お姫様の婚約者になりそうですわ
屋敷に帰ってからお母様はお父様に早速ご相談です。色々うるさそうなのでお兄様は外してます。
「驚きましたわ。エレーネ様、実は男の子でしたのよ?正妃様のご長男、エリアス様が15歳になって王位継承権が確実になるまでエレーネ様一派はその気はありませんと気持ちを見せる為に女の子として過ごさせているみたいですわ」
「無駄な争いを起こしたく無いのは分かるが可哀想にな。エレーネ様の母君は側室だが国王様が溺愛しているらしいからな」
「それでこの事は一部の人達にしか知らされていないので内密に話を進めたいと言われましたわ。今回のご学友探しも、もう内部事情を知っている宰相様のお嬢様に決まっていたそうよ。何故あの場にエレーネ様の母君様がいらっしゃらなかったのか不思議でしたけれど最初から決まっているのなら納得ですわ」
「選ぶよって形だけやらないと周りがうるさいからな~。で?なんで我が家が内部事情を話されたんだ?」
お話は進んでいきます。私はお2人がお話しするのを見ながらホットミルクを頂いております。
「それが予期せぬ事が起こりましたの。エレーネ様がアイラに一目惚れしたとおっしゃって......。是非お嫁さんにしたいと......」
ガシャャャーーーン!!!
お父様、落ち着いて下さいませ。何も今直ぐに嫁ぐわけではございませんのよ?
ま、嫁ぐ気もありませんけれど。
後ろに待機していたマリルが粉々になったコーヒーカップを片付け始めましたわ。このお話は内密なので事情を知っているマリルだけ同席していますわ。
「な、な、何だと!?エレーネ様だってアイラと同じ年の5歳だろう!?一目惚れなんて言っているがそんなの直ぐに忘れるだろうに!!」
お父様がワナワナしています。
「私もそう思うのですけれど、エレーネ様の侍女がとりあえずご学友として通ってもらえないだろうかって。エレーネ様が諦めてくれないようですわ」
お父様がため息をつきましたわ。
「エレーネ様はアイラの気持ちを無視して事を進めたくないとおっしゃっているそうなの。そしてエリアス様の王位継承権が確実になり王太子様になられた時は男性のお姿に戻られるようですわ。その時までにアイラの気持ちを変えてみせるって」
うん。そうおっしゃっていましたわ。5歳児なのにとてつもない色気を出しまくっていらっしゃったわ。女子力的に私、完敗でございました。
「アイラはどうなんだい?ご学友として通いたいかな?」
お父様から発せられるオーラは断ってくれ、本人が嫌がればあちらも無理にとは言わないはず。と言っていますね。
うーん。私も王城にはクソ野郎が居るので出来れば近寄りたくないのですけれどエレーネ様にはなんというか人を惹きつける魅力がおありでして。クソ野郎とは全然似ていなくて側に居ても嫌ではないのですわ。そして前の人生では一度も絡んだ事がありませんでしたの。だからでしょうか?興味があります。それにいざという時に王族の知り合いがいると心強いのでは?
「かよってみてもいいです」
がーーーん。ってお顔をしてますわ、お父様。
「エレーネ様のお嫁さんになりたいのかな?」
もう涙目に涙声ですわ。
「なりません。わたしはしょうらいおとうさまとけっこんするのです」
ぱぁぁぁーーとお父様のお顔に光がさしました。ふぅー。良かったですわ。
「ふふふ。お父様はもうお母様のものですからアイラは結婚できませんけれどね......」
低く小さな声で呟いたお母様が何気に怖かったですわ。
その夜。いつものパターンでアクアがやって来ました。
「おいチビ。お前王子の嫁になるのか?」
情報が早いですわね。流石悪魔です。
「ならないです。しょうらいのためにふといぱいぷをつくっておくだけですよ?」
「保険ってやつか。お前、将来何がしたいんだよ?俺の嫁になるんだから俺がどうにかしてやるぞ?」
「よめにはなりませんので、どうにかもしなくていいです」
「いや、絶対に俺と結婚したくなるって」
その自信は何処からくるのでしょうか?
「ま、そんなんでだな、俺もチビの護衛として王城に行く時は付いて行くかな。チビの両親からはエレーネとかいうやつのご......が?なんだかってやつに選ばれたからって事しか聞かされてないが事情は全部知ってるから何かあったら俺を頼れよ」
「そうですか。よろしくです」
「しかしな~。変な虫っていうかそんな面倒な虫をつけてくなよ」
「しずかにしてたつもりです」
「チビはもう少し自分がどれだけ人を惹きつける存在なのか自覚しろ。分かったな?」
「うー?そうなのですか?」
それならばこれからはもっと目立たないようにしないとですわね。私は静かに暮らしたいのですから。
数日後、ご学友には私と最初から決まっていたユリアン様の2人が決定したと国王様からご連絡がありました。
エレーネ様は私だけでいいと駄々をこねたようですが一目惚れうんぬんの事情を知った国王様がそれはちょっと、と待ったをかけて下さったようですわ。
良かったです。流石に2人きりでは落ち着かないですものね。
それに3歳の時に誘拐されている私は王族の嫁には相応しくないと思われているはずですわ。何もされていなくてもそれを証明する手立ては無いのですから。あっ、串刺しにされていましたね。何もされていなくは無かったですわ。串刺しですもの。




