回のようなことが起きたんでしょ?やり返すことも出来ずにただ耐え続けた生徒の味方になることもなく…どうせ時間が解決するとでも思って放置してたんじゃないんですか?残念ながら先生方が望む方向に事はいきませんでしたがね。」

「お前…。」


「当然事の発端は彼らに原因がありますが、その元を辿れば彼らをいびっていた先輩、更に元を辿れば…俺が言いたいこと分かりますよね?先生はずっとこの学校にいるんでしょ?まさか今回まで全く気付いてなかったとは言わせませんよ。生徒会資料に残ってますから。生徒からの[目安箱]。いくつも上級生からの苛めに悩む下級生の助けを求める声が残っていました。目を通していないはずが…無いですよね?」

「っ…確かに、そのようなことがあるという事実は認識していた。しかし、教員としても苛めに関しては慎重に動かざるを得ないんだ。下手に庇って更に苛めを助長させたらそれこそ生徒が潰れてしまう。」

「先生方の言い分も勿論理解できます。だから、結局悪いのは全員なんですよね。傍観者も、気付いてない人も、当事者達だけじゃなくて、皆悪いんですよ。俺も…一緒なんですよね。先生達の言うこと振り切ってでも、彼を守れば良かったのに、結局俺も自分可愛さに何も出来なかったんですよ。駄目な生徒会長ですね。」


寂しそうに笑う三笠に誰も声をかけることが出来なかった。










「それで、その後全校集会が開かれて、今回の事の説明、以前までにあった事実も含めて学校から説明があったの。最後に生徒会長が自ら挨拶したいと言って、自分がした事を隠さずに全て話したわ。生徒達はすごく驚いていたけど。最終的に会長が言ったのは[転校するということ]。両親が離婚して母方の実家に行く為に転校は最初から決まっていたことなんだけれど、学校を去る前にどうしても解決したかったようね。」

「なんか…ドラマみたいだね…。」

「そうだな。しかし、事実は小説よりも奇なりという言葉があるように、これもまた俺達では想像できなかった事実だ。」

「それで…他の先輩達は?」

「しばらくショックで学校を休んでいたんだけど、居づらくなったんでしょうね、4人共転校して行ったわ。」

「あのっ!!…苛められていた生徒は?」

「しばらくはその生徒も休んでいたんだけど、友達と一部の先輩達の協力で2か月程で登校するようになったわ。」

「そうですか…良かったぁ…。」

「その後は私が生徒会長を引き継いで、徹底して上下関係における苛めの撲滅に努めたというわけ。」

「梶本先輩…当時1年ですよね?1年で会長になったんですか…?」

「会長からの指名でね…(苦笑)」

「あれ?でも俺が1年の時、恵里ちゃん先輩書記じゃなかったっすか?」

「そうね。新入生の入学と同時に学校も心を入れ替えていくことにしたから、和正が入学する少し前に新学年での生徒会を結成したのよ。」

「あ、なるほどー。」


「それ以降の学校生活はいかがだったんですか?」

「それは俺が言いたい!!すっげぇ楽しかったぜ?今日聞くまでそんな事があったなんて俺は知らなかったし、先輩後輩だからっていうのでなんか騒ぎになることも無かったし!!ね!?恵里ちゃん先輩!!」

「そうね(微笑)おかげさまで。」



「結局…[先輩][後輩]で大切なものって何なんですかね…?」

「う~ん…俺は、その呼び名に関わらず、人間としてどう接するかだと思うけど、たっくんはどう?」

「俺は…そうですね…生まれるのが早い遅いで優劣なんて無いし…自分の置かれた立場を理解した上でどう動くか…それが大事だと思います…。」

「それぞれ、言葉に惑わされてその義務を履き違えてるのかもしれませんね。」

「そうだな!![先輩だから][後輩だから]って考えるのが悪いんだって!!」

「そういうの無かったらきっともっと仲良く出来るんだろうね~。」

「そうね(微笑)彩…どうかした?」



皆が結論に迫ろうとする中、俯いている彩に恵里が声をかける。



「いえっ…えっと…私、改めて弁論部で良かったなぁって思って…(照笑)」

「ぷっ(笑)何それ彩ちん可愛い!!」

「先輩らが優しいってか!?まぁ俺はあややのお兄ちゃんだからな!!」

「自分も彩さんや拓未君のような後輩が出来て嬉しいですよ(微笑)」

「私もよ。」

「俺も…先輩達みたいな先輩になりたいです…。」

「篠田ならいくらでも優しい人間になれるはずだ。」

「豪カッコイイこと言い過ぎ!!俺も俺も、カズも亮も京香も彩ちゃんもたっくんも大切な後輩だからね!!!!」

「「俺ら/京香達にとって義孝はそうでもないけどね(笑)」」

「ひどーーーー!!恵里ーーー!!(泣)」

「はぁ…何はともあれ、大切なのは[先輩後輩]という枠ではなくて、[人と人]の関わり合いと理解すること…ということで良いかしら?」

「そうですね。誰もが、先輩であり、後輩でありますから。」

「それでオッケー!!(笑)」

「私も!!それで大丈夫です!!」

「ふふ(微笑)じゃあ亮、結論としてまとめておいてくれるかしら?」

「分かりました。」




結論:先輩も後輩もその名の枠にとらわれてはいけない。

    人と人の関わりだということを忘れなければ友好な人間関係が築ける。




「では、いつもより少し長くなってしまったけど、今日の部活はこれで終わりにしましょう?」

『はい!!』

「京香。」

「うん!!じゃあ皆気を付けて帰るように!!月曜日は、えっと…「3時45分よ。」そうだった(笑)3時45分には部室にいるようにしてね!!じゃあ…解散!!」


『お疲れ様でした!!』





帰り支度をする部員達の中、恵里に視線を向ける和正。





自分が入学する前にあった壮絶な事実を聞き、改めて恵里を尊敬するのであった。





終わり。












<生徒会長転校の時>



「三笠会長!!転校だなんて、俺達聞いてないぜ!?」

「あ…皆悪いね…。」

「まさか会長!!今回の事に責任を感じて…会長が罪悪感を感じる必要なんてないです!!」

「違うよ(苦笑)転校は今年の3月にすでに決まってたことだからさ…。」

「でも、会長がいなくなったら僕達どうしたら良いかっ…。」

「そんなことないよ。俺がいなくても、皆ちゃんとやっていけるはずだよ?(苦笑)」

「何で突然転校しちまうんだよ!?」

「両親がね…離婚するんだよ。母方の実家で暮らすことになるから苗字三笠でもなくなるんだよね(苦笑)これからは母方の苗字久坂[くさか]になるから久坂遼二[くさかりょうじ]になるし。だからそれを機に生徒会ともお別れってわけ(苦笑)」

「それが何だというんですか?」

「梶本…?」

「会長は会長です。苗字が父方のものから母方のものに変わろうと会長は遼二。名前まで変わるわけではないんですから、私達と完全に別れるということにもなりません。違いますか?」

「……あははっ(笑)違わないよ。…ありがとう、恵里ちゃん。そしたら、俺からお願いあるんだけど良いかな?」

「私に出来ることなら。」

「じゃあ…俺がいなくなった後の生徒会長、恵里ちゃんにお願いしたいんだけど良い?」

「私…ですか?」

「ちょっと…っ!!恵里はまだ1年生なのよ?ただでさえ、少し学校が混乱している状態なのに恵里に後を頼むなんて重荷過ぎない?」

「重荷だろうね…。でも俺は、恵里ちゃんに頼みたい。今回のこと、君もかなり辛かったでしょ?同じクラスの子があんなことになって。先生方に行動を制限されている中、君は彼の靴箱のゴミや机の落書きを処理してたんだから…(微笑)」

「お気付きだったんですね…。…分かりました、私で良ければ会長の後を継がせて頂きたいと思います。ただ、条件として私の会長としての任期は新入生が入ってくる前までにして下さい。」

「ふーん…ちなみに何でかな?」

「今回の事は決して忘れてはいけないことです。しかし、新入生にまで知られる必要もないこと。変に不安を煽ることを避けるためにも、次年度からは通常通りに3年生から生徒会長を出すべきです。」

「なるほど…うんっ!!やっぱ君にして正解だ!!(笑顔)皆も良いかな?」

『勿論!!』

「恵里ちゃんのことサポートしてあげてね。あ、じゃあ俺もう迎え来てるから行かなきゃ。皆…またね?」

「会長!!」

「ん?」

「今までお疲れ様でした!!」

『お疲れ様でした!!』

「また…またどこかでお会いしましょうね?(微笑)」

「……ん!!俺の事忘れんなよ!!(笑顔)じゃ!!」








「…それじゃあ、早速今回の事の報告書、これからの対応について話し合いを始めましょう。」

『はい!!』

「(微笑)」

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