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第二話 首都ヴェルデンホルム1

ケイは進学のため首都へ向かう列車に乗った。彼を待つ街は…

『次は、ヴェルデンホルム西入口です。当列車はまもなくアルカディア条約指定区内へと入ります。ユヴェリア王国籍の皆様は、検問に備えパスポートをご用意ください』


車内アナウンスが響き、ケイは窓の外へ視線を向けた。

列車の進行方向には、これまで延々と続いていたのどかな田園地帯や深い森は途切れ、地平の先には場違いなほど巨大な都市の輪郭が浮かび上がっていた。


「あれがアルカディア……。話で聞いていたより、ずっと巨大で栄えてるな」


ガラス越しに見つめながら、ケイは思わず感嘆の息を漏らした。

やがて列車は減速し、ヴェルデンホルム西入口駅に停車した。ここから先は「アルカディア特区」となるため、国境線と同等の厳重な検問が行われる。


コンパートメントの扉が開き、警察官によく似た制服姿の審査官が足を踏み入れた。


「ここから先はアルカディア特区となります。パスポートを拝見できますか」


「はい。これです」


ケイは鞄から手帳型の身分証を取り出し、手渡した。審査官はページを開きながら、事務的な口調で問いかける。


「お名前と、特区への入区目的を」


「ケイ・ストロームです。ヴェルデンホルム高等大学への進学のため、ポルトから来ました」


「高等大学へ?」


審査官がわずかに目を丸くし、それからパスポートをケイに返して微笑んだ。


「それは名誉なことですね。ポルトからだとかなりの長旅だったでしょう。お疲れ様です。大学での研究、頑張ってくださいね」


「はい、ありがとうございます」


審査官が隣の車両へと移っていくと、やがて発車を知らせる短いアナウンスが流れた。


『検問が終了いたしました。当列車はこれより、アルカディア特区内へと進入します』


重い駆動音と共に、列車が再び動き出す。

窓外を流れる景色は、もはやケイの知る世界とは完全に切り離されていた。

ポルトや道中で通り過ぎてきた街とは比べ物にならないほど巨大な建造物が、幾重にも連なっている。中央駅へ向かうにつれて線路の数は増え続け、何本もの鉄路が複雑に平行して走る様は、この特区の異常なほどの物流と人口を物語っていた。


『長らくのご乗車、お疲れ様でした。当列車はまもなく、終点ヴェルデンホルム中央駅に到着いたします。お忘れ物などございませんようご注意ください。本日はユヴェリア国有鉄道をご利用いただき、ありがとうございました』


車内アナウンスが終わると同時、列車は薄暗く巨大なドーム状のホームへと滑り込み、ゆっくりと停車した。


「ふわあぁ……やっと着いた」


座席から立ち上がったケイは、大きく伸びをして息を吐き出した。8時間乗りっぱなしの体には、さすがに疲労が溜まっている。

トランクを手にして列車を降りると、ホームにはポルト駅とは比較にならないほどの人間が溢れかえっていた。


「すごい人の数だ……。これが、アルカディアか」


ケイは圧倒されながらもトランクの持ち手を握り直し、足早に行き交う人々の波に流されるようにして、ヴェルデンホルム中央駅の巨大な改札へと歩き出した。


今回はあんまり特に語ることもないというか、

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