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11 3ヶ月ぶりのルルエ

 『恥は成果!常に汚くあれ!』


 ちょっとあのうざい本の作者が書いた言葉っていうのが尺だけど私シエルはこれを心構えとして頑張ります!


 シエルは最後の一冊『応用の利く最強魔法は結界属性かもしれない!?』を両手に抱くように抱え、廊下を歩きながらそんなことを考えていた。

 自室に来たシエルはすぐにベッドの上に自分の体を預けて枕を顎置きにして本の表紙を捲った。


《応用の利く最強魔法は結界属性かもしれない理由》

≪結界属性、それは相手を閉じ込めたり誰かを守ったりするというのが普通の使い方なのはご存知かと思います。

 ……いや寧ろそれ以外の使い道が無いと思われているのが世間一般でしょう?これを貴方が呼んでいる時代はそうなのかはいささか存じ上げませんが。

 では話を戻しましょう。

 私は結界属性と基礎八属性の火、水、土、風、雷、無、光、闇以外が全く出来ませんでした。

 私がこの本を書いていた時代では結界属性は外れ中の外れ属性と言われていました。

 強い魔法をぶつけられれば簡単に壊れてしまいますし下手をすれば殴られただけでも壊れてしまいます。

 他の属性と比べると地味で地味で…あれ、泣きたくなってжヾ£(涙で濡れていた)。

 ですが私はある日結界属性って本当にそれだけなのか?と思って練習をしながら色々試行錯誤をしました。

 そしてあることに気付きました。

 ある日(結界……柔らかくならないかな?)なんて考えていたらいきなり角材みたいに作った結界がぐにょりって曲がったんです!それも粘土みたいに!

 そうするうちに気が付いたんです、粘土みたいに柔らかくなった結界は土属性の魔法が一緒に練りこまれていたんです!

 色々と試して私が気が付いたのは『結界は基礎八属性の魔法と混ぜて使うと結果が変わる』ということでした。

 はい、それだけじゃあどうすごいか分かりませんよね?

 結界は自分が中に招き入れてもいいと思っている相手はすり抜けて通ることが出来ますよね?

≫


 言葉が途切れているので次のページへと捲る。パラパラ。


≪例えばですよ?結界の形を変えられるのなら槍や剣の形にだって出来るわけです。

 じゃあ『こいつらは侵入OK』と設定した槍の形をした結界を『人質を取っている相手(犯人)に飛ばす』ことが出来たら?

『夏場は涼しい空間』と『冬場は暖かい空間』が作れたとしたら?

『自由に伸縮』と『対象者しか引っかからない空間』……。

 この本を手に取ってくれた君なら分かるでしょう?これらの意味を……。

 さぁ!頑張ってくれたまえ!フハハハハハ!

≫



 これ以降は八ページほどの解説と

 メモ帳として使ってください。


 と隅に書かれている白紙のページが続いていた。

 シエルはこの本に魅入られていた。

 言いたい事が分かってしまったから。


 す、すごい…すごいよこの人!…まぁこの本を選んだのはテルさんだけど…でもやっぱりすごい!だってこれで……運動オンチが補えるかもしれないじゃん!


 まずシエルが思ったのは運動オンチを補えるかもしれないという気持ちだった。


「む、シエル?どうした?なんだか漲っているようだが?」


 シエルはいつの間にか近くにいたアーテルに手に持っていた結界属性の魔法の本を手渡した。

 しばらくパラパラと本をめくる音が静かな部屋に木霊した。

 最後のページをめくり終わったアーテルは「ふぅ」と息をつくとシエルの手に戻した。

 そして


「なるほどなるほど、シエル、考えてることは大体わかった、確かにこれなら運動オンチはある程度克服できるかもな。」

「……(コクコク)」


 アーテルは何かブツブツとあーでもないこーでもないと言いながらとぼとぼと部屋を出て行った。

 その姿を見たシエルは訳が分からずに首を横にこてんと傾げたのだった。


 それからはまだ読んでいない所のページをペラペラとめくり続け、目的のページをどんどん見ていった。

 目的の内容が書かれていたページをなにか適当な紙に筆を走らせて書き写していく。

 その作業が終わる頃には晩御飯の時間となっていた。









「シエルちゃ〜ん!久しぶりー!元気してたー!?」

「……」


 ルルエお義母さん…なんだか久しぶりな気がする。


 シエルはルルエに少し引きながら抱きついてくるルルエを頰だけはスリスリされないようにギリギリのところで押し留める。

 でも腕は自由だからそのままシエルのまだ小さな体の腰に腕を回して抱きついた。


「シエルお嬢様が困っていますよ?」


 ダンテはシエルの内心を読んだかのようにルルエに声をかけた。

 ルルエは一旦顔を離すと目で「本当?」とシエルに聞いている。


「……(こくこく)」


 ほとんど間を空けずにルルエは頷いた。

 クルトは二人を見ながら微笑ましいものを見るように笑顔で佇んでいた。


 食事を終えたシエルと他四名は

 シエルとルルエは久しぶりに会えた嬉しさからイチャイチャし始める。

 アーテルは先ほどと変わらず何やらブツブツと言いながら自室に戻っていった。

 ダンテとクルトは食器の後片付けを終えた後仕事に戻っていった。


 シエルとルルエ、実に3ヶ月ぶりの再会だった。

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