再戦
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
前回の戦いを経て、新たな力「六煌ストライカー」の実戦テストが始まります。しかし、新しい力を手に入れたからといって、すべてが解決するわけではありません。
新たな装備、新たな戦い――。
六煌ストライカーの本格的な戦闘を、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。
「適合率九十二%……九十三%……九十四%……九十五%」
静まり返ったテストルームに、M1の報告だけが響く。
『停止しました。これ以上、適合率は上昇しません』
飛鳥井満が大きく息を吐いた。
「九十五%か……」
悔しそうにモニターを見つめる。
「通常戦闘なら問題ない。だが、六煌ストライカー最大の切り札は発動できない」
光が征人へ笑いかけた。
「それでも十分すごいよ。CROSS社で、このギアを起動できた人は一人もいなかった。征人くんが初めてなんだから」
征人は自分の拳を見つめる。
確かに強い。
閃光ナイトより速い。
重い。
硬い。
六つの力が身体に宿っている。
だが――。
(違う)
この力は完成していない。
神子を守ろうとした時。
制人と背中を預けた時。
あの時感じた熱がない。
何か一番大切なものが足りない。
そんな違和感だけが胸に残っていた。
「まずは実戦データを集めよう」
満が笑う。
「理論は戦場で完成する」
光が操作卓へ手を伸ばく。
「征人くん、無理だけはしないでね。」
「はい。」
『限界を超えた場合は、私の判断で強制終了します』
「相変わらず冷静ね、M1。」
「転送開始。」
白い光が征人を包み込む。
『ルミナスフィールド・採石場跡エリア』
眩い閃光が収まり、黄金を帯びた白銀の戦士――六煌ストライカーが立っていた。
「まずは武器の確認だ。」
征人は右手を掲げる。
「白煌剣ルクス・ディバイダー!」
白い大剣が出現する。
その瞬間だった。
『征人さん』
M1の声色が変わる。
『空間歪曲反応』
『敵性存在接近』
地面が紫黒く染まる。
ゆっくりと影が盛り上がり、一体の怪物が姿を現した。
「殺し損ねた獲物の匂いがしたから来てみれば……」
赤橙のコアが不気味に輝く。
「閃光ナイトじゃないな。」
六煌ストライカーを見回しながら笑う。
「閃光ナイトの波動。
蒼牙。
雷爆。
黒峡。
重凱。
紫閃。
全部混ざってやがる。」
征人は剣を構えた。
「俺は六煌ストライカー。」
「そして、お前を倒す者だ。」
カオスが豪快に笑う。
「いい名だ。」
「俺も進化した。」
肩の砲台が展開する。
背中が変形する。
脚部装甲が大型化する。
「前回、お前に負けかけた。」
「だからバージョンアップした。」
「砲撃だけでは足りない。」
「速度も。」
「防御も。」
「全部強くした。」
M1が即座に解析する。
『敵性能更新』
『火力約1.5倍』
『防御性能大幅上昇』
『機動性能向上を確認』
「油断は禁物です。」
征人が頷く。
「望むところだ。」
「速射バルカン、一斉掃射!」
24門の砲口が火を吹く。
轟音。
弾幕が空を埋め尽くす。
征人は左腕を掲げた。
「黒峰重盾アースランパート!」
巨大盾が展開。
暴風のような弾丸を真正面から受け止める。
爆炎。
土煙。
「終わったか?」
煙の向こうから征人が現れる。
「まだだ!」
今度は右手の武器が消える。
「紫焔双銃ルミナス・リベレーター!」
二丁拳銃へ切り替わる。
「穿光極点ルミナスピア!」
二本の閃光がカオスの腹を貫く。
「効くか。」
身体が液体のように変形し、穴が塞がっていく。
当たる前に身体を開いただけだ。」
征人は距離を詰める。
「なら!」
左腕が再び変わる。
「鉄城腕甲フォートレスナックル!」
巨大な拳が剣を弾き飛ばす。
続いて右手が白煌剣へ戻る。
斬る。
殴る。
撃つ。
盾になる。
武器が目まぐるしく切り替わる。
カオスが笑う。
「面白い!」
「六つの力を切り替えるか!」
『征人さん』
M1が告げる。
『敵、防御性能が高すぎます』
『このままでは消耗戦になります』
征人は飛び退く。
「俺もそう思ってた。」
通信が入る。
「征人くん!」
満だった。
「六煌は武器を切り替えるだけじゃない!」
「95%なら4種類の能力を同時発動できる!」
征人の目が光る。
「なるほど。」
「そういうことか。」
M1が補足する。
『現在性能』
『移動速度は敵の約二倍』
征人が笑う。
「勝負は一撃。」
右拳へフォートレスナックル。
脚部へ蒼牙の高速移動。
腕へ雷爆の加速制御。
全身へ閃光ナイトの瞬発力。
四つの能力が同時起動する。
「行くぞ!」
世界が揺れた。
六煌ストライカーが消える。
一瞬でカオスの懐へ。
「終わりだ!」
黄金の拳がコアへ迫る。
しかし。
「甘い。」
ドンッ!!
赤橙の炎が噴き上がる。
カオスの背中が割れた。
両脚にも巨大な噴射口。
「アクセラレートモード。」
征人の拳が空を切る。
「その速度。」
「俺も持っている。」
次の瞬間。
征人の視界からカオスが消えた。
『見失いました!』
M1が叫ぶ。
征人は振り返る。
そこには。
背中一面に推進ノズルを展開したカオス・プロセッサーが立っていた。
「楽しいな。」
赤橙のコアが妖しく光る。
「ようやく本気で殺し合える。」
全身の兵装が一斉展開される。
ミサイル。
レールガン。
バルカン。
レーザー。
征人は剣を握り直した。
視界の片隅には赤い警告。
【適合率 95%】
本当の勝負は――
ここから始まる。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は六煌ストライカーの「95%」という未完成の力と、進化したカオス・プロセッサーとの再戦を描きました。
新しい武器や能力が次々と登場しましたが、まだ六煌ストライカーは完全な姿ではありません。征人自身が感じている「何かが足りない」という違和感が、今後の物語で大きな意味を持つことになります。
そして、進化したのは征人だけではありません。敗北から学び、自らを強化して再び立ちはだかるカオス・プロセッサーもまた、強敵として成長しています。
次回はいよいよ、この再戦が本格的に始まります。六煌ストライカーは完成へ近づけるのか、それとも進化したカオスに追い詰められるのか。
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