22 外出Part2 1
「それじゃあ行こっか!」
「……(コクコク)」
「お金よしハンカチよし、そしてシエルちゃんの外套よし、大丈夫だね、それじゃあ出発!」
「……(こてん)?」
「ん?もっと他に必要なものないの?って?」
「……(コクコク)」
「んー…お仕事とかじゃないし、すぐに家に戻ってこれるし…特にはないかな?」
「……」
「じゃあ今度こそ本当に出発!」
二人は前回と同じように宙を腕で十字に切ると穴が空き、以前にも見かけた風景がひろがっていた。
今回も人通りの少ない路地に繋がっている。
しばらく歩いて行くとガラの悪そうな人はいたもののルルエのお陰か変なことにはならずに済んだ。
路地から出てすぐにシエルはある場所を指差した。
そこには割り箸みたいな棒に動物の形をした飴、飴細工が売られており、その中の鳥の飴細工を指差していた。
「あれ欲しいの?」
「……(コクコク)!」
「うーん………わかった、でも一つだけね?」
「……(ガシッ)!」
ルルエはシエルにいきなり抱きつかれて驚くも嬉しさで顔がニヤけているのにシエルは気がつかなかった。
「おじさん、この鳥の飴細工ちょうだい!」
「おう、銀貨1枚な……まいど!」
「はい、シエルちゃん」
ペロペロ
あっ、これ美味しい、ちょっと鳥の形してて食べ辛いかな?とか思ったけど全然そんなことない!甘すぎず飽きない味わい、大きさもちょうどよくて満足できる!これは当たりだ!
おじさん!
「……(グッ)!」
「???……あ、おう、気に入ってくれたか、また来てくれたら売ってやるからな!ガッハッハ!」
「……(サッ)!」
「お?握手ってか?いいぜぇ!」
ほうほう、いい筋肉してる、指も太い、とても繊細な作業ができるとは思えないけど……でもよく見ると指の腹が硬い指と柔らかい指、うまく使い分けてる、なかなかいい指だ!
と、評価するシエル。
「……」
「ん?どうしたんだ?」
「あー、えっとですね、シエルちゃんは、貴方の手からこんなに細かな飴細工が出来てるなんて思えない、けどよく見ると……って考えているんです。」
「ほう、嬢ちゃんわかるか?」
「……」
「あっはは、夢中になってて聞こえてないみたいですね。」
「ちげぇねえや!ガハハ!」
飴細工のおじちゃんの手を堪能した後、ルルエに手を引かれてようやく現実に戻ったシエルは手に持った飴細工を舐めながらついていった。
ある店の前で止まったルルエは
「今日はここに入ろっか。」
「……(こてん)?」
疑問には答えてもらえなかった為、少し不安に思いながらも後について店の中に入る、外観は至って普通の店だ。
「ここはね、カジノだよ!」
「……………………………」
は?子供になんてとこ連れて来ちゃってんの!?!?この人馬鹿なの!?教育に悪いにも程があるでしょ!
「……(クルッ…ダッ)!」
シエルは逃亡した、それはもう全力で。
前世で賭け事には向いてないことを実感しているシエルは記憶がないのにそのなんとなくの直感で感じ逃亡したのだった。
「あっ!一人は危ないよ!」
ていうか!なんてところに子供を連れて来てるのさ!普通こういうのはもっと大きくなってからでしょ!?
ガッ
「いったぁ!」
「!……」
「ねえ、あなた、大丈夫だったかしら?怪我はない?どこか痛むところとかない?」
「……(コクコク)」
この出会いがシエルの人生にとっても付き合いの長いものになるとはこの時のシエルですら思いもしなかった。




