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新たな鎧

皆さん、こんにちは。63歳の会社員、関俊彦です。


前回の敗北を経て、それぞれが自分の弱さと向き合います。敗北から何を学び、どう変わるのか。そして、新たな力の兆しとは――。今回も最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

「黄瀬。 ここは、今回の戦いのために準備したルミナスフィールドだ。 前回のテスト用ではなく、外に闘いの影響が出ないためのフィールドだ。 本気で行くぞ!」

「おや、前回も本気で来て、叩きのめされたんじゃないですか。」


蒼牙ヴァリアントが槍を構える。


「行くぞ!」

その声を合図に戦闘が始まった。


真っ先に飛び出したのは蒼牙ヴァリアントだった。

蒼星槍アストラスピアを構え、一気に距離を詰める。

「蒼星絶断アストラルブレイク!」

蒼い斬撃が一直線に走る。


だが。

黄瀬は笑った。

左右のライトニングダガーを交差させる。

ガギィィィィン!!

衝撃波が広がる。

蒼牙の渾身の一撃が止められていた。

「威力は上がったな」

黄瀬が言う。

「だが、遅い」


次の瞬間。

蒼い雷光が走る。

蒼牙ヴァリアントの胸部装甲が切り裂かれる。

「ぐっ!」

吹き飛ばされながらも着地する。


だが蒼牙は理解していた。

前回と同じだ。

当たらない。

届かない。

攻撃力は勝っている。

だが黄瀬の速度に追いつけない。


その隙を突いて雷爆インパクターが飛び込む。

「雷轟殲滅ギガインパクト!」

巨大な槌が振り下ろされる。

大地が爆砕する。


しかし。

黄瀬の姿はない。

「こっちですよ」

背後。

雷爆が振り向いた瞬間。

数の斬撃が走る。

装甲に火花が散る。

「くそっ!」

距離を取る雷爆。


黄瀬は笑う。

「相変わらず重い武器ですね」

「黙れ!」

「一撃は重い」


黄瀬が続ける。

でも当たらなければ意味がない」

爆の拳が震える。

その言葉は図星だった。

前回の敗北から鍛えた。


それでもまだ遅い。

まだ足りない。


黄瀬は二人を見渡す。

「成長したと思いましたが」

その視線が黒峡バスティオンへ向く。


「結局変わっていませんね」

巨大な盾が地面へ突き立てられる。

「黒城鉄壁フォートレスドミネイト!」

漆黒の防御壁が展開される。


「その盾で何人救えました?」

黄瀬が問う。

「何?」

「守るだけで勝てますか?」

蒼い閃光。

防御壁が切り裂かれる。


黒峡が後退する。

「くっ……!」

「あなたは守るだけ」

黄瀬が言う。

「だから勝てない」

黒峡は歯を食いしばる。


守る。

それが自分の役目だった。

だが。

守るだけでは仲間を救えない。

前回もそうだった。


今回もそうだ。


「まだだ!」

蒼牙が立ち上がる。

「終わってねぇ!」

爆も構える。

「もう一度だ!」


三人が同時に飛び出す。

蒼牙の槍。

雷爆の槌。

黒峡の盾。


三方向からの連携攻撃。

しかし。


黄瀬は消えた。

蒼い光となって。

「遅い」

背後から声。


三人の身体に無数の斬撃が刻まれる。

吹き飛ぶ。

転がる。

たち上がる。

また倒される。


それでも三人は立つ。

何度でも。

黄瀬は少し驚いたように三人を見る。

「なるほど」

その声には初めて感心が混じっていた。

「前回よりは強くなった」


蒼牙が肩で息をする。

雷爆の装甲は割れている。

黒峡の盾には深い傷。


それでも誰も倒れない。

「だが」


黄瀬がダガーを構える。

黄瀬が背を向けた瞬間だった。


蒼牙が笑う。

「だからだよ」

黄瀬が振り返る。

「何?」

蒼牙はボロボロになった蒼星槍アストラスピアを地面へ突き立てた。


「お前に負けたからだ」

静かな声だった。

だが、その瞳に迷いはない。

「だから、お前から学んだ」


雷爆も続く。

「俺は遅かった」

拳を握りしめる。

「重い武器こそ最強だと思っていた」


黒峡も盾を握る。

「俺は守るだけだった」

「守れば仲間を救えると思っていた」


三人の声が重なる。

「だから変わる」


その瞬間。

三人のギアに黄金のラインが走った。

オペレーターの声が響く。


『閃光ナイト戦闘ログ同期完了』

『蒼牙ヴァリアント戦闘補正プログラム解放』

『雷爆インパクター戦闘補正プログラム解放』

『黒峡バスティオン戦闘補正プログラム解放』


黄瀬の表情が変わる。

「閃光ナイトの……データ?」


蒼牙が笑う。

「俺たちだけじゃない」

雷爆が言う。

「負けたのは俺たちだけじゃない」

黒峡が盾を構える。

「だから全員の経験を使わせてもらう」

『ロック解除しました』


黄金の光が三人を包み込む。

蒼牙の槍が砕け、二本の剣へと変化する。

雷爆の巨大な槌が二振りの双槌へと分離する。

黒峡の大盾は両腕へ装着された神盾へと姿を変えた。


「蒼天ヴァリアント、見参!」

「雷皇インパクター、顕現!」

「黒皇バスティオン、推参!」


黄瀬が初めて警戒の色を見せる。


「なるほど……」

「それがお前たちの答えか」


蒼天ヴァリアントが双剣を構える。

「お前の速さに追いつくためだ」

二本の刃が黄金の光を帯びる。

当たらない一撃は意味がない」

だから俺は斬る回数を増やした」


雷皇インパクターが双槌を打ち鳴らす。

「重ければ強いと思ってた」

「違った」

「速さも力だ」

「お前に教えられた」


黒皇バスティオンが神盾を掲げる。


「守るだけでは救えない」

「だから俺は守りながら倒す」


黄瀬は笑う。


「面白い」

「なら試してみろ!」


黄閃瞬撃ブリッツインパクト!!


蒼い雷光が爆発する。

かし。


今度は違った。


蒼天ヴァリアントの双剣が斬撃を受け止める。

雷皇インパクターが衝撃波を打ち砕く。

黒皇バスティオンがすべてを防ぎ切る。


三人は止まらない。


黄瀬は困惑した。

ありえない。

さっきまで圧倒していたはずだ。

なぜ見える。

なぜ追いつける。

違う。

成長したのではない。

適応している。

俺との戦いそのものを学習している。


それが閃光ナイトの戦闘データか。


それが人間の進化か。


黄瀬が歯を食いしばる。

「認めるものか!」


だが。

その叫びは遅かった。


黒皇反界リフレクト・ドミネイト!

雷皇双撃インドラ・クラッシュ!

そして。


蒼天ヴァリアントが双剣を重ねる。

蒼天大剣アストラブレイカー。


黄金と蒼の光が融合する。

「これで終わりだ!」


蒼天絶断アストラル・ブレイク!!

巨大な蒼光が黄瀬を飲み込む。

「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」

青いルミナスギアが砕け散る。

紫黒のノイズが噴き出す。


黄瀬の瞳が見開かれる。

「馬鹿な……」

「学習しただと……」

「たった一度の敗北で……!」


その瞬間。

空間に紫黒の渦が出現した。


『黄瀬、帰還しなさい』

トレイター・コードの声。

「しかし!」

『命令です』


黄瀬の身体がゲートへ引き込まれていく。

消え際。


三人を睨みつける。

「次は殺します」

紫黒の光と共に姿を消した。

戦いは終わった。


だが。

本当の戦いはこれからだった。


その頃。


SmB社地下テストルーム。

黄金の光が征人を包み始めていた。

六煌ストライカー適合率。


71%

82%

飛鳥井満が目を見開く。

「嘘だろ……」

誰も起動できなかった試作品ヘキサギア。

それを征人は受け止めている。


その時だった。


征人の背後に一瞬だけ二つの影が現れる。

制人。

そして神子。

二人の幻影が重なった瞬間。


六煌ストライカー適合率。

91%


飛鳥井満が息を呑む。

「なんだ今のは……」

「91%……?」

「まだ上がるのか……?」


光だけが小さく呟く。

「制人さん……」

「神子ちゃん……」


しかし。


別モニターにはさらに別のデータが映し出されていた。

【破魔神装 緋神威・八咫烏】


開発進捗率 41%

光が小さく呟く。

「もう少し」

「あと少しで完成する」

征人はまだ知らない。


神子と制人が遺した本当の力が、ゆっくりと目覚め始めていることを。

そして――

その力こそが。

世界を滅ぼす災厄の使徒たちに対抗できる、

最後の希望であることを。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回はCROSS社の三人が「敗北を力に変える」物語でした。そして、その裏では征人にも新たな可能性が芽生え始めています。次回からは、いよいよ六煌ストライカーが本格始動します。引き続き応援いただけると嬉しいです。

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