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最悪な双子-迎撃

国際ドーム上空。


灰色のノイズが静かに広がる。

「トレイター・コードが言ってた場所はここだよ。」

ホロウ・スクリームが楽しそうに笑う。

「今日はたくさんいるみたい。」

ホロウ・ウィスパーも無邪気に頷いた。

「いっぱい泣いてくれるかな。」

「いっぱい絶望してくれるかな。」


二人は手をつなぐように並ぶ。

「楽しみだね。」

「そうだね。」


空間がゆっくりと歪み始めた。

「それじゃ――」

「遊ぼう。」


次の瞬間だった。

二人の身体がドームへ現れようとした、その刹那。

空間全体が黄金色の光に包まれる。

「え?」

「なに?」


景色が消えた。

歓声も。

観客も。

巨大なドームも。


すべてが、一瞬で白い光へ飲み込まれる。

『ルミナスフィールド起動』

無機質な電子音が響く。

気が付けば、二人は見知らぬ大地へ立っていた。

岩肌がむき出しになった荒野。

人気はない。

「……ここ、どこ?」

ホロウ・スクリームが辺りを見回す。

「人間が……いない。」

ホロウ・ウィスパーも困惑した表情を浮かべる。


その時。

「ようこそ。」

低く響く声。

二人が振り向く。

四人の戦士が、すでに戦闘態勢で待ち構えていた。

最前列には黄金を纏う六煌ストライカー。

その左右に蒼天ヴァリアント、雷皇インパクター、黒皇バスティオンが並ぶ。

「ここは戦闘専用ルミナスフィールド。」

征人が静かに剣を構える。

「お前たちの遊び場じゃない。」

太哉が神盾を地面へ突き立てる。

「今日は逃がさない。」

竜一が双槌を肩へ担ぐ。

「借りは返す。」

真也が双剣を抜いた。

「今度は俺たちの番だ。」


ホロウ兄妹は顔を見合わせる。

「待ち伏せ?」


「ずるい。」

「違う。」

征人が首を横へ振る。

「これは作戦だ。」

「お前たちが空間転移で侵入することは、もう分かっていた。」

「だから、その侵入口ごとルミナスフィールドへ転送した。」

ホロウ・スクリームの笑顔が初めて曇る。

「そんなこと……。」

「できるの?」

征人は答えない。

その代わり、一歩前へ踏み出した。

「始めよう。」

その一言が戦闘開始の合図だった。

ホロウ・ウィスパーが両手を掲げる。

『サウンドボム』

圧縮された轟音が無数の塊となって降り注ぐ。

同時に。

ホロウ・スクリームが大きく息を吸い込んだ。

「ああああああああああぁぁぁぁっ!」

絶望を呼び覚ます叫び。

耳ではなく、心へ直接突き刺さる精神汚染。

征人の視界が一瞬だけ揺らぐ。

神子。

制人。

失いたくなかった仲間たちの姿が浮かぶ。

竜一の脳裏には仲間を守れなかった戦場。

真也の前には黄瀬が現れる。

太哉の耳には、助けを求める人々の悲鳴が響く。

「また……。」

真也の足が止まりかけた、その瞬間。

バイザーいっぱいに黄金の文字が走る。

【Combat Support System 起動】

【精神汚染コード検知】

【隔離処理開始】

キィィィィン……

高く澄んだ電子音が響く。

『精神リカバリープログラム実行』

『自律制御へ移行』

四機のルミナスギアが、わずか〇・三秒だけ装着者から制御を引き継ぐ。

視界を覆っていた闇が、一気に晴れた。

「……え?」

真也が目を見開く。

さっきまで目の前にいた黄瀬が消えていた。

「幻覚が……。」

竜一も拳を握り直す。

「効いてねぇ!」

太哉は神盾を構えたまま笑った。

「なるほど。」

「これがCSSか。」

征人も静かに頷く。

「ありがとう。」

誰へ向けた言葉なのか。

すぐに分かった。

『戦闘継続可能』

『精神状態、正常』

四機のAIが同時に報告する。


光の声が通信に乗る。

『みんな、AIが作ってくれた時間はほんの一瞬だけ!』

『その一瞬を無駄にしないで!』

征人は微笑んだ。

「ああ。」

「十分だ。」

六煌戦刃ヘキサブレイカーを構える。

その切っ先が、まっすぐホロウ兄妹へ向けられた。

一方。

ホロウ兄妹は呆然としていた。

「どうして……。」

「どうして効かないの?」

さっきまで笑っていた二人の顔から、初めて余裕が消える。


征人が静かに告げた。

「同じ手は、二度と通用しない。」

その言葉と同時に。

四人のルミナスギアが、一斉に地面を蹴った。

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