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35 どうやって意思疎通しよう?

「え~、これにて入学式を終わりと致します。」


 ワイワイガヤガヤと緊張の糸が解けていった入学生はこれからの学園生活を期待するかのように話し始めた。


「それじゃあ1組はあちらの、2組はあっちの、3組はあそこ、4組は俺のとこ、5組はあそこのちっちゃい先生のところに行ってくれ」

「ちっちゃいとか言うな、ナギリだナギリ」


 この学校では成績の上から順番に1組>2組>3組>4組>5組とクラス分けされている、一クラス40人、1学年200人×6学年の約1200人+教師が通っている。

 そんな中、シエルのクラスはと言うと…ナギリの予想通り5組となった。

 ナギリを見つけたシエルはさっと目の前まで移動するとじーっとナギリの目を凝視する。

 その目は「これからよろしくだね」と言っているように輝いているように見えなくもなかった。


「なんだ?シエルさん」

「……」


 攻撃性のある魔法の使用は原則禁止とされているため、【ダーク】の魔法を使えず、意思疎通もできずに黙って見ることしかしない。


「……シエルさん?」

「……」

「なんで頑なに喋らないんだい?」

「……」


 本人としては喋ることに抵抗があるわけでもなく、今では体力を使い疲れてしまうため、あんまり喋りたくない、というのがシエルの気持ちである。

 

「まぁいいか…おーい、5組の皆、移動するぞー」

「「「はい」」」



「もし、そこのあなた。」

「……」


 早速呼び止められる人は大変だなぁ〜。


 自分が呼び止められてるとは露ほども思ってない様子でナギリの後ろを歩いていく。


「ねぇ、そこのあなた。」

「……」


 さっきと同じ人がまた違う人を呼び止めてる!すごいなぁ!


「そこの銀髪の人」

「……」


 わたし以外にも銀髪の人なんて居たんだ!会ってみたいなぁ。


「そこの、銀髪でちょっと幼児体型のちょっとえっちな服を着ているけどふわモコのポンチョで隠してる校長先生の娘さん」

「……」


 へぇ〜!校長先生の娘さん!どこの誰…それって私じゃん!?…義理だけど。


 偶々覚えていたシエルは呼び止められていたことようやく理解し、声のする方へと顔を向けた。

 そこには艶のある鉛色の髪をフィッシュボーンに編み、制服がよく似合う、赤い瞳をした女の子がこちらに手招きするように待っていた。

 でも


「……」


 目を向け、目を合わせ、『遅れるからまた後でね』とナギリの後ろを歩いていく。


「わかりました、今のところは目クソほどの興味しかありませんが。」





 1-5組、この学校で下から40位以内の成績を収めた者が集められた教室、男子女子の比率は3:7ぐらいの割合で通っている、この学校の存在は知られてはいるが、ルルエが信用した家系、その家系の血を引く者にしか伝えてはならないという契約(・・)をした者しか受け入れてはいない、そう伝えられている為、入学しようにもできなかったりする。


「ま、入学式って言っても退屈だったよな、今日は寮の自室とかそういうのの確認してもらうから、一応解散だぞ。」


「そいじゃ、かいさーん」とナギリが声をかけるとクラスメイト達はすぐに何処かに散っていってしまった。

 一応約束だからとシエルは教室に残り、鉛色の髪の少女が話しかけてくるのを待った。

 程なくして少女はシエルの正面の席に腰かけた。

 シエルの席は、縦8横5の並びの、窓際前から7番目に座っている、これも成績順である。

 鉛色の少女はシエルの後ろの為、シエルが後ろを向けばいいのだが、そこは「お前から来いよ」の精神で頑なに振り向かなかった。


「まず私から、名前はフセル・ケラヴノス、あなたの名前は?」

「……」


 とりあえずシエルは考えた。


 あれ?どうやって意思疎通しよう?

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