34 その頃〇〇
とある城の一室、その部屋である少女と父親が話していた、少女は8歳、同年代から見ても小柄で、艶のある鉛色の長い髪をフィッシュボーンに編んでいて、大きくクリっとした目は赤い瞳も合わさって人形のように整っている。
その少女は容姿も然ることながら服装までも人形のようにフリフリとしている、腕の中に大事そうに抱えられたクマのヌイグルミは今の少女に実によく似合っていると言っていい。
父親の目の前まで来た少女は「学校に行きたいです」と開口一番に父親へ言った。
「ふむ…学校へ行きたいと?」
「はい、お父様。」
「どのような学校なのだ?」
「『魔女学校』と言えばお分かりになるかと」
「魔女学校…か」
「はい、お父様の跡を継ぐ気なんて鼻クソよりも興味が無いので」
少女の口は少々悪いのが父親の悩みである。
悩みではあるがその原因
それは
「鼻クソよりは興味あるだろ、どちらかと言うと耳クソくらいはあるはずだ」
「耳クソよりは爪垢のほうが正しい」
父親も口が悪いからである。
それゆえ少女も自然と口が悪くなっていった。
「そんなに継ぐ気は無いのか…魔王」
「はい、全くこれっぽっちも」
「仕事さえ頑張れば引退した後の余生は遊んで暮らせるのに?」
「嫌ですよ、そんなことするぐらいなら、ジジババレベルの隠居生活送ってやりますよ」
「そんなに嫌になっちゃったのか?魔王」
「誰が好き好んで退屈極まりないクソな仕事しなきゃいけないの?」
「まぁ…分からなくもないが…俺ももうそろそろ220歳だし、身を引いて次に席を譲らないとなぁ…」
「そんなのお兄様に押し付けてください」
「むぅ…」
「兎に角、『魔女学校』には行かせてくれませんか?」
「まぁ…権力を使えば…いやあそこはルルエが運営している学校だったか、権力は使えない…ちょっと聞いてみるから待ってくれ」
「ええ、お願いします」
父親はその部屋を出て行った。
「すまんルルエ、学校の席ってまだ開いているか?
………権力は許さない、そんなこと知っているさ
………最後一席空いてる?ならそこにうちの娘を押し込めないか?
………出来なくもない?だけど最底辺として入学することになるぞ?ちょっと聞いてくる。」
「なあ娘よ、最底辺として入学することになるがいいのか?」
「ええ、構いませんよ?私は興味ある人以外は犬の糞としか思ってませんから」
「わかった、じゃあそういうことで」
「最底辺でいいってよ
………え?私の娘も入学する?ていうかお前に娘なんて居たっけ?
………成り行きで拾った子?なんで成り行きで拾えるんだよ
………寮生活になっちゃうけどいいのか?まあ、うちの娘的にはむしろこっちに居たくないんじゃないか?
………娘の誕生日近いから切る?まあそういうことなら仕方ないな、それじゃあまた
……おう。」
父親は元の部屋に戻り一通りのやり取りを説明した。
「ルルエさんの娘さん…ですか」
「そうみたいだな、なんかスッゲー嬉しそうに話してたからな」
「どんな娘さんなんですか?」
「う~ん…喋らなくて、無表情、可愛い顔してるけど表情が動かないせいで残念系美少女って感じ?らしい」
「なんともまぁ…」
「それにしてもルルエが結婚してないとはいえ302歳にして子持ちか…ようやくというかなんというか…」
「まぁ、嬉しそうに話していたのならいいんじゃないですか?」
「そういうもんか?」
「そういうもんです」
こうしてシエルの知らない間に魔王の娘が入学することになっているのであった。




