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魔女に拾われましたが?  作者: 熊
7歳~8歳
31/57

番外編 その頃女神3

累計1万PVらしいです

 二桜は考えた。

 自分は一桜の記憶をもった自動人形(オートマタ)、女神ヴィヴラが預かっている記憶を封じ込めた存在、それが自分、当たり前であって当たり前ではない、一桜だけど一桜じゃない存在。

 自分は何?それはただの人形。

 自分はなんのためにここにいる?それは女神に作られたから、マスターから離れるわけにはいかないから。

 自分は何がしたい?


 ただの自問自答、だけどやっぱり、これだけは言いたい。


「ヴィヴラとはちゃんと話したい、一桜の偽物として、ヴィヴラに作られたから人形として、一桜の記憶を持った擬似人格として、そしてなによりあんな辛そうなヴィヴラは二桜(オレ)が嫌だ。」


 覚悟を決めた二桜はヴィヴラと話すためにヴィヴラを待ち続けた。






 ヴィヴラは部屋に戻る、そこに二桜がいるとも知らずに。


「マスター、お話があります。」

「……わかったわ。」


 そこで二桜は話した、なぜ【がんばれ】なのかと【事件の迷宮入り】を望んだのかを除いて、動画の先、国枝さんの言葉、一桜のお姉さんの言葉、動画の会話を一言一句正確に真似しながら。

 ヴィヴラは耳を塞ぎたくなるのを我慢しながらも全部聞いた、とても一桜と始めてあった時とは思えないほど泣きそうな、だけど真剣な顔で聞いた、まるでそれが自分の罪であるかのように。

 だけど二桜は一桜の言葉だけは伝えなかった、それは自分の中の一桜の記憶と人格(ほんもの)が二桜としての一桜の記憶と人格(にせもの)が、どちらも「「伝えるのは今ではいけない」」と主張した気がしたからだ。


「そ、そそそそんなの…ど、どうしようもないじゃない」

「そうではありませんマスター」

「何がそうじゃないというの?あの植木鉢を落としたのも、救急車が渋滞に巻き込まれるように操作したのも、世界が増えるのを防ぐためとは言え一桜さんの大切なたった二人の家族を家族両方一人ぼっちにしてしまったのも、その人の人生を壊したのも全部私、全部私のせいじゃない!」


 女神ヴィヴラは震える、自分は何をやっていたのか、自分達にとって人間とは小さな存在、取るに足らない小動物のようなもの、だが同時に自分達が創り出した生き物でもある、可愛くないはずがない、だからこそ女神は泣く。


「だって、私の所為なんだよ?私の判断ミスが招いた結果なんだよ?今更弁解する余地も無いじゃない」

「……」

「たった三人の家族を、死という絶対で引き裂いた、姉は心が折れた、まともな生活なんてしてなかった、痩せてた、今にも死にそうだった、あれもこれも全部私が何もしなければ、ねぇそうでしょう?」

「……」

「貴方ならわかるんでしょう?一桜さんの気持ちが」

「はい。」

「なら尚更私の所為なんだって」

「…」

「なんで答えてくれないの!?」

「『母ちゃん、幸せだった、ありがとう』」

「ッ!?」

「彼は、いや俺はそう言ったそうです。」


 二桜はここで伝えた、ただ自分の所為だとわからせるだけじゃダメなんだと思ったから。


「俺は…いや、彼はわからなかったんです、死の間際、残された少しの時間、何を言おうか、本当はわからなかったんです、唐突な死は誰にでも訪れる、誰にでも訪れるからこそ彼はわからなかった、言ってしまえば怖くなかったんです、悔しかったんです、だから後悔したくなかった、誰にも誰かを恨んだり憎んだりして欲しくなかったから」


 二桜はここまで話して思った、あれ、俺はどこまで話すつもりなんだ?と。


「彼は何故【迷宮入り】を選んだか、本当は彼自身も良くわかってなかったんです、ただ、『母ちゃんと姉ちゃん』には事故死として、原因不明として、【迷宮入り】を選んだんです、後腐れ無く死にたいから、忘れてくれたら、わからなくなってしまえば、忘れてしまえば、シコリは残るけどそれは楽だから、引きずって欲しくないから、だから彼は【迷宮入り】を選んだんです、この意味がわかりますか?」

「そ…れは…楽になるわけないじゃない…」

「ええ、その通りです、何かわかっている方が楽なんです、全部わかってしまえばただの事故死、恨めませんし憎めません、なのになぜ彼は『後腐れなく死にたいから』【迷宮入り】を選んだのでしょう?答えは簡単です。」

「…ま……さか!」

「そう、その通りです、"彼はどんな形でも"お姉さんに、お母さんに、覚えてもらいたかっただけなんです、貴方の所為とも多少は思うかもしれませんが、彼はそれほど怒ってなどいませんよ。」


 その時二桜は


 そっか、後腐れなく死にたい…いや、違うな、俺は、俺を忘れて欲しくなかっただけなんだ。


 その考えは自分の中の一桜(自分)にすっぽりと綺麗に収まったような気がした。


「そうしむけたのは彼なんですから。」


 女神はただ唖然とした、あのひどい状態を招いたのは彼自身…本当に彼自身なのね…よかった、よかった、よかったよかった…本当に、一桜さんを殺したのは確かに私の罪、忘れてはいけない、だけど、それでも、本当に良かった。


 途端に涙が溢れ出す、床に落ちる涙は大粒で、今迄の辛さを吐き出すように止め処なく流れ続けた。






 けれど…本当は一桜さんだけの所為ではないんですよ、女神ヴィヴラ(マスター)、元凶は貴方方神様達なんだから、二人の所為でもないじゃないですか。


 二桜はこの考えをそっと胸の内に仕舞った、それが一番都合がいいから。



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