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断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい  作者: 花音月雫
第一章

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お姫様に挨拶しました

「はじめまして。あいらえばんずです。ごさいです。よろしくおねがいします」


私は頑張ってヨロケないようにカーテシーをしましたわ。5歳児の挨拶ってこんな感じかしら?


「顔を上げて下さい」


エレーネ様の侍女が言いましたので私はゆっくりと顔を上げました。

するとエレーネ様が青く綺麗な瞳をこれでもかってぐらい大きく見開いて私を見ています。

あ?もしかして挨拶間違えました?5歳児ってもう少し話せます?


「あ......よ、よろしく......」


エレーネ様が何やらモゴモゴと小さなお声で喋っています。お顔も真っ赤ですわ。体調大丈夫でしょうか?


「姫様もよろしくと言っておられます」


侍女が通訳してくれましたわ。

ありがとうございます。


挨拶が済んだのでその場を離れようとしましたら突然エレーネ様が私の腕を掴んできました。


「え?」


「え?」


このびっくりの「え?」は私と侍女の声です。


「まて。この後、一緒にケーキを食べよう」


お顔が真っ赤なままエレーネ様が私をお誘いになりましたわ。これはまずいですわ。何がエレーネ様の心に響いてしまったのでしょう?

緊急事態発生ですわ。


「エレーネ様のお誘い、光栄でございます。後ほどご一緒させて頂きます」


お母様が頭を深々と下げて言いました。

私もそれにつられて頭を下げました。

一旦その場を離れましたがとてもテンションが下がっていますわ。


「少しだけお茶をご一緒したら直ぐに帰りましょう?ね?」


「はい」


お母様の言葉に頷く私。

そうですわよね。エレーネ様直々にお声かけして頂いたのですからケーキを食べに行かないわけにはいきませんわ。


お母様が何処ぞのご婦人に声をかけられ少し私の側を離れましたわ。私はマリルと壁の方にある椅子へと移動しました。そして座り会場全体を見渡します。


すると1人の女の子がジュース片手にフラフラ歩いています。

あっ、あの子は!

思い出しましたわ。前の人生の時に私とぶつかってあのジュースを私のドレスにかけてしまうのです。


その時はシャーロットがささっと来てその場を取り仕切り丸く収めていましたわね。今回は私があの子の近くに行かなければそんな事は起こりませんわよね。安心、あんし......。


って、全然安心ではなかったですわ!

なんと、違う子にジュースをかけてしまっているではありませんか!

なんてドジっ子なのでしょう!


ジュースをかけられた女の子は怒りでプルプル震えています。この場で喧嘩になってしまってはお互いのこの後の人生に影響がありますわ。

これは王族主催のお茶会なのですわ。普通のお茶会ではないのですの!!


私は影の様にさささぁ~と移動してまずは扉の前で待機しているメイドに言いました。


「あそこのてーぶるのよこにいるおんなのこのどれすがよごれてしまっています。よろしくおねがいします」


そして今にも喧嘩になりそうな2人の方へ走ります。


「いま、めいどさんよんだので、どれす、きがえてください。こちらでよういしているどれすは、すてきなのばかりなのでえらぶのもたのしいですよ?それにきがえたどれすはもってかえれますよ?」


ジュースをかけられた女の子は途端に目を輝かせて言いました。


「そ、そうなの?」


そういう事ならみたいな雰囲気になったところでメイドが来てその子を密かに連れ出しました。もちろんその子の保護者も一緒にです。


ジュースをかけてしまった女の子には


「これでだいじょうぶです。あのこのきげんもよくなります。まただれかにかけてしまわないようにきをつけてくださいね?」


と、言って私はさささっ~と壁の椅子に戻りました。どうですか?完璧に目立つ事無く事件解決しましたわ?


前の人生で私はかけられた側だったので王城の方でお茶会でのどんなトラブルにも対処できるように色々用意している事を知っていたのですわ。ドレスの着替えもその一つですの。


こんなに沢山のお子様がいらっしゃるのですから何かしらトラブルはつきものですわよね。王城の準備も万全って事です。


「お嬢様!お見事です!なんて素晴らしい活躍ぶり!私は感動して涙が......。して、お嬢様はあの子達に何を言ったのですか?」


マリルは直ぐ感動します。


「ひみつ」


説明が面倒なのですわ。


お母様が戻って来た途端にエレーネ様の侍女が私達を迎えに来ました。

私達はエレーネ様が控えていらっしゃる少し小さなお部屋へと案内されました。


「どのケーキが好きなのだ?」


「ちーずけーきがすきです」


「そうか。沢山食べろ」


「はい。ありがとうございます」


うん?エレーネ様、話し方が殿方のようですわね?あ、アレですわね。幼い頃はちょっとヤンチャで自分の事を僕とか言ってしまう女の子いますわよね。


「先程は見事な働きだった。アイラはそのう......か、か、可愛いうえに優しく人に気を遣えるのだな。まだ5歳なのに」


み、み、見られていましたの!?それは困りました。あんなザワザワした会場では誰も私など見ていないと思って油断しましたわ!


まだ5歳なのにって、エレーネ様にもそのままお返ししますわ。まだ5歳なのにしっかりしていらっしゃる。


「マカロンは好きか?」


「はい。ぴんくのがすきです」


「イチゴ味のやつだな。ほら口を開けろ」


「!?」


エレーネ様が私の口の前にイチゴのマカロンを持ってきました。こ、これは?一時期お兄様のマイブームになった「あーん」攻撃なのでは?


エレーネ様がグイグイ私の口にマカロンを押し付けてきますわ。

マカロンにヒビが入るほどグイグイ。

力の加減が出来ていませんわ!


「ふぐっ」


私は口を開けるタイミングが分からずふぐふぐしてしまいました。


「ふむ」


と言ってエレーネ様はそのマカロンをご自分で召し上がってしまいました。

間接キスになっていますが大丈夫でしょうか!?

ちょっとエレーネ様が何を考えていらっしゃるのかが分かりません。


「アイラ、お前は全て私の好みだ。一目惚れをした。人生において初めての事なのだ。将来は嫁に欲しい。エバンズ夫人、考えてみてくれないか?」


最初は私に向けて次はお母様に向き直りエレーネ様はハッキリとおしゃいました。


は?エレーネ様はお姫様でございましょう!?それなのにこの男前な殆どプロポーズのような申し入れ。


一目惚れが人生において初めて。そりゃそうなのでは?まだ生まれて5年しか経っていないのですから。


ですが、この場はご学友を決めるお茶会ですわよね?私は混乱していますわ。


キラキラと光る青い瞳にじっと見られて少し恐怖さえ感じます。ひっ!!エレーネ様の手にはまたマカロンが握られていますわ。今度は黄色いやつです。

グイグイ......。グイグイ......。

ふぐっ!

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