ルース様に溺愛?されていますわ
最近バタバタしていてルース様に会う機会がありませんでしたの。久しぶりに遊びに来てくれましたわ。きちんとお兄様が居ない時間に。
「俺のアイラ!しばらく会えない間に更に可愛くなったな!元気だったか?」
ルース様もしばらく見ない間に9歳とは思えないほどムキムキになられましたわね。どんどんカッコ良くなりますわ。
「るーすさまもおげんきでしたか?」
「ああ!元気だよ!でもアイラに会えなくて寂しかった!」
ふふふ。嬉しい事を言って下さいますわ。
「でもこれからもっと会えなくなる......。俺、聖騎士目指すの止めたんだ。これからは戦場騎士を目指す!だから10歳になったら戦場騎士の学校に行くんだ。そこは少し田舎にあって寮生活になんだよ......」
まぁ!ルース様の将来が変わったのですね!
「そうなのですか」
それは、それで頑張って頂きたいですわね。でも戦場騎士、それは戦いがあると1番に敵の陣地に攻めに行く騎士達のことですわ。心配もありますがルース様が決めたのならば応援しなければいけませんわね。
「ああ、あの時......アイラが目の前で刺されて血が流れ出て......。その時とても興奮したんだ。綺麗だった。血塗れのアイラはもう最高だった......」
え?
「アイラの血が見たくて見たくてたまらないんだ」
は?
「他の誰かの血を見ても何とも思わないんだけど」
マリルとアクアが私をルース様から静かに離し距離をとりましたわ。
「アイラは刺されても聖力で治せるだろう?」
嫌な予感がします。
「アイラが治してくれた俺のこの手はきっと......アイラを刺す為に治ったんだと気がついたよ」
「そんなわけあるか。この変態が」
アクアがさらりとルース様を変態認定しましたわ。
「だから戦場で鍛えてアイラを上手く刺せるようになって戻ってくるよ!」
「お戻りにならなくても結構です」
マリルが冷たく言い放ちましたわ。
「だからね?俺が刺したら自分で治してね?出来るだけ痛く無いように刺す訓練してくるから。何回も何回も刺させてね?」
うっとりと話すルース様。
私は殺人鬼を誕生させてしまうのでしょうか?戦場騎士になり敵を練習台にすると仰られているのですわよね?やはりあの串刺しは幼いルース様に影を落としてしまっていたのですね。
「これ、結婚の約束。つけてくれると嬉しいな」
ルース様は真っ赤な石が付いているネックレスを私に差し出しました。
「けっこん?」
「うん。もちろん俺達結婚しないと。結婚したら屋敷から出たら駄目だよ?他の誰かがアイラを攫って刺したら大変だ。アイラを刺していいのは俺だけだから。毎日、毎日、俺が刺してあげるからね!」
誰かが刺すって。
ルース様、自分を基準になさっては駄目ですわ。普通の方はそう簡単には人を刺したりしませんわよ?
「頭がおかしいですね......」
「それは俺も激しく同意する」
マリルとアクアが私を引っ張っていくものですからルース様とは部屋の端と端の距離にまでなっています。
それでもルース様は2人の言う事をガン無視して、といいますか聞こえていない?感じで話を進めてきますの。
「多分俺が学校を卒業するまでは会えないと思う。いや、会ってはいけない気がするんだ。アイラを見たら刺したくなるから。それは結婚した後でゆっくりね?だからアイラが18歳になったら迎えに来るから待って。絶対に」
「迎えに来るな。この変態野郎」
「その頃は俺の嫁になってるからな~。残念だな、変態ヤロー」
マリルとアクアが一応、私の代わりにお断りしてくれていますわ。ありがとうございます。ついにマリルにも変態認定されてしまいましたわ。
その後、ルース様は爽やかに帰っていきました。私の安全地帯が危険地帯へと変わった日でしたわ。複雑な気分です。
マリルがルース様から頂いたネックレスを思いっきり床に叩きつけていました。
あらあら、ネックレスに罪はないですわ。身に付けるのはちょっと怖いので箱にしまっておきますわね。
前の人生と沢山の事が違っています。私は静かに暮らしたいのですが大人になると色々面倒な事が待ってるようですわね。それはほぼ確定です。
お兄様はきっと私を嫁にしたがりますでしょうし。でも血の繋がった兄妹なので結婚は出来ません。シャーロットは私を監禁しそうですし、アクアは私を襲い嫁にしようとするでしょうし、ルース様は私を刺しに来ます。そして魔王がやって来るのですよね?どれだけハードな人生なのですか?
天使が今世は好きに生きても良いと、生きてさえいれば良いと言いましたが何故だか周りが......。魔王との対決は回避出来なさそうとは思っていましたがこんなにも色々あるとはですわ!!
うーん。私をほっといてくれないのならば大人になったら家出をしましょう。そうです。それが良いですわ。
自立できるように今から色々と学んでおかなければいけませんね。
それから数日してシャーロットがお一人で遊びに来ました。なんでもオレット様は何処ぞこのお貴族様のお茶会に参加しているそうですわ。その留守に内緒で来たのですって。
私の所に来る前にお母様とお話をされていましたわ。シャーロットは7歳にしては大人の考え方をするのでお母様と話が合うのでしょうか?
私も中身は18歳ですけれど今は知られてはいけないと思いますのでぽやぽやな5歳児でいかせて頂きますわ。
「アイラ!エレーネ様のご学友に選ばれたのですってね!流石は私のアイラだわ!選ばれると思ってた!」
ぎゅーとまた抱きしめてきます。
「でも王城は魔の巣窟よ......。可愛いアイラは変な奴らの餌食にされちゃうかもしれないわ」
大丈夫ですわ。私これでも中身は18歳なので何かあれば逃げれますわ。
「だいじょうぶですよ?こわいことがあればにげます」
「アイラが逃げても直ぐに捕まってしまうわ!そうしたらあんな事や、こんな事や......ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
うわっ!びっくりしましたわ!
どうされました?シャーロット?
「あ......ごめんなさいね。つい自分のリアルな想像で死にそうになってしまったわ。はぁ、はぁ......」
「しゃーろっと?はなぢがでてますよ?」
鼻血が出るような想像って何ですの!?王城ってそんな危険な場所でしたでしょうか?
「おい、変態その2。これで鼻血を拭け」
アクアがハンカチを手渡します。案外優しいところもあるのですわね。
2枚目も見る見る真っ赤になってしまって4枚目でやっと止まりましたわ。
良かったです。
「でも、私がアイラを守ってみせるから安心して?ね?」
そう言って微笑んだシャーロットは女神の様に綺麗でしたわ。




