30 お受験?4
「あの…何で1発も的に当てなったの?」
「……(こてん)?」
元の位置に戻ってすぐ、シエルはクララに聞かれた。
シエルとしては『当たってるんだけどな?』と思いながら『何言ってるの?』と主張するように首を傾げた。
そもそも何発見えてたんだろ?
「視認しずらい棘がいっぱい飛んでいったのは皆分かってるんだけど1発も当てなかった理由がしりたいなあ…なんて」
「……(こてん)???」
「あれ?もしかしてわざとじゃないの?」
無表情を生かして何度も首をかしげていると勘違いし始めたクララは少しだけ動揺しはじめた。
少し詳しく言うと【エリアニードル】で半透明の棘を沢山飛ばして、その途中で【カットスペース】で穴を開けたっていうのが真実だがあえて答える必要も無いとだんまりするシエル
「でも当たってなかったとしてもアレだけのことが出来るのなら十分すごいのかな?」
何か一人で考察をし始めたため黙って無視すると4人目5人目と試験が始まった。
どちらも1人目と同じように【ウィンドボール】と【アクアボール】を飛ばして的を壊していった。
「それでは試験を終了します、クララさんとシエルさんはお話がありますので、待機していて下さい。それでは解散!」
「私達は居残りだね…」
「……」
それから数分待機しているとナギリが現れて「付いて来い」と一言言って歩き出した。
あ~…これは試験をサボってたことバレちゃったかなあ…。
やがて辿り着いた場所は5人座りの丸いテーブルが置かれている部屋だった。
内装はテーブルと食器棚、お菓子、ティーポットにティーカップ、湯呑みと急須、それと何故か二段ベットが部屋の隅にちょこんと…
というよりここ休憩室だよね!?しかも教師専用の!?
そう思わずにはいられなかった。
「お茶と紅茶どっちがすきだ?」
「紅茶で」
「……(ピシッ)!」
紅茶を指差すシエル。
それを確認するとナギリは魔法でお湯を作り出しながらティーボットに注いでいく。
暫くするとお菓子と一緒に紅茶の入ったポットをテーブルの上に置いた。
「ああすまない、適当にどこか座ってくれ。」
クララとシエルは言われたとおりどこか適当に椅子に座った。
それを確認するとナギリ湯呑みからお茶を啜り「ふぅ~」と一息つくと口を開いた。
「クララさん、まず訂正しますよ?シエルさんは的にきっちり当ててますよ。」
「えっ!?だって壊れても穴が開いてるわけでも焦げ目だ付いてるわけでも濡れていたわけでもないじゃないですか?」
「そう、よ~~~く見ないと見えないんだ、小さいけどど真ん中にきっちりと小さな穴が開いていた、なのに止まっている的には穴が開いていなかった、さて問題だよクララさん、これだけの制度で魔法を使えるのに何故止まっている的には当たらない?」
「何故って……意図的に外したとしか………えっ、まさかそうなんですか!?」
「さあ、それは本人に聞いてみないと分からないが…どうなんだい?」
「……」
これ完全にばれてる…言い訳のしようがない…体調不良とかそんなので通るわけないし……はぁ…言うしかないよねえ。
渋々いつものように【ダーク】で宙に文字を書いていく。
『その通りですよ』と書いた。
「ほらね?あともう一つ、なんで筆記を本気で書かなかったんだい?」
「……」
シエルは悪びれもせずこう書いた『めんどい』と。




