48 大戦3
大戦終了20分前。
1組と2組は3組と4組5組とは更に離れた唯一高低差のある地形で魔法を撃ち合っていた。
これはシエルとフセルにとっては好都合で、嬉しい誤算だと言ってもいいだろう。
何せ彼等は高低差を利用しようとはせず、同じ高さで隠れながら魔法を使っているのだ。
「後もう少しだ!気合入れろ!」
1組も2組大分疲弊しており、若干2組が人数が多かった。
だがそれは、それらを高い場所から見守る一人の人物、シエルの手によって少しずつ操作された戦況だった。
「疲れている今がチャンスだ!いけ!」
そうして2組に放たれた魔法はまっすぐに進み、一番近くに居る男子生徒へと向かった。
男子生徒は避けようと足に力を入れると
「何だこれ!動けねえぞ!」
男子生徒は無情にもリタイアしていった。
シエルは男子生徒がリタイアしていくのを見ると満足げな雰囲気を出しながら静かに頷いた。
シエルがやったのは、男子生徒の手足をその場に固定するために結界魔法で部分的に包囲しただけだ。
こうしてバランス良く2クラスの数を減らして行った。
「順調ですね」
「……」
「探知に捕縛に攻撃に隠密、シエルさんは何でもござれだね」
クラスメイトにすごく賞賛されているが相変わらず気にしない、そうしている間にも少しずつ人数を減らすために生徒を固定していく。
残り15分になる頃、逃げるように3.4.5組の残り生徒が1.2組の元に現れた。
戦闘を5組が走り、4組が後ろに、更に後ろに3組が、だが戦闘を走っている5組の生徒は顔を見られないことをいいことにニヤつきながら走ってくる。
「あ~あ~、あんなにニヤついてたら変に勘繰られるじゃん!クソありえない!」
「……」
「もっと隠しなさいよ!シエルちゃんぐらい無表情で!」
「……」
横から何か言われているが正直耳に入っていない。
少し待っていると、1組と2組は3.4.5組の生徒をリタイアさせようと動き、だがお互いを倒そうと奮闘し始める、自然注意力は散漫になり、シエルが左腕を持ち上げると、頭上にかなり大きな無職の結界が出来上がる。
その中に水が溜まっていくが、時間がかかるためその間シエルは1組と2組をこけさせたり、ビンタっぽく結界魔法ではたいてみたり、擽ってみたり、ありとあらゆる嫌がらせを駆使して時間を稼いだ。
流石に異変に気が付いた頃にはもう遅く、シエルは上空の無色の結界を解除し、多くの生徒を水が飲み込んでいった。
そして会場に居た客は口を揃えてこう言った。
『外道だ!』
シエルにとっては褒め言葉でしかなく、全く聞かなかった。
どこか自慢気な雰囲気のシエルが画面に移された途端
『なんで嬉しそうなんだ!』
『でも可愛い!』
そんな声が上がっていた。
だけど戦いは戦い、勝てばよかろうがモットーのシエルには勝ったことだけが嬉しいのだ。
『1年、魔女狩り大戦終了!なんと勝者は5組!おめでーー』
「ちょーーーっとまったー!私達は1組に3対3の魔女狩り大戦を所望します!」
『え!?ち、ちょっと確認を……オッケー出ました!それでは両クラス3名選抜してください!』
「その前に!こちらから要求します!1組の生徒の引き抜き1名!」
『え!?それもオッケー!?!?わかりました!1組に拒否権はありません!』
こうして本来の予定にない3対3の小さな戦が始まった。




