アトラシア第12章 サナとの再会
旅立ちの前に、再会と準備の時が訪れる。
第12章:サナとの再会
冥府セムカトラへ向かう覚悟を決めたソウタは、旅の準備をするため街を歩いていた。
冥府は未知の地。今の工具だけでは、心許ない。
「装備を整えないと……。」
考えた末に、ソウタは町外れの鍛冶屋へ足を運んだ。
闇市で聞いた話によると、そこには優秀な焔匠がいるという。
店の奥から響く金属音。
カン……カン……と心地よく響くそのリズムに導かれ、ソウタは店の戸を叩いた。
応対に出てきたのは、鍛冶屋の主人……ではなく、見覚えのある少女だった。
「サナ……?」
少女は少し驚いた顔を見せたが、すぐに微笑んだ。
「やっぱりソウタだ……来ると思ってた」
「え、どうして……」
「わたしも、あの“声”を聞いたの。……ソウタを助けろって」
サナは焔匠の見習いとして、今の店で働いていた。
声に導かれてここに辿り着いたと言う。
「焔匠として未熟だけど、力になりたいの」
サナは真っ直ぐな目でそう言った。
ソウタは言葉に詰まった。
だが、自分の中の何かが、“彼女もまた選ばれたのだ”と確信していた。
「……ありがとう、サナ。ちょうど装備を作ってくれる仲間を探していたんだ。心強いよ」
旅の準備は整いつつあった。
ソウタの装備は、サナが鍛冶場で作ってくれたものだった。
筆は彼自身が持っていたが、回転ノコギリは、サナが素材選びから組み立てまで手をかけた特注品だ。
「こっちは火花が出にくい構造にしてあるから、術陣と干渉しにくいよ」
サナはそう説明しながら、鍛冶場の片隅に据えた小型炉の熱で金属を柔らかくし、工具の最終調整をしてくれた。
「この炉、小さいけど意外と火力あるんだよ。焔術で微調整できるからね」
彼女自身の装備は火縄銃と槌。焔匠らしい、威力と近接制圧を重視した構成だ。
彼女は煙管も腰に提げていた。
「術陣を描くのは苦手だけどね」と、サナは笑った。
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