2 楽しんでください。
「す、すいませんでしたああああああああああああああああああ!」
……へ?この幼女は何を言ってるんだ?謝られるような事してないぞ?
ただちょっと見惚れただけで…ね?
だから早く説明してくれ!
「は、はい…」
そう言って目の前の幼女はぽつぽつと説明を始める。
「まずですね…植木鉢の事故…」
あっ…そういうことですね、アレは運命とか事故とかそういうのじゃないんだな、分かります。
だったら何で殺した?
「あう…その…実はですね…」
人差し指をあわせてあからさまにモジモジし始める・
「一桜さんの作ろうとしていたゲーム…あるじゃないですか?」
うん、やりがいよりも交流を目的とした大雑把で適当に設定しただけのタイトル無しのゲームだよな、わかってるわかってる。
「大雑把で適当だからこそなんです…アレがあのまま完成してしまったら…世界が一つ増えてしまうんです…」
そりゃ俺が作ってたゲームだからな、ゲームの世界が完成するだろうな。
「あ…その…そうではなくてですね…元居た世界とはまた別の世界が完成してしまうんですよ…」
うん、だからゲームの世界だろ?
「それが…その…違うんですよ…ちゃんと現実があるというか…実体があるというか…」
……つまりこう言いたいのか?ゲームみたいなプログラムやデータで出来た冷たい世界じゃなくって、ちゃんと温もりもあるし一人一人にちゃんと心?が宿るってことか?
「そうです!」
だとしても俺が殺される理由にはならないと思うんだが?
「それもそうなんですけど…その…管理担当の神様不足で…その…」
……やべ、そろそろこの幼女がうざくなってきた。
「ひぃ!…」
あーわるいわるい、早く続けてくれ。
「はぃ…だから仕方なく殺して…世界の誕生を止めようってことに…」
はっは~ん、なるほど、つまり俺が世界を誕生させられるといろいろヤバイから、神様達は仕方なく殺したってことなんだ。
もう俺神様嫌いになったわ、ついでにお前も。
「ですから…ちょっと…だけ…おちついてください…」
……冗談だ、早く続けてくれ。
「はい…それでですね…実はもう誕生を止められないことが後で分かってしまって…」
なるほど、だからいきなり土下座だったのね。
「すいません…お見苦しいところを…それでですね…お詫びとして一つ、一桜さんの作った世界へと転生をですね…」
……それは俺が、もう一度生を受けたいって願ったから…だよな?だってそれが願いだと分かれば……そういうことだろ?
「はぃ…でもそれだけではなくてですね…」
もしかして勝手に殺しといてお願いか?
「すいません…でも必要なことなんです…」
早く言えよ!ゆっくりすぎるだろ!
「す…すいません!」
肯定と取る、で、何々だ?
「はい…そこで登場するのが…」
―――――『シエルさん』―――――
…はい?ちょっと意味が分からないんだが?
「はい…ですので説明いたします…『シエル』さんはあの世界の創造神?創造主?である一桜さんの分体?という扱いになってしまうんです…だからですね…管理担当の神様が居ない間世界を支えるために…『シエル』さんとして転生してほしいんですよ…」
……言葉に困るが…まあ俺がやらかしたことらしいから断るのもちょいと尺にさわるな…でも普通に転生するわけじゃないんだろ?あとやらなきゃいけない事とかあるのか?
「はい…まずは…日本人としての知識と経験を全部奪います…理由は…」
科学が発達するのがまずい結果を及ぼすから…だな、俺が剣と魔法の世界って設定したんだからな。
「はい…話が早くて嬉しいです…ですが漠然と【自分の体と精神の年齢が合ってないなあ】と分かる程度には残ります…むしろそれ以外のこりません…そして…管理担当の神様が来たら…一桜さんのその時点までの人生を報告…して…ほ、しいなぁ~…あっ、でも…報告のときは”一度”一桜さんとしての記憶は戻りますので!。」
……やらなきゃいけないことは?
「えっと…あえて言うなら…【生きること】です…。」
はぁ…結局神様達の罪滅ぼしと、俺の責任ってことだな…わかったよ、さっさと始めてくれ。
「いいんですか!」
今までのうざい幼女から一変して目が輝く幼女になった。
ああ、半分は俺の責任だ、文句を言うほうがどうかしている。
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
最後に名前を教えてくれ。
「名前ですね!ヴィヴラです!一応女神やってます!」
だよなあ…にしても幼女女神…これはこれで中々いいものだな、日本人的な常識で言うと…スタイルの良い超絶美人っぽいのを創造するかr
「では行ってらっしゃい♪」
あれ…今までと圧倒的に違う冷たい笑顔だよ?…なんで?
あっ!もしかして…育たないのを気にしてるんですか!?
いいじゃないですか!そんなこt
「さようなら~♪」
俺の体は暖かい光に照らされ、次第に意識が遠のくのを感じた。
ヴィヴラは最後まで冷たい笑顔で手を振っていた。
そして名実ともに佐倉一桜から『シエル』へと転生するのだった。
一桜からシエルへと。
「本当にすいません、でも、楽しんできてくださいね。」
微笑みながら、ヴィヴラは消えた一桜の居た場所に声をかけ、強い風が吹き抜けると同時にその姿は搔き消えたのだった。
こっちは基本週一土曜の0時に予約しておきます。




