15 発声練習2
短めです。
7月は頑張るので1話1話短めになりますがご容赦を。
あの後喉はあまり痛んでいなかった。
むしろちゃんと声が出せる環境が整ってきてるんだと実感できる程度にはなってきている。
この調子でもっと頑張るよ!
クルトは頭上に「ルンルン♪」と効果音が実体化しそうなほど上機嫌で仕事をしている。
あっちへこっちへスイ~今度はこっちにスイ~向こうへスイ~その姿はもうフィギュアスケートを見ているようだとシエルは思った。
「ふん♪ふんふんふふん♪ふふふふん♪」
上機嫌すぎるでしょクルトさん……。
そんなシエルの次の目標は軽くでも歌を歌えるようになることである。
場所は変わって数日後の地下室。
「私はシエりゅです!もうすぐ7歳になります!」
最近は普通に会話が出来るほどには喋れるようになった、もう少し練習すれば歌が歌えそうな状態になってきた。
喉の痛みも(普通の人並みに)喋り続けなければ痛むことも無くなった。
これも進歩だよね!さあどんどん喋っていこうか!
「生みゅぎ生米、生たまぎょ!」
惜しい!まずはこれが言えないと話にならないよね!
「生麦生米なまたみゃぎょ!生みゅぎ生米生卵!にゃみゃ麦生米にゃま卵!生麦生米生たまぎょ!…生…ガリッ…いっひゃい!」
「お嬢様!?だだだ大丈夫ですか!?」
クルトは慌てて部屋の中に入って「ちょっとだけ我慢して下さいね【ヒール】」同時に緑色の心地いい光が噛んだ箇所に集まり痛みが引いていく、それと同時にちょっとした脱力感に襲われる。
「おっとっと…」
クルトはフラついたシエルを急いで支え、さりげなく一緒にしゃがみこみ床の上に座る形になるがシエルはクルトの膝の上に腰を下ろす形になった。
「クルト…ありがとう。」
もちろんお礼も忘れないから!
首を捻り自然と後ろを僅かに振り返り、クルトを見上げる形で無表情で放たれたその言葉の破壊力は相当高かったらしく「お嬢様…」と尻尾を揺らしながらハンカチを鼻に添えていた。
しばらくクルトの膝の上で休憩した後お互いに元の位置に戻った後練習を再開した、その時さりげなく柔らかそうなイスが用意されていたのでそれに腰掛けてあ~んまでの単語を1秒に一言ずつ順番に口にするのを20分ほど続ける。
やっぱりちゃんと口にして言えるようにしないとね。
20分口にし続けた後、自己紹介→早口言葉→適当な本の朗読→休憩の流れを何日か繰り返す。
次第に流暢になっていき、誕生日の1ヶ月前ぐらいには喉を痛めずに喋れるようになっていた。
「私はシエルです、もうすぐ7歳、最近クルトさんgすごい上機嫌です。」
うん、ちゃんと喋れるようになったね……後は歌だね!
「ふんふんふん~♪ふふふん~♪ふん~ふふん~ふふ~~ん♪」
とりあえず鼻歌から初めてみようと思ったけど…声になってない分負担は少ないね。
「ふんふん~♪ふふふ~ん♪ふん♪ふふふん♪」
言葉を当てる気にもなれないし。
「ふん♪ふふん♪ふんふんふん♪ふふふ~ん♪」
でもなんだか味気ないよね。
「~~ッ~♪~~~♪~~~ッ!~~~♪」
こうして暫くの間カミカミながらも適当に繋げた言葉を鼻歌に載せてシエルは歌っていた。
どこか不器用だがそれでいて下手ではなく、子供独特の幼い声が地下室に暫く響き渡った。
途中トビラの向こうから「すんすん。ズズー」っと音が聞こえてきてはいたがシエルが気が付くことはなかった。
「シエルお嬢様、お疲れ様です。」
「ん。」
ちょっとだけ歌えるようにはなったけど用練習事項だねこれは。
「そろそろお食事の時間になりますがよろしいですね?」
「……(コクコク)」
夕飯時
「シエルちゃん、最近なんだか嬉しそうだけどどうしたの?」
「……(こてん)?」
ルルエお義母さんに聞かれあくまでも喋れるようになってきたことは隠すことにしえるシエル。
「ねえシエルちゃん、何隠してるの?」
「………(こてん)?」
喋れるなんてこと知ったらルルエお義母さんは絶対黙ってないもんね…一番喋りたがってたし。
その様子をクルトは終始ニッコリしたまま見続け、アーテルとダンテはよく分からず疑問符を浮かべながら食事を続けていた。
まぁでも喋れるとばれたとしても喋るつもりは無いけどね。
「ねえねえ何でそんなに機嫌よさそうなの?」
「…………(こてん)?」
ずっと表情動いてないはずなのになんでルルエお義母さんはそんなこと分かるのさ…。
この日から時間があるときこっそり喋る練習を始めた。
それと同時にルルエが日に日にシエルの考えや気持ちを読み取るのが上手くなっていくことに内心ちょっとした恐怖を抱き始めるシエル。
「あっ、いま私のことちょっとだけ不愉快に思ったでしょ?」
「……」
なんで分かるかなあ…。




