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新たな戦い

こんにちは。関俊彦です。

まずはお詫びを。

本来は昨日投稿予定でしたが、体調を崩してしまい、一日遅れの更新となりました。

楽しみにしてくださっていた皆様には申し訳ありませんでした。

幸い大事には至らず、こうして続きをお届けすることができました。

さて、第7話「新たな戦い」です。

前回、征人は制人を失い、神子は昏睡状態となりました。

絶望の中にいた征人ですが、神子が残したAI「M1」によって、少しずつ前を向き始めます。

そして今回、神子が隠していた秘密が明かされます。

破魔家のこと。

異能のこと。

そして神子の胸に宿る「何か」のこと。

一方その頃、世界最大のガーディアン企業 NEXT社では、誰も予想しなかった異変が起き始めていました。


物語の大きな転換点となる回です。


それでは、第7話をお楽しみください。

「……何から話そうかな」

立体映像の神子が、少し困ったように笑う。

征人は黙ったまま見つめていた。

消えたはずの声。

失ったはずの日常。

それが今、目の前にある。

「征人って、私の苗字が“濱”だと思ってるよね?」

「……違うのか?」

「本当は“破魔”」

空気が変わる。

「昔の世界――奈良時代から続く陰陽師の家系」

「陰陽師……?」

征人が眉をひそめる。

「私たちの家系は、生まれつき“異能”を持って生まれるの」

神子の瞳がまっすぐ征人を見る。

「それは、この仮想世界でも変わらなかった」

「異能……」

「兄さんも、私も。そして――征人も」

征人の目が見開かれる。

「俺が?」

「征人、自分がどうしてルミナスギアを装着できると思ってる?」

「……たまたまだろ」

「じゃあ、光さんは?」

突然振られた光が両手を振る。

「無理無理! 私、適性ゼロだもの」

神子が頷く。

「そう。ルミナスギアは、“異能を持つ人”しか装着できない」

沈黙。

「征人って、昔から好きだったよね」

神子が少し笑う。

「超能力とか、霊能力とか、不思議な話」

「まあ……嫌いじゃなかったな」

「それが異能」

神子は静かに続ける。

「まだ発現してない人もいる。でも、異能を持つ人だけがルミナスギアに選ばれる」

征人は自分の手を見る。

昨日の“ズレ”。

時間が飛んだ感覚。

「……でも、俺、適性検査なんて」

「覚えてる?」

神子が優しく言う。

「うちのお母さん」

「ああ……」

「母さんの異能は、“異能持ちを見分ける力”だった」

神子が笑う。

「だから征人を見た瞬間、“この人はすごい”って言ってた」

「それで、ルミナリングを渡したのか」

「うん」

少し嬉しそうに。

「一発で着装したから、びっくりした」

征人は顔を上げる。

「神子、お前の力は?」

一瞬。

神子の表情が揺れる。

「……私の異能は、“停止”」

「停止?」

「うん」

神子は、自分の胸へ手を当てる。

「私、お母さんのお腹の中にいた時、“何か”に存在を奪われそうになったの」

空気が冷える。

「抵抗した。でも、その時――」

神子の胸元に、黒いノイズが浮かぶ。

「心臓に、“何か”を打ち込まれた」

征人が息を呑む。

「その瞬間から、私はずっと“停止”させてる」

「何を?」

神子が、静かに答える。

「私の中にいる“何か”を」

部屋が静まり返る。

「でも……グリーフ・ミラーに感情を沈められた時、力が緩んだ」

黒いノイズが広がる。

「侵食が始まったの」

「……神子」

「今は、自分自身も止めてる」

神子が苦笑する。

「感情も、進行も、全部」

「取り除けないのか!?」

征人が叫ぶ。

神子は少しだけ黙る。

「……分からない」

それでも。

神子は笑った。

「でも、諦めたら負けでしょ?」

征人を見る。

「だから、私は戦ってる」

少しだけ、いつもの神子の顔。

「征人も、心配しすぎないで」

映像が乱れる。

「……もう、この話はおしまい」

「待て、神子!」

手を伸ばす。

だが。

映像は消えた。

静寂。

征人は拳を握る。

「……分からない」

震える声。

「でも」

ゆっくり立ち上がる。

「俺が、お前を助ける」

その目に、ようやく光が戻る。

「絶対に」

その頃。

NEXT社本社地下ラボ。

風間、赤城、黄瀬の三人は、研究用ベッドへ固定されていた。

無数のケーブル。

心拍モニター。

データ解析装置。

「所長!」

研究員が叫ぶ。

「被験者の心臓温度が急上昇しています!」

モニターが赤く染まる。

「止まりません!」

風間の身体が震える。

赤城の輪郭が、ブレる。

黄瀬の皮膚に、紫紺のノイズが走る。

「……なんだ、これ」

モニター上で、三人の座標値が消失と出現を繰り返す。

存在位置が固定できない。

「まさか……!」

研究員が青ざめる。

「“通路化”が始まっている!?」

次の瞬間

三人の身体が、紫紺の粒子へ崩壊した。

消えたのではない。

“どこかへ繋がった”。

空間に、紫紺の亀裂が走る。

その奥に――

“何か”が蠢いた。

その日。

NEXT社本社から、社員が一人残らず消えた。


第7話を読んでいただき、ありがとうございました。

今回は大きな戦闘シーンはありませんでしたが、物語の核心に近づく重要な回になりました。

征人が再び立ち上がる決意を固めること。

神子が抱えている問題。

ルミナスギアと異能の関係。

これまで散りばめていた伏線を少しずつ明かし始めています。


また、最後に描かれたNEXT社の異変は、今後の物語を大きく動かしていくことになります。

作者としては、征人たちの日常を書いている時も楽しいのですが、世界の謎や災厄の使徒たちが動き出す場面を書くのも非常に楽しく、ついつい筆が進んでしまいます。

63歳から始めた小説執筆ですが、多くの方に読んでいただけることが本当に励みになっています。

感想やコメントをいただけると、とても嬉しいです。

「ここが気になった」「このキャラクターが好き」など、一言でもいただけると次回執筆の力になります。

なお、本作は基本的に毎週日曜日更新を予定しております。


次回からは、災厄の使徒による新たな脅威が本格的に動き始めます。

征人たちの運命を、これからも見届けていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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