アトラシア第15章 神の暴力
神は、暴力さえも行使した──この地に、その証が眠る。
第15章 神の暴力
深い森の奥、黒く焦げた岩と苔むした柱の間に、かつての都市の面影がかすかに残っていた。
「どうやらここは……都市だったようだ」 天蓋の裂け目から差す光に照らされ、朽ちた石段を見下ろしてサナが息をのんだ。焦げた地面、崩れた柱、焼け落ちた祭壇。あらゆるものが何かに焼かれ、溶け、呑み込まれた痕跡を残している。
ソウタは、筆を取り出して小さな術陣を描いた。 地層の構造を読み取るための、空中に浮かぶ簡易解析陣だ。
筆先が光を帯びると同時に、地面の裂け目がわずかに輝きを返す。 「これは……術式爆弾。しかも、超巨大焔術式爆弾の痕跡だ」
理術の知識に基づく図形的な視線が、無数の断面から旧時代の構造を読み取っていく。 「ここで何かが爆発した。……ソドム型焔爆の痕跡だ」
ふたりは、かつて都市だった場所に踏み込んだ。
階段の奥にあったのは、今もかすかに光る封印文字。崩れた回廊の先に、地下へと続く扉が口を開けている。
「ここから……入れるね。気をつけて行こう」
足を踏み入れた地下は、ひどく静かだった。壁面には律官の持っていたであろう剣や雷の紋が刻まれていたが、そのほとんどが焼け焦げ、変形し、風化していた。
長い通路の先で、ソウタの目に何かの装置が映った。
「これは……術陣の起動装置? これは……ホログラフィー」 ソウタが指で触れると、古びた石盤が、淡く光を放つ。
その瞬間ホログラフィーが再生される。
「我らが王、報告します。超巨大焔爆によって都市は壊滅しました」
「そうか」
「すぐに熱線が地下に押し寄せて来るでしょう、如何しましょう?」
王はしばらくの沈黙の後口を開いた。
「神よ……何もここまでしなくてもよろしいのでは……」
その後すぐに熱線が王と報告をしていた律官を焼き払った。
ソウタはハッと目を見開いた。
この遺跡は、混沌紀に、神が振るった"暴力"の痕跡だった。
サナがため息をつき言った。
「神さまって残酷ね」
ふたりは、静かにその核心に近づいていた。
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