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冒険者登録

世界の最高神(謎のおじいさん)の悪ふざけによって、危険度SSの新大陸へと放り出された広金兼彦。

彼は今、巨木の森を抜けた先にある、フレンドリア王国とは比べ物にならないほど巨大で堅牢な、新大陸独自の冒険者ギルドへと歩みを進めていた。

兼彦「……よし。知力F-の『省エネモード』のままだと、受付のお姉さんとの会話が噛み合わなくて一生不審者扱いされるな。ここは……リミッター解除」

兼彦が脳内で意識を集中させると、彼のオーラがカチリと変化した。

常時発動している『脳内省エネモード』のボケ状態を少しだけ押し上げ、『50%フォルム』を起動したのだ。


【兼彦:50%フォルム(通常生活用)】


• 知力・体力・パワー・スピード:すべて【D】(一般的な男子高校生並み)

• メリット:普通の会話や手続き、日常生活が完璧にこなせる。

• デメリット:脳のメモリを半分使っているため、100%覚醒する『自動覚醒スイッチ』が著しく発動しづらくなる。

兼彦(50%)「うん、頭が普通に働く。よし、これでギルド登録に臨もう」

兼彦はいつも通りサッカーボールを片手に抱え、ギルドの重厚な鉄の扉を押し開けた。

中には、フレンドリア王国よりも数倍凶悪な、全身に傷を負ったSランクやSSランクのベテラン冒険者たちがひしめき合っている。彼らが一斉に、どこか頼りない「ALL D」の兼彦をギロリと睨みつけた。

兼彦(50%)「(すげえ殺気。でも、50%フォルムのおかげで、ビビらずに冷静でいられるな)」

兼彦はまっすぐ受付カウンターへと向かい、ベテランの風格を漂わせる新大陸の受付嬢に声をかけた。

兼彦(50%)「すみません、冒険者登録をお願いします」

受付嬢「あら、若いお坊ちゃんね。この危険な新大陸に、よく生きて辿り着いたわ。いいわよ、じゃあこの最高級の『魔力水晶』に手を置いてちょうだい」

兼彦が、水晶にスッと手を置く。

ピカァァァッ!と眩しい光が放たれ、受付嬢の持つ羊皮紙に文字が浮かび上がった。

受付嬢「えーっと、広金兼彦くんね。ステータスは……え? 知力D、体力D、パワーD、スピードD……?」

受付嬢は、あまりの数値の低さに眼鏡の位置を直して、二度見した。

受付嬢「う、嘘でしょ……? ここはね、一般人の平均が【C〜B】、出てくる魔物が【S〜SS】の世界なのよ。あなた、戦闘能力がその辺の野生のウサギ以下よ!? 今までどうやってこの島を歩いてきたの!?」

ギルド内の荒くれ者たち「「がははははは!!! おいおい、ALL Dのゴミ虫が迷い込んできたぞ!!!」」

フロア中から大爆笑が沸き起こる。

しかし、兼彦は50%フォルムの冷静なメンタルで、ただ「あはは、そうですか」と苦笑いするだけだった。

ギルド長「おい、そこまでにしておけ。……小僧、ただのゴミ虫が、そのサッカーボール1個でこの森を無傷で突破できるはずがなかろう」

ギルドの奥から現れたのは、新大陸のギルドを束ねる、全身に竜の傷を持つSSランクのギルド長。彼は兼彦の「ALL D」のステータスに隠された、底知れない『不気味さ』を本能で察知していた。

ギルド長「お前、本当の力を隠しているな? 目的は何だ?」

兼彦(50%)「目的ですか? ……この広い島で、思いっきりサッカーを楽しみたい。それだけです」

ギルド長「サ、サッカーだと……!?(冷や汗)」

兼彦の純粋すぎる(50%なのでちょっとズレている)答えに、新大陸のトップであるギルド長すら、底知れない怪物の気配を感じて一歩引いてしまうのだった。

こうして、50%のリミッターをかけたまま、新大陸で「エンジョイサッカー」を始める兼彦。

これが、のちに瑛人(えいと)たち島遠征組を震撼させる、最強の男の新大陸での第一歩だった――。

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