26 穏やかな
「ということで、学校、来年には行けるようになったからね?」
はやっ!?まだ誕生日から二週間しか経ってないのに!?
シエルはすっかり忘れているが、ルルエは学校の校長であるため、難しい法律とかが無いこの世界ではそんなに難しいことではない。
「だから今日からもう一回勉強しようね?」
「……!」
それほど勉強し直す必要性はないのだがルルエは念の為ともう一度勉強をするように言ってくる。
少し嫌だけど…やるしかないかな。
それから数日、勉強し直すが特に問題はなかった、忘れているということもなかった。
「覚えてたのは良いことだけど、たまに復習してね?」
「……(コクコク)」
「むっふっふ、ママ様は忘れないよ!だって私が忘れないから!」
フウカとシエルは有り体に言えば二人で一つなのでどちらかがしっかりと覚えていれば勝手に思い出せるそうだ(フウカ曰く)。
最近はフウカが本当に妖精なのかが怪しくなってきているとシエルは思った。
本来妖精は魔力は共有できても記憶や体験などは共有できない、同じ物を見なければわからないのだがフウカは違った。
シエルが見て感じて考えた事、記憶や体験を自分のことのように思い出せる、それはもはや妖精というには些かイレギュラーである。
つまりそんな状態となっているシエルは忘れることは無いので勉強なんかは一度ちゃんとやれば忘れない、要するにズルをしているのと同じだ。
「まぁ今更心配なんてしてないよ、フウカちゃん!」
「どんと任せてください!ルルエおばあち t…ゲフンゲフン…お姉さん。」
「…(ガクガクブルブル)」
ルルエおばあちゃんと言いかけた瞬間フウカに物凄い殺気が飛んで来た事に二人とも萎縮してすぐに訂正し、お姉さんと言うことで空気が和らいだ。
これから二度と『フウカにとってはルルエお義母さんはおばあちゃんだね』なんて言わない、絶対!年齢はタブー!
「それにしてもママ様が通う学校ってどんな学校なんですか?」
「それはね〜…魔女学校!」
「ま、魔女ガッコウ???」
「…???」
「そうそう、私達魔女を育てるために魔女が作った学校だよ!」
それよりも…お義母さん魔女だったんだ!?初耳!
なるほど!魔女なら年齢不詳でもおかしくないじゃん、じゃあ何歳……ひっ
「シエルちゃ〜ん?余計なこと考えてなぁ〜い?」
「……(ぶんぶんぶん)!!!」
必死の全力否定で首を横に振るシエルを見てルルエは満足気に頷いた。
やっぱり年齢の事だけは考えないでおこう。
「それが一番だよ?」
「……!!!」
お義母さんエスパー!?
軽い復習を終えたシエルとフウカは日課の魔法の練習を始めた。
最近は前よりも長く動くことができるようになってきたがやはり体力が極端にない。
剣術の練習もしてるはしてるが3分も待たないのが少しだけ悔しくなってきている。
だがそれに反比例するように魔法の精度はどんどん増していく、アーテルは「お主は底抜けの魔術師タイプだな、妾にもその才能を分けてくれ」とすこし悔しそうに言っていた時は逆に嬉しかった。
結果、宙をなぞらなくとも【ダーク】で文字を書くことができるようになった。
「じゃあ今度は【ダーク】と【ウォーター】を混ぜて見ましょう!」
【ダーク】と【ウォーター】…これはなんというか…べっちょべちょの黒い水?なんだか気持ち悪いねこれ…。
生み出して容器に注いで見るが黒くて粘り気のある液体が生まれた、なんとなく嫌な感じがただよっているが自分で生み出した物のため、さほど嫌悪感を抱くことはなかった。
「はい、これで【ダーク】と【ウォーター】、闇属性と水属性の魔法の熟練度は打ち止めです、LVにするとダークは1、ウォーターは2です!」
「……(1と2って…なんだかしょぼいね)」
「でも他の属性はもっともっと上に行けるから関係ないよ!ママ様!」
その言葉を励みに今日も穏やかに過ごしていく。




