31 お受験?5
『めんどい』その一言で成績を自ら貶めるシエルを見て二人とも言葉が出なかった。
正しくは放心していた。
なにせそんなことをする生徒は居ないからだ。
この魔女学校で上位10位に入るということはそれだけいい立場の役職につけたりする。
ある人は魔道具職人に。
ある人は国専属の魔法使い。
ある人は魔王の秘書に。
ある人は冒険者ギルドで名声を高め。
そして最も人気なのはこの魔女学校の教師になる。
なぜこの魔女学校の教師が人気なのか、理由は単純で待遇がいいからである、1ヶ月頑張れば2ヶ月は楽して暮らせるほどのお金が支払われ、希望者は教師専用の寮も存在していて、寮自体季節に関わらず室温27度で保たれるため快適なのだ、さすがに食堂は個人でとお風呂は割り勘で有料にはなっている。
だから家族も平民もこの学校に通うものは皆頑張る、誰も成績落とそうなんて考えない、そうじゃないと通ってる意味がないから。
なのにシエルは『めんどい』これだけの理由て自分から点数を下げたのだ。
「君はそれでいいのか?」
「そうだよシエルちゃん!今ならやり直せるかもよ!」
「……」
『寧ろ不真面目として点数下げてください』そうシエルは書いた。
さらに固まる空気、シエルは御構い無しにお菓子をパクパクと食べていく。
トントン……コツコツコツ。
テーブルをノックし、お菓子の入っていた器を傾けては元に戻すをしてコツコツと音を鳴らして『お菓子頂戴』と文字を書いて要求するシエル、殆呆れた二人はもう何も言うまいと補充したお菓子とお茶を飲みながら数分無言で休憩しはじめる。
「はぁ…まぁいいか、合格発表を待つように、というか心配する必要なんてないのだがな。」
「なんでですか?」
「まぁ言ってしまうと、受験生が規定数に達してないから、なんだがぶっちゃけ達したところでクララさんは余裕で合格、シエルさんは…まぁ下から20番ぐらいで合格になるだろう、心配するな。」
「なんだか……シエルちゃん本当はすごい実力なのに…残念」
「全くだ。」
「………」
ズゾゾゾゾ「「「ふう」」」。
それから少しだけ世間話ををする二人とお菓子をパクパク食べまくるシエルのすこし変な空間が完成していた。
「さて、そろそろお暇します!」
「……(コクコク)」
「お?すまない、長話をしてしまったようだ。」
どうせまた会うからと軽く挨拶を済ませるとシエルとクララは軽く会釈すると廊下を歩き始めた。
「はぁ、まさかルルエさんと同じような言い訳をするとは……ふふ、まぁ折角ですし、点数の訂正とかはしないでおきましょう、その代わり最底辺になりますが、まぁいいでしょう。」
「ばいばーい!シエルちゃん!」
「……(ふりふり)♪」
二人が門の前で別れ、クララは手を振りながら器用に180度ターンするという技をお披露目しながら去っていった。
見えなくなったところで今まで見かけもしなかったメンバーが姿を現わす、それはいつものルルエの屋敷に住んでいるメンバー、アーテル、クルト、ダンテ、フウカが側にいた。
「「お疲れ様ですお嬢様」」
「お疲れだ、シエル」
「ママ様!お見事です!」
「……!」
そのまま会話少なく歩いて行くと視界が変わり、学校は一瞬で見えなくなった。
「おかえりー!」
屋敷に戻ると学校にいるはずのルルエが屋敷に居た事も含めて非常に疲れた1日だったとシエルは思った。




