就活というクソゲー ~人間観察編~
舞もこの時期になると就活の終盤に向かい、元の生活にだんだんと戻っていく時期にあった。
基本的にクソゲーであった就活だが、その中でも舞は多少の楽しみを見出していた。
就活ではいろんな人と出会う。
特に閉鎖空間の研究室に所属していると、その新鮮さは大きい。
例えば、同じく就活を行う学生や企業説明会を担当している社員、採用担当の面接官。
皆、これまで生きてきた経験で積み重なって出来ている思想やそれを表現する方法が違う。
人によっては何も包み隠さず大っろげに話す人もいれば、相手の反応をみつつ、自分の思考を悟られないように情報を小出しにするものもいる。
舞は、その中でも相手の思考や意図を探りながら発言するタイプだったため、多少試行する時間が多くなってしまう節があった。
しかし、この性格もあって、面接や面接練習の場では、質の高いものとなったように思える。
今回は、彼女なりの相手の測り方を記録としてここに残しておく。
①まず第一に、相手の背景情報を知ること。
相手が同じ就活生なのか、面接官なのか。
年上なのか、年下なのか。
どの程度の立場にある人なのか。などなど
これらは多くの場合事前に知りえないので、その場で対した際に瞬時に判断することになるだろう。
少なくとも自己紹介される瞬間がある。その際に、どんな立場にあるかは教えてくれるだろう。
例えば、面接では、人事の採用担当なのか、志望した業種の採用担当なのか、あるいはその業種の部長クラスなのか。この違いによってそれぞれが同じ質問をされたとしても、その意図は多少違ってくる。
相手を知る方法だが、いわゆる肩書以外にもおおかた予想できるものはある。
まずは見た目。男性の場合、ほとんどがスーツ姿であろう。しかし、同じスーツといっても、そのグレードや質というものは人によって様々である。スーツの色や形、デザインあるいはネクタイの種類や柄。もし見れるのであれば特に靴をみるといいかもしれない。それらの違いはその人の立場あるいは性格が多少なりとも反映されるだろう。
また、女性の場合、この服装や靴といった項目に化粧と髪型というものが追加されると考えている。
※ここでの男性・女性はその人の性格の部分につながってくるので、生物学的な雌雄ではなく、自認している性別である。
特にこれはあたってると勝手に思ってるものを2,3 以下に残しておく。
※血液型性格診断のような確証もない身勝手な意見なので鵜呑みにはしないでほしいが、その人の表現型が見た目だという点では、多少それよかあたっている可能性はあると思っている。
まずは男性の場合、その人のスーツの色と靴の形をみるといいだろう。基本的にスーツの色は黒が多いと思う。しかしアンミカじゃないが、その黒の色が濃ければ濃いほど上質なもので、それなりに偉い立ち場にある人だと思ってていいだろう。そして靴の形だが、つま先の形状がそのまま、正確に紐づいていると思ってていいだろう。つま先がとんがっている靴を特に会社という場で履くことを選んでいる人は、基本ナルシスト的な部分がある。普段履きでブーツカットのデニムと合わせて履いていたりする人ならば、お洒落さんなのかもしれないが、会社という場にその靴を選ぶ人というのは多少注意が必要なのかもしれない。
次に女性の場合、スーツという決まったコスがないので、特にその人の立場や性格が見た目に表れる。決まったものがないという意味で基準を作りにくいので、その人の服装や髪型、化粧などがその場の状況とそのヒトの年齢に分相応かどうかという点に注視するといいだろう。スーツか否か、身に着けている色の種類、化粧の色、髪型、髪色、あらゆるものがその人の判断材料となりえる。それが分不相応な様子であれば、多少なりとも注意しておくといいかもしれない。
また、年齢をおおよそ見分ける方法だがないこともない。その人の肩書から予想することもできるが、女性の場合、手の甲を見ただけでも、おおかた判断できる。手の甲のしわや張り、肉付き具合によってその人の年代に加え、その人が現在どれほど苦労しているかということも分からなくはない。
相手の背景情報を知ることは、どんなことに興味や関心があり、どんな考え方をし、どういった判断基準を持っているのかということの根本を知ることになるだろう。
②相手のくせを知ること。
くせというのは、多くの場合、意図せず表に出る表現型である。くせになっている言葉遣いや行動にはその場での意図はない。なのでその場でどうしてこんな言葉を使ったのだろうとか、なんでこんな行動をとったのか、といったことを考えてもそんなに意味はない。
というよりも、くせはその人がこれまであるいは直近の生活の中で身についてしまった行動や言葉遣いなのである。なので、相手のくせを知ることは意味がないとは言わない。どちらかというと、その人の背景や思考パターンを知るうえで役に立つ。
幾つかくせの例を出そう。
例えば、その人が考えている時、その人は口に出して考える人なのか黙って思考する人なのか、その際に目線や手の動きはどうなっているのか。また、口癖では、話しの中で、「~けど」がよく語尾についたり、「一応」や「~とは思う」といった表現、あるいは普通なら表現しないその人独特の表現といったものがある。これらはその人の性格をも表すことがあるだろう。
③相手の言葉には出さない表現型を逃さないこと。
これは感覚的な部分が多く、その場のやり取りの中での勝負になるため難しいかもしれない。
人間には言葉がある。だから言いたいことを伝えられる。だがその一方で嘘もつけたり、言葉で本心を隠すこともできる。なのでその言葉にはならない表現型で、その人の本心をとらえようというのである。
あらゆる動作が相手を測るうえでの判断材料となりえるのだが、特にみるポイントは相手の表情と間の取り方である。これらは、こちらが投げかけた言葉に対して、相手が理解をしているかどうかに加え興味を持っているかどうかということの判断材料となりえるだろう。
例えば、こちらが話している時に、目線が一瞬上にずれたり、口元が曇ったりするような表情をする。あるいは、目が少し大きく開いたり、口角が少し動いたりする。その一瞬の動きをとらえ、今、相手が自分の話の中で、どこが分かりにくかった、あるいはどんなことに興味を持ったかを判断しようというのである。
この例は多少分かりやすかったかもしれない。人によってはコミュニケーションの中で普通にやっていることをわざわざ言葉にしたようになっているだろう。
しかし、これを行う際に、障壁となるものは2つある。一つはくせ。もう一つはその反応がパフォーマンスの場合である。
くせの対処方法は、知っておくことである。それだけで、あぁその人のくせが出ているなと思えばいい。
パフォーマンスの場合も実際問題、その場に出くわすとどうってことない。その行動がパフォーマンスの場合、どこかに違和感やずれが生じるものである。言ってしまえば、わざとらしいのである。
これらの相手の言葉には出さない、表現型というものを、コミュニケーションの中で、時々軽い冗談を交えつつ、その反応を捕まえることは相手を理解するうえで役に立つだろう。
④最後に、相手の言葉選びに注意すること。
おおかた、その人の背景やくせ、性格が理解できたところで、今度はその人が話す際にどうしてその言葉をチョイスしたかに注意してほしい。ほとんどの場合、言葉は意図して発しているものである。そのため、言葉にはその人の考え方や思考が乗るものである。ここを注視することで、その人の質問の本当の意図や発言の真意というものが見えてくるだろう。
これらの技は、HUNTER X HUNTERで言うところの戦闘思考力に近いものがある。
舞も完全に身についたというわけではない。
しかし、こういった技は、言葉というものを持ってしまったゆえに、多少ひねくれた部分のある人間を理解するうえでとても有効である。
いつもよりも長くなってしまったが、わざわざ言葉にするようなことでもないことを、無理やりに言葉にするとこんな感じになるである。
戦闘思考力。鍛えて損はないと思う。




