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4 魔法

 ルルエに引き取られて数ヶ月。

 今現在この部屋にはシエル以外誰もおらず、魔法を使ってみるのには絶好の機会と言って良い状況だ。


 よし…お義母さんはいない、たしかさいしょにつかってたのは…【ライト】…だったかな?


 ルルエが最初にシエルへ見せた魔法は【ライト】、有翼人であるシエルの得意分野の一つでもある。


 掌を上に向け(【ライト】)と頭の中で唱えると、その手の上に熱を感じない白い光の玉が浮かぶ。


 すご〜い…。


 そう思って更に多く魔力を流してみたりして遊ぶ。

 多く流せば光は強くなり、少しだけ流せば弱々しく光る。

 シエルは更に光の玉を縦横無尽に飛ばせないかあれやこれやと試していく。

 数時間も練習をするうちにそれなりに自由に動かせるようになった。

 そこから更に


 ひかりのたまをへんけいさせられないかな?


 と思い、ぐぬぬ…、と奮闘するうちにこれも成功した。

 平然と数時間で成功しているシエルだが、本来光の玉を変形させる事は光の形を変えているのと同義で、相当魔力の操作が上手い人でもない限り難しいとされている技術なのを知るのは先の話。


 つぎは…【トーチ】だったかな?


 人差し指だけを立て【ライト】と同じように【トーチ】と頭の中で唱える。

【ライト】ほど簡単ではなかったが、こちらも問題なく成功、しっかりと熱を発する小さな火種が指先に灯る。

 こちらも【ライト】同様飛ばしたり変形させられるように色々と頑張る。

 だが【トーチ】の操作はやはり【ライト】より難しかった。


「シエルちゃんただいま~!」


 ルルエが帰ってきたこともあり、この日は諦めるのだった。


「ん~…なんか部屋の温度が高いような…まいっか。」


 意外と適当である。


 こんどお義母さんをびっくりさせるためにがんばるんだから!


 翼をパタパタと動かしながらそう決意するシエル


「ん?なにか嬉しいことでもあったの?」


 なんでもないもん!


 そう思いながらも相変わらずパタパタと翼が動き続ける。


 更に数ヵ月後、ようやく次の魔法を練習する時間がやってきた、ちょこんと壁にもたれかかり、【トーチ】の練習を再開する。


 たしかこんなかんじだったかな。


 指先に現れた火をまずは宙に浮かせることから始める。

 流石にこれはすんなりと成功する、だが自由に飛ばすことはまだできない、ゆっくりだけど数ミリずつ動かすことから始め、次第に速度を上げていき、四時間後くらいにはライトと同じくらいには自由に飛ばせるようになってきた。


 つぎはへんけいだね。


 こちらも【ライト】より難しく、ほぼ一日の時間を要した。

 その甲斐あって花の形にしたり、魚の形にしたり、星型にしたり【ライト】と同じくらいに扱えるようになった。


「ただいま~、遅くなっちゃってごめんね~」


 とシエルを持ち上げ、クルクルと周り、頬にチュッチュとキスをする。


 うっとおしいの!


 と思ってはいるものの、相変わらず表情は動いていないのだが、翼はこれまた嬉しそうにパタパタと動いているという心がツン、翼がデレという奇妙なツンデレ状態になっているのはもはやご愛嬌となっており。

 ルルエに


「も~♡可愛いんだから~♡」


 とデレデレしてくるのがいい証拠になっている。


 翌日、以外にもすぐに練習をする機会が訪れた、今日はルルエが出掛けているわけでもないのだが、どうやら家の中でできる仕事らしい。

 早速次の魔法の練習を始める、今日は【ショック】電気系の魔法、ルルエはこれを、両の掌を二十cmほどの間をあけてバチバチと音を鳴らしながらやっていた。

 二十cmの間に走った電撃は綺麗な青色をしており、瞬きをする一瞬で数十もの光が駆け巡っていた。


 よし、さっそくやってみるんだから!


 ルルエと同じように二十cmの間を開けて【ショック】と頭の中で唱える。

 ……何も起こらなかった、魔力が減った感覚はあったが


 おかしいなぁ…


 と思い間隔を一気に十cmまで縮めた。

 するとルルエと同じような青色の電撃がバチバチッと大きめの音を鳴らしながら数十と駆け抜けた。


 つぎはもっとひろく…ふしぜんにできないかな?


 今度は魔力を流す量を多くしながらどんどん手を離していく、それにしたがって電撃は太く速く駆け抜けていく、だがそれに伴って音も当然大きくなるわけで。


 わわわ!すとっぷだよ!


 咄嗟に掌を重ね、【ショック】をとめる。

 「ふぅ」と息を吐き出してシエルは落ち着いた、本人もまさかここまで音が大きくなるとは思ってなく、珍しく大きく動揺したのだった。

 少し時間を置き、再び【ショック】を使う。

 今度は電撃を曲げるように魔力を流していく。

 数分ずっと同じことをつづけ、違うのかな~と力を少し抜いたら数回電撃が山なりに飛び、左手から右手へ、右手から左手へとんだ、その感覚を忘れまいと直ぐに同じくらいの力加減で数時間奮闘した。

 結果【トーチ】よりも覚えるのが早かった、今では【ライト】より劣るが、ほぼ自在にコントロールできると言っても過言ではない。

 そんな時、ふと疑問に思った。


どうじにできたり……?


 すぐに【トーチ】と【ライト】を同時にやってみる。


 ……むずかしいなぁ。


 バンッ!「仕事おわった~!シエルちゃん~!」


 っ!


 焦ったシエルはすぐに手を後ろに隠す。

 ルルエはすぐに近くまで駆け寄り、抱き上げようとして…手を止めた。


「シエルちゃん…」


 ちょっとまずいかなぁ~なんて、ははは…。


「今…」


 ドクン…ドクン…ドクン…。

 もしかしてさぷらいずしっぱい?


 と思いながらも続く言葉を待つ。


「下が緩くなってるよ?」


 ……そういえば…あたたかいものが…ぐしょぐしょでなまあたたかくてきもちわるくて…。


 そこまで考えたシエルは途端に恥ずかしさで顔を赤く染め、翼が威嚇するように上を向き、一枚一枚の羽根が自己主張するように広がる。


 お義母さんのばかぁぁぁああああああ!


 その気持ちをこめてぺちぺちルルエの足を叩く。


「あ~…ごめん!ごめんってば!」


 その日一日、シエルはルルエと一日目をあわせなかった。

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