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月の滴  作者: あれっきーの
袖の触れあいは一期一会
44/136

044 裸の付き合い

アクセス数の増減に一喜一憂している作者です。

いずれは気にならない日が来るのかしら。




--------------






 せっかくなのでと、サヤーニャのお勧めする温泉に入ることにした。

 彼女について行くと、途中の露天で卵と鶏肉等の食材を選ぶことになった。


「温泉に入るのになんで食料を買うんだ?」


「あー。ダーシャ君は知らないんだ。」


 1人納得顔のサヤーニャはニヤリと笑うと「後のお楽しみ。」と説明してはくれなかった。


「まぁいいから、行きましょう。」


 10分ほど丘を登るり、頂上にある温泉施設に到着した。


 受付にお金を払うと、相棒(バディ)をペット専用の湯に案内した後、俺達も脱衣所に移動した。


「ここの温泉が一番好きなのよ。」


 なんでも湯の色がお気に入りらしい。


「ダーシャ君はそっちで着替えてね。」


 (チラヴィエーク)と書いた暖簾を指差し


「それとも、私と一緒に着替える?」


 サヤーニャの言葉が聞こえないふりして、さっさと暖簾をくぐった。



 露店で買う時に聞いたが、湯浴着は薄い布地のバスローブの様で、下着を脱いだまま着るらしい。前で合わせるとわき腹にそれぞれ結び紐があるので、それを結んで服がはだけるのを防ぐらしい。


「なんか、心細いな。」


 薄衣に包まれてるとはいえ、下腹部の風通しがよくスースーしている。慣れた人だと、湯浴着をつけずに布で隠して入る者や、最初から裸で湯に浸かる猛者もいるらしい。


 不安を抱きながらも湯殿に足を運ぶと、サヤーニャのお気に入りになった理由がを理解できた。


 丘の上から眺める風景は、緑の絨毯を敷き詰めたかの如く、この辺り一帯の盆地を一望でき、遠くには滝の流れも望んでいる。湯の色はなんとコバルトブルーだ。湯の成分で色が変わると知識では知っていたが、こんなにも綺麗な色が出るのかと思わず感心した。


 湯には先客がいて、恰幅の良い老夫婦が俺の驚きを満足そうに眺めていた。


「お若いの居らっしゃい。あんた、ココに入るのは初めてかい? それならこの湯治村一番の湯にようこそ。」


 爺さんはわっはっはと体を揺らして俺を歓迎してくれた。


「いや、なんと言うか、言葉が出ない程の感動です。絶景とはここで使うために有る言葉なんでしょうか。」


「いやいや、絶景というのは、後ろのお姉ちゃんを見て言う言葉だよ。」


 助平そうな顔でニヤリと後ろを促すと、サヤーニャが湯浴着で入ってきた。


「ちょっと、サヤーニャ。何で君が此処に居るんだ。」


 思わず目をそらす。


「それを私に言う前に、お話してたご主人の横に奥様が居る事に気がつかなかったの。」


 言われてみれば、確かに老夫婦が居ると認識していた。絶景に目を奪われてたので、そこまで気が回っていなかった。そこにサヤーニャの登場で軽くパニックになっていたようだ。


「それは良いとして、何で男女一緒なんだ?」


「男女一緒だから湯浴着が必要なのよ。」


 単純明快な返事が返ってきた。てっきり見知らぬ同性愛者が居るので、それの保護的な意味でこれを着るととらえていた。


「まぁ、裸の付き合いって事でよろしく。」


 そう言うと、露店で買った卵と鶏肉をざるに入れて、湯気が立ち上るかまどに放り込むと蓋をした。


「出るころには完成してるわね。」


 老夫婦に改めて挨拶をすると、4人で景色を眺めながら温泉を楽しむのだった。


--------------


もうすぐ50話が見えてきました。

アンケートなど企画してますので、準備でき次第此方で連絡します。


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