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断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい  作者: 花音月雫
第三章

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ドキドキと恐怖心の狭間ですわ

ユリアン様が居なくなり私達は急いで図書館にあるテーブルとソファーへ移動しました。そして先程集めたバルに関する書物を読み始めましたわ。

大体の書物にはバルは伝説の生き物として紹介されています。


「もっと踏み込んだ感じの書物はないのかしら?」


「そうだな。これぐらいの知識なら聖騎士団の書物の方が詳しく書かれている」


え!?そうなのですの?何故それを早くに言ってくれないのですか!


「この本はどうかな?」


サッと目の前に出された古い書物。私が顔を上げるとエリアス王太子様がニコニコしながらその書物をテーブルに置いてくれました。


「あ、挨拶は省略だ。少しの時間しかここに居られない」


そう言って私の向かいに座りました。後ろにはクルン様が護衛騎士として立っています。聖騎士団長とアレイ様が深々と無言で頭を下げてますわ。


クルン様しか護衛が居ないという事は王城を抜け出して来ましたわね?

公式で図書館を訪問していたら護衛騎士の人数は数十人になりますものね。


「後ほど王城に伺う予定ですのに」


私は微笑みながらエリアス王太子様に言いました。


「待っていられなかった。直ぐに会いたかったのだ」


......お手紙もですけれど最近のエリアス王太子様は今のような事を言ってきますの。


「この書物はどの様な物ですの?」


「王室に代々受け継がれている密書だ」


「え!?その様な物を持ち出してよろしいのですの!?」


「よろしくないな」


うっ。そ、そうですわよね?


「でも早くにアイラ聖女に見せたかったのだ。本当ならこの後の謁見で見せる予定だったのだがな」


ニコ~と笑い書物を私の方へ押し出しました。


「そうですのね?で、では拝見しますわ」


それなら謁見の時で良かったのにと思いながらも目を通しましたわ。


「驚きましたわ......。バル討伐に王族も参加していたなんて」


「うむ。その書物を読むと色々あって参加したようだ。我々の先祖はバルトカピを創り出した魔法使い達と折り合いが悪く、事あるごとにぶつかり合っていたと書かれている」


私は更に書物を読み進めましたわ。


エリアス王太子様が書物を読んでいる私をじーと見つめてきますの。ドキドキする気持ちと怖い気持ちが一緒にやって来ます。怖い気持ちとは前の人生の記憶が影響しているのでしょう。

そのせいかジワジワと冷や汗が出てきます。


教会に入る前や教会でお話をした時はドキドキばかりでしたのに。何が違うのかしら。あ、場所かしら?王宮の敷地内。それですわね。


前の人生で嫌な思いをしたのは全て王宮かその敷地内でしたもの。今のエリアス王太子様は前の人生とは違い嫌な事を言ってきたり、したりはしませんけれど。


逆にじーと見られていますの。違う意味で怖いぐらいです。何故そのように私を見るのでしょうか?落ち着きません。


私はじーと見られながらも続きを読みました。


魔法使い達が薬品を作っていたら偶然にも何かの量を間違えてしまい発生した煙を吸い込んだ一人がバルになってしまったようですわね。そのバルになってしまった魔法使いはその場で直ぐに殺されたと書かれています。


その報告を受けた魔法使いの長は考えます。バルを創り出し自分達の命令を聞くように躾け王族達を皆殺しにしようと。


そこまで仲は悪化していたのですね。

この書物には魔法使いもかなりの魔力を持っていたと書かれていますわ。

王族に匹敵するぐらいなら揉め事も多かったでしょうね。


「魔法使いは意図的にバルを創り出してしまったのですね」


「ああ、そうだ。しかも聖女を使ってな。その聖女は大聖女まではいかないにしてもかなりの量の聖力を持っていたらしい」


可哀想ですわ。はっきり言って喧嘩に巻き込まれてしまったのですね、その聖女様は。


最初にバルになってしまった魔法使いの魔力はそれ程強くはなかったので直ぐに殺せたようで次に創り出したバルの事も簡単に躾けれると思ったのでしょう。バルの力が媒体になる人物の魔力量で変わるとは思っていなかったのですね。


そして聖女様の力は凄まじく強かったの知らずにバルにしてしまったのでしょう。魔法使い達も制御出来ずに王族達と力を合わせて倒したのですね。魔法使いは馬鹿ですの?


「そして国を滅亡寸前までにした魔法使い達をすべて処刑したのだ。一族狩りまでしてな」


はい。バル誕生と討伐の歴史は分かりましたわ。


「どうやってバルを仕留めましたの?戦いの事が何も書かれていませんわ?」


「......そのようだな。では私は執務室へ戻る。あと数分後に執務室へ来るように」


え?そんな!

もしかすると戦いについての書物は無いのですか??


エリアス王太子様は書物を持って帰ってしまいました。


「何だったのでしょう?わざわざ図書館に来なくても......」


私は聖騎士団長のお父様とアレイ様を見て首を傾げました。お2人は苦笑いしていますけれど。


とりあえず謁見したという事実を作らなければならないので執務室へ行きました。ですがバルの事は先程で終了していますし新しいバル情報が書かれている書物があるわけでもありません。


ただ執務室でお茶を頂いているだけですわ。エリアス王太子様がニコニコして私の前に座っています。


その笑顔を見ると胸がドキドキします。けれど見つめられると恐怖心が出てきますの。

私はドキドキと恐怖心との狭間で眩暈がしました。


エリアス王太子様とはあまりお近づきにならない方がいいですわね。私の気持ちが忙しすぎて倒れてしまいそうです。そもそも王族と関わってしまったら私の地味に静かに目立たなくの目標が駄目になってしまいますもの。

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