19 妖精ちゃん
「………」
私は今ちょっと困っている。
場所は自室、普段魔法の練習もしているおかげで一日のほとんどをこの部屋で生活している部屋である。
今その部屋に
「ママ様、聞いているのですか?」
蝶のような白と赤と緑色を上手く組み合わせた芸術品とも言える羽をもった小さな女の子がパタパタと宙に浮きながらシエルの顔を不思議そうな顔をしながら「ん?」と覗き込んでいるからだ。
時は少しだけ遡り、街へのお出かけから帰ってきた翌日である。
いつものように目が覚め、いつものように着替え、いつものように朝ごはんを食べ、いつものように自室で魔法の練習をしていた時にその事件は起きた。
突如部屋が太陽のようなまぶしい光と夏のような暖かい風に包まれた。
うわぁ…なんだか暖かい…
そう思った直後、ピカッと光ったと同時にソイツは現れた。
「おはようございますです!ママ様!」
そして冒頭に戻る。
「マ…マ?」
えっ!?私の子なの!?
シエルは自分を指差しながら小さな声で呟いた。
「はい!ママ様なのです!」
「間違い……じゃない?」
「断固違うのですよ!」
それから妖精は自分はどうして生まれたのかを話し始めた。
妖精とは精霊と同じような生まれ方をする。
妖精も精霊も体は魔力で出来ている。
生まれる時は濃密な魔力溜まりの魔力を全て吸い上げて、その魔力溜まりに合った属性の妖精または精霊として生まれる。
つまり彼女はシエルが五年間毎日欠かさずやってきた魔法の練習の果てに生まれたシエルと同じ魔力を持つ正真正銘のシエルの子供であるといえるのである。
「だから、ママ様…?」
「はい!」
なるほどね…だったら……名前付けてあげないとね!太陽のようなまぶしい光と夏のような暖かい風に包まれて現れたから……。
「よろしく…フウカ」
「フウカ……?」
「貴方の…名前」
「名前…フウカ…フウカ?…フウカ、フウカ!うれしい!」
フウカは嬉しさを精一杯表現するようにバンザイしたり部屋を数分間飛び回って悦んでいる。
フウカ可愛い。
思わずそう思ってしまうシエルだった。
二人が落ち着きを取り戻し、シエルはフウカと会話してみることにした。
「フウカ、その羽触ってもいい?」
会話と言っても知りたいことは聞いてしまったのでこれくらいしかないしなぁ。
「ママ様の頼みならいいですよ!」
シエルはフウカの羽を触る、サワサワ、モミモミ、ツーっと色々な所を触っていく。
なんだろう、もふもふとかそういうのはない、体温?なのかな、暖かいけど蝶の羽みたいな触り心地。
「んっ///」
ハッ!?これ以上はまずい!
「ご、ごめん」
「ママ様の頼みならいくらでも///」
頰を赤く染めでるの大丈夫なわけないじゃん!?って…あれ?そういえばなんで私はフウカとは普通に話せてるんだろう?
シエルがフウカに対しては普通に喋れるかはフウカ自身がシエルの分身みたいな存在だからなのだと後日フウカの口から聞いたのだった。
一頻りじゃれあった後、フウカと一緒に食卓へ移動、みんなの視線は当然フウカに集まる。
シエルは【ダーク】を使って空中に文字を書く。
『この子は私の魔力から生まれた妖精』→『名前はフウカ』と順番に書いた。
その後、なぜか歓声に包まれ、フウカとシエルは疲れた様子で食事を始めるのだった。




