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~始まり~

ようやく本編スタートです!

俺が宍倉家に引き取られてから、時は流れに流れて16年。


ついにこの日がやってきた。


瑞輝の高校入学。


つまり、ゲームの『マナ恋』の舞台に立つ日だ。


ゲームだと瑞輝も他の主人公2人もこの日から始まる。


これから彼女にどのような自体が待ち受けていることなのやら、楽しみでならない。


(そういえば、ゲームでの瑞輝は、確か初めの頃は浮かない顔した儚げな美少女だったよな?)


俺が透流から聞いた限りで覚えている通りならそうだ。


だが、今の瑞輝は……


「おっはようー!雪、今日もいい天気だね!」


この通り快活である。


まあ、美少女であるのは認める。


だが、儚げ要素皆無である。


(現時点で何かゲームの時との差異があるのか……?)


そう思い、俺は必死に記憶の片隅を探る。


俺はその舞台となったゲームをやったことがないので、印象がないのだ。


(そういえば、序盤瑞輝が浮かない顔していたのは、兄弟のように一緒に育った飼い犬が高校入学前に死んだからだったか)


その飼い犬とは俺のことなのだろう。


だが、今現在俺はこうして生きている。


獣医としての知識をフル活用し、健康には気をつけていたからな!


俺も生まれてから数えてそろそろ17歳になる。


犬としてはいつお迎えが来てもおかしくない後期高齢者だが、今のところ体に衰えはほとんど感じられない。


健康万歳!


故に瑞輝は快活な少女のままなのだ。


スタート時点で色々おかしい件。


(ま、なるようになるか!)


他人事なので俺は基本楽観的です。


「雪、どうかな?制服似合ってるかな?」


瑞輝は高校の制服を着て俺の前に立ち、そんな事を聞いてくる。


「ヴォフ!」


『当然だ!』という意思を込めて一吠え。


ついでに右手を上げる。


サムズアップのつもりだが、犬には指がないので伝わるかどうかは非常に怪しい。


美少女の制服姿眩しいわー。


尊いわー。


生まれた時点で心がオッサンだった俺には非常に眩しい。


今思うと遥か遠い記憶の片隅レベルの過去の話だ。


だって、36歳時点で高校入学なんてのは21年前。


今現在の俺は36+犬としての年数17年が追加されて四捨五入すれば40年も前の事なのだ。


遠い訳だと実感せざるを得ない。


「ありがとう!雪にそう言ってもらえると自信持てるよ!」


言葉は話せないが気持ちが伝わることはある。


俺と宍倉家の面々はそういう関係になれた。


「じゃあ、行ってくるね」


「ヴォフ!!」


心の中で『いってらっしゃい』と言って右足を左右に振る。


瑞輝が玄関を潜ろうとしたその時、


「待ってお姉ちゃん!お弁当忘れてる!」


瑞輝を呼び止める声が俺の背後から放たれる。


声の主は瑞輝の2つ年下の妹、(かなで)だ。


「あっ!ホントだ。有難う、奏」


姉同様に美少女な奏に弁当を手渡されて瑞輝は笑う。


「もう、お姉ちゃんはおっちょこちょいなんだから」


「あはは。しっかりした妹がいるからね!安心してうっかり出来るのよ」


「もう!学校行ったら私も雪もフォローできないんだからしっかりしてよね!」


全くだ。


俺としてもその辺りが心配でならない。


「大丈夫、大丈夫!何とかなるって。じゃあ、改めて行ってきます!」


快活に笑い、瑞輝は受け取った弁当を鞄に入れると玄関を潜り、高校への初登校を迎えた。


「ホントに大丈夫かな?中学入学の時みたいに道に迷わなければ良いケド……」


「ヴォー……」


確かに心配だ。


今回は事前に俺との散歩で現地への道を確認したから大丈夫だと信じたいが、これまでに色々と前科のある瑞輝だからなぁ……


(間違って中学の方に行かなければいいが)


「まあ、心配しても仕方ないよね。裕司(ゆうし)くんもいるから、それとなくフォローしてくれると思うし……」


姉の背中を見送り、奏は呟く。


(裕司がいるなら大丈夫だろうというのは俺も同意見だ)


ちなみに、裕司とはフルネームで柳川(やながわ) 裕司(ゆうし)といい、宍倉家のお隣に住む瑞輝と同い年の幼馴染だ。


瑞輝とは幼稚園からの付き合いで互いが互いを親以上に良く知っている関係だったりする。


外見はパッと見地味な少年であるが、瑞輝の良き理解者で案外色々と高性能だったりする。


ゲームでは攻略対象ではなく、攻略キャラの情報を教えてくれたり、出会いの場を整えたりしてくれるサポートキャラだった。


キャラポジで言うなら限りなくメインに近いサブキャラといったところだ。


ちなみに、瑞輝を含む3人の主人公にはそれぞれに専用のサポートキャラがいて、裕司は瑞輝専用のサポートキャラという位置付けになる。


普通だったら同い年の異性の幼馴染なら攻略対象になると思うのだが……


裕司と瑞輝の場合、『互いが互いのことを知り過ぎているが故に恋愛感情が発生しない』とのこと(本人達談)


「私も学校行かないと。じゃあ、行ってくるね。雪、お母さんと家のこと宜しくね」


「ヴォフ!」


『任せとけ!』と応じて、俺は奏を見送るとリビングへと戻り、惰眠を貪るのだった。

本編が始まりました!

と言っても瑞輝の学校パートなど雪視点でのパートは減るんですがwww

次回は瑞輝の母優歌さん視点の話をお送りします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] セントバーナードの寿命がおかしい… ギネスでも14歳なのに… そこのところ少し無理がある気がします。
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