33 入学準備2
「……」
言葉を失うってこういうことなんだね…。
「あっ、まってまって!これで完成じゃないから!」
ルルエはシエルが口をあんぐりと開けて驚いている様子を見て瞬時に(あっ、これそういう風に見えるよね)と思いものすごい速さでもう1つ布がかぶせられてる何かを引っ張ってくると。
「こっちもセットだった!…じゃ~ん!」
と、布を取り払った。
それは腰まであるふわふわもこもこのポンチョだった。
黒を貴重として作られており、『暖かそう』が即座に上がる感想として正しいだろう。
だが
「のうルルエ、妾これはちょっと暑くなると思うのだが?」
「ふっふ~ん、これは冬服なのだよ!夏服はこっち!」
またも持ってきた布を被った物から布を取り払うと。
半袖ミニスカの上が背中が冬服と同じくひし形に開いている白いブラウス、スカートは冬服とほとんど変わらないが膝上丈がもう少し上まで丈が減っている、そして羽織るだけの膝下丈の黒いローブ、透けてはいないが生地は薄い、だけど。
「これも暑いんじゃないのか?」
「残念!これは魔道具!なななんと!常に【自動洗浄】と【空気洗浄】と【空気冷却】完備!しかもその日その日によってオンオフ可能!魔力を流している間はオン!止めたらオフ!さらにさらに!シエルちゃんの翼を隠す機能付き!」
「……なあルルエよ」
「なに?アーテル?」
「幾ら使った?」
「……金貨で400枚くらい?」
「「「……」」」
「だってさ…これを予備用とシエルちゃんの種族的な問題で色々工夫しないと余計お金かかっちゃうし…」
「あー、もうわかった、妾も正直この程度ですんでよかったと思っている。」
「ならいいじゃない!」
実際ルルエの財産から金貨400枚、日本円にして400万円はそれほどたいした出費ではない、学校の校長、偶に行く適当な仕事、この二つだけでもすぐに元が取れてしまうからだ、日数で言うと2ヶ月もあれば+で戻ってくる程度には余裕なのだ。
ならば何故アーテルはそこを気にするのか?
答えは単純、やっぱり服とかの作りすぎなのだ、現在シエルの部屋の家具や服は全てルルエの手作りで全て最高級品と言っていいほど上質な物しかない、ベッド1つで家が建てれる程度にはお金がかかっているのだ。
つまりシエルを拾って数年はマイナスのままだった為、アーテルは心配になった。
「それにしても最近の征服って見た目も良いんですね?」
「ああ、妾もそう思う。」
「ふっふん♪これは私の趣味と集客効果を狙っての作戦だったのだよ!」
「昔はほんとダサかったですものね…例えば平民にはキツイ私服…例えば地味なローブを羽織るだけ…例えば動きやすさ重視の可愛さやかっこよさの欠片もない服……と残念もいい所でしたね」
「「わかる」」
そんな会話を他所に
「お嬢様、一応サイズの確認も兼ねて試着なさったらいかがでしょう?」
「……」
ダンテがそう提案してきた。
まぁ…しないわけにもいかないし…しようか。
渋々だが征服に袖を通していく、まずは夏服、翼の周りが少しスースーするが全然窮屈ではなく、着心地はすばらしい、その上にローブを纏うと”ちょっと妖しい少女”風の姿に収まった。
その姿をダンテに見せる
「おお、なかなかお似合いです!」
僅かにほころんだ顔を見て本心だと確信したシエルはそのまま冬服に着替える、全体的にゴスロリ風にまとまっているため、少し着にくいがこちらも着心地は良かった、やはり背中はスースーするが。
ついでに背中の紐を編み上げてもらい、その上にふわもこポンチョを着るとダンテに見せる。
「最高です!お嬢様!」
「あら?シエルちゃんもう試着したの?」
「ほわぁ…お嬢様…綺麗です!」
「うむ、さすがシエルだな」
いつの間にか全員に見られていたことを知ったシエルは顔を真っ赤にして制服を脱ぎ、元の格好に戻ったのだった。




