16 今日から7歳
シエル7歳の誕生日
「「「「お誕生日おめでとう(ございます)!」」」」
「……(コクコク)」
大きなテーブルを囲んで1年ごとに大きくなっているホールケーキの蝋燭を「フゥ~」と吹き消す、灯りが落とされた部屋は一瞬真っ暗になるが灯りを戻した部屋は料理が沢山置かれたテーブル、それを取り囲むように座るいつものメンバー。
ホールケーキはダンテの手によってゆっくりと切り分けられていく。
甘い物…おいしそう!
ずぞ~っと伸びたシエルの手は獲物を見定めたあと目にも留まらない速さで甘いものを口の中に運んでいた。
自然と口の周りにはケーキのクリームがこびりつく。
それを見たシエル以外の全員はほっこりした顔になっており、全員が同時にハンカチを片手に腕を伸ばし、それを見た全員は一斉にお互いの顔を見合わせ笑顔になっていく、だがその笑顔の裏に隠れている感情は全員「私にやらせろ」と物語っていた。
近くでワーキャーやっているのを尻目にシエルはどんどん甘いものを口に放り込んでいく。
3分ほどそんな状況が続いたとき
あっ、口にクリームが……ちゅぱっ。
シエルは自分の指で掬い取り口の中にその指を入れ、指を二周ほど舐め回して口から指を離した、唾液がアーチを描き途中でプツッと途切れ下に垂れていった。
「「「ゴクリ」」」そう聞こえた気がしたがシエルは尚も甘いものを食べていく、途中ほかのおかずも口に放り込んだりしながらパクパクと食べていく。
だがダンテだけはハンカチを差し出しながらワーキャーとすることなく背筋を伸ばして悠然とたたずむナイスガイだったのは誰も知らない事実だった。
あっ、これは…アーテルお手製のプリン……っ!?シュッ!パク
もにゅもにゅと口が動く、それに習うように全員雑談しながら食事をし始める。
誕生日はプレゼントを渡されて終わった。
次の日の朝プレゼントを4つ開ける。
その日その場では空けずに次の日ゆっくりと開けてちゃんと感謝して回ろうと思った次第である。
1つ目、アーテルからもらったのは黒いクッションだった、ものすごくふわふわで触り心地がいい高級感漂うもの、ためしに抱きしめたり背中を預けてみたりしたがやはり最高であった。
お昼寝に最適!
2つ目、ルルエからもらったのは手作りの薄めの水色の肩に紐を掛けて着るタイプのワンピースだった、しっかりと翼を通すスリットが入っており触るだけでも着心地がいいのがすぐに分かる、だが袖がないため上着が無い限り外に着ていけるタイプの物ではなかった。
嬉しいけどこれは寝巻きレベルでしか着れないね……なんだかすごく恥ずかしいし…それに3月にこれ着れないし。
3つ目、クルトからもらったのは腕輪だった、2個の輪が交差するような銀色の腕輪、装飾は全くされていないシンプルな腕輪だ。
ためしに左腕に嵌めてみたけどなかなか綺麗だね。
4つ目、ダンテからもらったのはお守りだった、見た目は表も裏も何も書かれていない茶色い小さな板、でもよくよく触ってみると何か暖かいものを感じる。
なんだかこのお守りを手に持ってるとすごく落ち着くね。
シエルはそれらを一度実際に使ってみてその日のうちに全員の元に行き感謝の気持ちをこめて頭を下げに行った。
文字にして伝え頭を下げるたびにダンテには「ありがとうございます」といわれクルトには「おそろいですね!」と右腕に嵌められた同じ腕輪を笑顔で見せられ、ルルエには「好きなときに着てね!」と頭を撫でられちょっと嬉しくなって翼をパタパタと動かしてしまい、アーテルには「それほどうれしいか!」とものすごくよろこばれた。
そのまま自室にもどりアーテルからもらったふわふわクッションを抱きしめながらベッドの上で昼寝をシエルは始めた。
あっという間に眠気に襲われ瞼が下がっていき眠りに付いた。
「シエルちゃん眠っちゃったね」
「うむ、妾のクッションは最高ということだな!」
「ええ、あのクッションは悪魔の道具よ」
「クハハ、そうだろう!」
そのまま昼寝を続けるシエルを確認した二人はそっとドアを閉めてその場を後にした。
「ん…」
シエルが起きたのは日が沈む直前で朱色が空を綺麗に染め上げていた。
もうこんな時間か…。
ベッドから起き上がり乱れた髪を手櫛で整えていく。
綺麗にまとまったのを確認してドアを開けるとすぐに移動して食事の置いてあるテーブルに腰掛ける。
その後すぐにルルエとアーテルも腰を掛ける。
この日の食事は全員ご機嫌なまま少しだ騒がしく終わっていった。
その日の夜はルルエからもらったワンピースを着て少しだけ余分に布団を被って眠ったのだった。
そして翌日少しだけ風を引いたのはシエルだけの内緒である。




