7 アーテルとの魔法練習
あれから数日、なんと座学はほとんど覚えてしまった、そんな中歴史だけは教えられることが無く、それ以外を教え込まれた。
歴史は故意に教えられなかったのではなく、転生前の一桜が適当に設定したがために誰もよく分からないだけだったりする。
それでも薄く何の確証もない歴史は残っていたりもしている。
「思った以上にシエルの覚えが良いから今日からは魔法と…剣術でも教えようか」
「……(剣術?なんで?)」
そのまま流れるように魔法の練習をする日々が始まった。
「ではまず妾の得意属性の闇からでよいか?」
「……(コクコク)」
「ではまず…ホイっと【ダーク】からやってみようか」
アーテルは【ダーク】の掛け声と共に真っ黒な球体を出現させて頭上に浮かべた。
【ダーク】…あれ?うまくできない、魔力は取られてるんだけど…。
「ふむ……やはりシエルは【ダーク】の扱いがうまく出来んのだな……」
「……(しゅん)」
「あーいや、良いのだ、種族による得意不得意と本人の資質次第だからな。」
「……(コクコク)」
でもやってみるだけやってみよう。
それから【ダーク】を唱えながら何度も何度も扱っていく、だけど一向に上達はしなかった、魔力が少しずつ減っていくだけでこれといった現象は発生しなかった。
時間にしておよそ5時間。
「ふむ…やはりダークはやめておこう、シエルには兎に角向いていないようだ。」
「……(…コクコク)」
出来ないのなら仕方ないよね…うん…仕方ない仕方ない。
「では系統外属性を始めようかの…妾の場合は吸収属性だな」
吸収属性とはその名の通り対象から何かを吸収する属性である。
ただ生気を吸収することだけは出来ない。
シエルは聞いた瞬間に期待に満ち溢れるように速く教えてと懇願するようにじ~っと見つめた。
「む。なるほど、それほど覚えたいか?」
「……(コクコク!)」
「う、うむ…では教えるとしよう!【ドレイン】!」
【ドレイン】と唱えたアーテルに向かって壁をすり抜けて眩い光を放つ球体が収束され、掌に吸い込まれていく。
ふぉぉお!すごい!でもなんだか地味!
「とまあ妾の得意属性の吸収こんなものだ、先程吸収したのは植物達の魔力だけどな」
ふむふむ…なるほど、つまりうまく使えば魔法を撃ち放題で相手の魔法を封じたり出来る優れもの…ってことね、すごいじゃん!
「ではとりあえずやってみるのだ。」
えっとえっと…魔力が欲しい魔力が欲しい魔力が欲しい!…【ドレイン】!
直後、魔力が広範囲にズズズと広がって行き、一定の距離まで広がったところで…消失した。
それから数秒待ってみたがアーテルと同じような変化は見受けられなかった。
「ふむ…吸収属性はシエルには無理そうだな…そのかわり捜索属性の魔法に適正があるのか…なんというかちょっと特殊だな…でもそれなら【サーチ】と唱えてみるがいい」
そっか…吸収はだめなんだ…でも捜索?は使えるんだよね?…【サーチ】!
唱えた瞬間に先程と同じように魔力の薄い膜が広範囲に広がっていった。
「むっ!…これはまた随分と広範囲を【サーチ】したな…それにしても始めての使用でこれほどの制度とは…よし!しばらくはこの魔法を鍛えて行こうじゃないか!」
アーテルはクハハと嬉しそうに笑い【サーチ】の鍛え方を説明してくれた。
方法は1つ、すごくシンプルな方法、それは〇〇さんを探したいとかこの本近くにない?とか思念をはっきりと乗せて薄く膜を延ばすように魔力を使う事だった。
それから翌日も翌々日も何時間も練習すること約2ヶ月、【サーチ】の制度はぐんぐんと上がって行き、今ではアリ1匹、塵一つ逃さず探し当てることが出来るようになった。
ある意味では本当にぶっ壊れ性能となってしまった。
それこそアーテルが
「なんなのだシエルは…」
と苦笑を漏らすしかなくなるほどの鋭い性能となっていた。
そんな言葉が聞こえてもシエルは何度も何度も【サーチ】を使って使って使って…完全に極められていると言ってもいい制度まで鍛えられた。
それに満足したアーテルは「捜索属性の練習は終わりとする」と一声描けてくる、シエルは渋々といった様子で辞めた。
次にアーテルはこう言った。
「どうやらシエルの得意属性は妾の得意属性と正反対のようだ、だから凡その検討と有翼人としての資質を考えると……次は結界属性の魔法だと思うのだが…ちょっとあの辺の岩を囲うように意識しながら【フィールド】と唱えてみてくれ」
アーテルはそう言いながらも近くにあった直径二mある岩を縦横高さを全て一mの正方形に斬り刻む。
刻まれた岩は一瞬宙に浮くとドスンと重そうな音を出して地面に落ち……るとおもわれたが一mほど横に
アーテルの手によって下ろされた。
「この岩を一㎜の狂いも無く囲えるようになるまで続けてみるのだ。」
だがシエルはそれ所ではなかった。
あれ?テルさん…すっごい力持ちじゃない?気のせい?気のせいだよね?ね?
でもやっぱり魔法は使ってみたいのであまり気に留める事も無く目の前にある岩を囲うように意識しながら【フィールド】を何度も唱える、最初の五十回は特に変化も無くただただ魔力だけがガリガリと減っていく、それでもシエルにとっては全体の二割にも満たないのだが…そんな様子を見ているとアーテルも当然呆れて物が言えなくなっているのは言うまでもない。
翌日、翌々日も練習をするが未だに全体を覆うことはできず、片面だけ、半分だけ、大きすぎるという結果が何日も続く。
だがアーテル曰く、結界属性を五十回成功しなかっただけで出せるようになるのも異常だそうだ。
佐倉一桜の設定では結界属性は味方への支援や、安全地帯の構築として使えたり、他属性との組み合わせで色々な効果が得られるようになっている、他にも練習すればやわらかくしたり、自分が敵じゃないと認識した人物は結界を無視して通れるようになったりする。
結界属性も練習を始めて約四ヶ月で岩をぴったりと覆うことが出来るようになった。
アーテルは「もう一つ属性があるのだが…これは言わないほうがいいかも知れぬな」と複雑な顔をしていっていた。




