神子様と治癒巡回ですわ
バルの事を調べながら聖女様としてのお仕事もこなしていく毎日ですわ。
最近、魔獣が色々な地域で暴れるようになり怪我人が続出し始めました。
今までも魔獣は出没していましたが一年に数回で出る地域は毎回同じでした。
それが最近は色々な地域で出没しているのですわ。
それぞれ、地域の『市民兵』達が魔獣と戦っていますが手に負えなくなると援軍の要請がきて王都の騎士団が討伐しに行きます。市民兵達も強いと聞きますがこの様に頻繁に魔獣が出没すると怪我が治っていないうちにまた戦いに行かなければならなくなります。
そこで神子様や私たち聖女様の出番ですわ。少しでも早く怪我を治すために各地を回っていますの。
私達も3つのグループに分かれて巡回しています。年齢ごとではなく18歳組から私達下っ端まで混ざってのグループ割ですわ。
一度巡回に行くと1週間は王都に戻りません。何箇所を回って治療していくのです。1番遠くに行くグループは2、3週間帰ってきません。
今回は私が居るグループが1番遠い地域に派遣されましたわ。今まで一度もルカさんと一緒になった事がなかったのですけれど今回は一緒ですわ。私達のグループは神子様のルカさんが居るので聖力的には十分だろうとの判断で聖女様は私しか居ませんの。
え?2人で3週間ですの?せめてもう1人聖女様に来て欲しかったのですけれど。
護衛騎士にはお兄様とミカエル様そしてアレイ様。きっとエリアス王太子様から言われているのでしょう、私と絶対に離れぬよう。ですのでまた裏で手を回しましたね?そしてその他6人の聖騎士達と一緒に行きます。
そして当たり前のように私達のグループは1番被害が大きい地域を巡回します。今回は3週間と今までで最長ですわ。それ程被害が酷いのとまだ魔獣が暴れているようで私達が傷ついた市民兵達を治療し、直ぐに戦場に送り返しまた治療してを繰り返す計画だそうですわ。
王都からも追加で騎士が行っているようですが人数が間に合っていないらしいのです。けれどこれ以上は騎士を派遣出来ない現状らしいのですわ。
私達グループは1番遠い地域なので行きと帰りだけ移転魔法を使い皆いっぺんに飛びます。その地域の中での移動は馬車や馬ですわ。
私達が行った最初の地域はギャビー村です。隣のアクミ村との境で魔獣が大量に出没しているようですわ。到着した途端に村長に案内されて病院に向かいます。それ程、危機的状況なのでしょう。
病院内は負傷した市民兵や騎士、一般の市民まで入りきらない程居て溢れかえっていましたわ。
ベッドの数も全然足りていなくて沢山の人達が床に寝かされていました。私とルカさんは頷き合ってそれぞれ治療しに回ります。
ですがなんせ数が多すぎて時間が足りませんわ。
私は廊下に横になっている兵士を見ながら考えました。
一人一人回っていたら私の体力も持たないのではないかしら?私、まだ13歳ですし。まだ子供ですし。
ふむ。と、思っていたらミカエル様と目がバチっと合いましたわ。あら。私が何を考えているのか分かった様なお顔ですわね。
「出来ると思います?」
私はミカエル様にしか聞こえないぐらいの小さな声で訊ねてみました。
「出来ると思うよ?」
ミカエル様が小さく頷きました。
天使の承諾が得れたので大丈夫ですわね!やってみましょうか。
私は両手を組んで自分の『気』を手の中に集めました。とてもとても大量にです。そして治療の呪文と共にその『気』を廊下に横になっている人達に放ちました。
廊下が一瞬明るくなり元に戻ります。
「あ......傷が!」
「足が治った!」
「頭の痛みがなくなってる!」
廊下に寝かせられていた兵士達が次々と起き上がりました。
「アイラの聖力は凄いな。この様に一気に治療できる聖女様などいないぞ?」
お兄様が呆気に取られていますわ。
「ありがとうございます。でも重症の方は一人一人治療しないといけませんけれど」
お兄様と話しているとルカさんが奥の病室から出て来ました。
「アイラ!今の光は......!アイラがやったのか?」
「はい。この人数ですと治療するのに何日もかかると思いましたの。それで怪我の軽い方達なら一気に治療できるかしらと思いまして」
「本当にアイラは凄い。俺でもこの人数を一気には無理だよ......」
ルカさんが少し落ち込んでしまいましたわ!
「いえ、ルカさんには重症の方を受け持って頂いているのでそちらの方が力を使いますわ!気にせずに治療を続けて下さい!」
本当にそうなのです。重症の方を治療するのはかなりの力が必要になるのですわ。それを知っていてルカさんは最初から重症の方は自分が全員診ると言ってくれたのです。
勿論私も軽傷の方を治療し終わったらルカさんのお手伝いをする予定ですけれど。
そして私達は一日でこの病院を終わらせて次の地域、アクミ村へと馬車を走らせました。




