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本庄茂平次の裁判

 残るは町田亘、井上伝兵衛、熊倉伝之丞殺害という私罪と鳥居の命による政治絡みの罪を抱える厄介な本庄茂平次の裁判のみ。


 本庄は一度『呪詛事件』で裁かれていて、本庄の飼い主であり南町奉行だった鳥居の判決で『無罪』となっている。

 さらに(だま)された被害者であるはずの修験者・了善を『有罪』として裁いてしまったことは公儀の汚点となっている。その汚点を公にさらせないという難しい裁判になる。

 事件から時間も経ち過ぎている上に物証もほとんどない中で裁かなければならない。

 面倒事を担当したくない、責任を取りたくない者達は遠山景元に全てを押し付けた。


 以前は北町奉行、今度は南町奉行である。難しい裁判であれ、遠山にとっては7年も待ち続けた『仇討ち』である。用意を万端に整えて悲願を達成する時を待つ。



 弘化3(1846)年4月、本庄茂平次の取り調べが南町奉行所で行われた。


「韮山代官・江川太郎左衛門のもとで手代をしていた『町田亘』とそなたが同じ下谷山崎町の裏長屋に住んでいたことは調べがついている。

町田を殺害したのはそなただな。」


(町田?)

 

 井上伝兵衛と熊倉伝之丞の殺人容疑だけだと高をくくっていた本庄は内心驚いたが、表情を変えず、


「いいえ、町田とは本法寺まで一緒に行っただけです。町田が『世話になった人の墓参りに行く』と言うのでついて行っただけです。」


「それは町田を見張るためか?」

「いえ、暇つぶしです。」

「『世話になった人』と言ったな、町田が世話になった人とは誰か知っているのか?」

「さあ、存じません。」

「だろうな、『あの事件』が起きた時はそなたはまだ江戸に居なかったからな。」

(…?)

「町田が『世話になった人』は『柏木林之助』。天保2年に10人以上を殺傷する『乱心事件』を起こした人物だ。」

(…!)

松方弘樹さんの『遠山の金さん』が好きだったんです。

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