ルミナスフィールドでの戦闘-2
こんにちは。63歳の会社員、関俊彦です。
今回は、閃光ナイトとカオス・プロセッサーとの激闘の続きです。新技を得た征人は勝機を掴みかけますが、その一歩先には、あまりにも過酷な現実が待ち受けています。
ルミナスフィールド・市街地エリア。
崩れたビル群の間を白い閃光が駆け抜ける。
その後方から、無数の弾丸が追いかけていた。
ダダダダダダダダッ!!
バルカン砲。
ミサイル。
レールガン。
ありとあらゆる兵器が閃光ナイトを狙う。
「M1! このフィールドで俺が一番有利な場所はどこだ!」
『遮蔽物の多い市街地エリアです。射線を切れる場所が多数存在します』
「そこまで移動するぞ!」
瓦礫を蹴り、ビルの陰へ飛び込む。
爆発が連続して発生した。
コンクリート片が飛び散る。
『征人さんとカオス・プロセッサーは最悪の相性です』
「言われなくても分かってる!」
征人は苦笑した。
『近接戦闘主体の征人さんに対し、相手は超遠距離火力型。さらに武器を破壊しても再生します』
「それでも倒さなきゃならない」
征人の目が鋭くなる。
「ここで止めなきゃ、神子も制人も守れない」
その時だった。
通信回線へ別の声が割り込む。
「征人さん!」
飛鳥井光だった。
「完成したよ!」
「光さん!?」
「新技のプログラム!」
興奮した声が響く。
「閃光エネルギーを連射する『白煌連撃エスペシャリー』!」
「おお!」
「そして追尾型閃光弾『白煌追光ルミナス・チェイサー』!」
征人の表情が明るくなる。
『更新プログラム受信』
M1が即座に処理を開始する。
『インストール完了』
『新技、使用可能です』
「ありがとう、光さん」
征人は剣を握り直した。
「これで戦える」
一方。
市街地の反対側。
カオス・プロセッサーは笑っていた。
「隠れているだけでは俺は倒せないぞ!」
右腕のバズーカーが火を吹く。
轟音。
ビルが吹き飛ぶ。
『敵接近』
M1が告げる。
『あと十メートル』
征人が呼吸を整える。
『七メートル』
足に力を込める。
『五メートル』
剣を構える。
『三メートル』
征人の目が光る。
『今です』
「白煌終断ディバインブレイカー!!」
白い閃光が走った。
ズバァァァッ!!
カオス・プロセッサーの身体が上下に分断される。
「そこか!」
だが。
分断されたまま膝からミサイル。
指先からフィンガーミサイル。
爆発の嵐が征人を襲った。
征人は後方へ飛ぶ。
「相変わらず気持ち悪い再生能力だな」
切断された身体が再結合する。
何事もなかったように。
『映像解析完了』
M1が言う。
征人の視界にホログラム映像が表示された。
「これは……」
切断された内部。
その奥。
一瞬だけ光る紫黒の球体。
『コアと思われます』
「やっぱりか」
征人が笑う。
『あれを破壊すれば敵は崩壊すると予測します』
「なら話は早い」
征人は剣を構えた。
「コアを斬る」
「白煌追光ルミナス・チェイサー!」
剣先から白い光球が放たれる。
一発だけ。
だが。
その光球は意志を持つようにカオスを追う。
「なんだこれは」
カオスが眉をひそめた。
光球が背後へ回る。
横へ回る。
執拗に追尾する。
「うざい!」
レーザー砲発射。
光球が消滅する。
だが。
その瞬間。
征人は飛び出していた。
「白煌終断ディバインブレイカー!!」
二度目の斬撃。
再び身体が裂ける。
今度はコアのすぐ近くまで届く。
「惜しい」
征人が舌打ちする。
「まだ浅い」
カオス・プロセッサーが笑った。
「お前の狙いは分かった」
全身が変形する。
「全兵装一斉掃射」
背中。
肩。
腕。
脚。
全ての武器が征人を狙う。
ミサイル。
レールガン。
バルカン。
レーザー。
「白煌連撃エスペシャリー!」
無数の光弾が放たれる。
閃光の雨。
迎撃。
迎撃。
迎撃。
爆発が空を埋める。
『通常兵器迎撃成功』
「やるな」
カオスが笑う。
「だが――」
右腕が巨大砲へ変形する。
莫大なエネルギーが集まる。
『危険』
M1の声が変わる。
『超高出力エネルギー反応』
『あれは回避してください』
『ギアが耐えられません』
その時。
征人の中で何かが変わった。
世界が遅くなる。
違う。
自分が速くなったのでもない。
時間が見える。
カオスの動き。
砲身の向き。
エネルギーの流れ。
全てが見える。
そして。
頭の中に浮かぶ。
何度も何度も。
何度も何度も。
カオスを切り裂く未来。
「なんだ……」
カオスが呟く。
レーダーが反応しない。
つい先ほどまで五十メートル先にいた閃光ナイトが。
突然目の前にいる。
消えた。
違う。
移動した時間そのものが消えている。
「なっ!?」
ザンッ!!
左腕が飛ぶ。
ザンッ!!
肩の砲台が消える。
ザンッ!!
ミサイルポッドが切断される。
「馬鹿な!」
征人の姿が消える。
現れる。
消える。
現れる。
『征人さん!』
M1が叫ぶ。
『危険です!』
『ギア限界突破!』
『これ以上は保ちません!』
「もう少しだ!」
征人は叫ぶ。
「あと少しで届く!」
コア。
赤橙のコア。
そこへ剣を振り下ろす。
届く。
その瞬間。
パキッ。
ルミナスギアに亀裂が入った。
「え……」
全身の装甲が崩れる。
白い粒子。
光の塵。
ルミナスギアが消滅した。
剣も消える。
征人は人間の姿へ戻った。
「駄目だったか」
征人は笑った。
「殺せ」
カオスが静かに頷く。
「惜しかったぞ」
巨大砲が向けられる。
「あと一歩で俺は死んでいた」
エネルギーが収束する。
「誇っていい」
砲口が光る。
「さらばだ、閃光ナイト」
砲口が光る。
征人は目を閉じた。
(神子)
(制人)
その時。
「駄目!!!!!!」
少女の叫び。
征人は目を見開く。
聞き間違えるはずがない。
「神子……?」
発射寸前のレーザーが止まっている。
見えない何かが押さえ込んでいる。
遠く。
地下のデータ修復カプセル。
眠る神子の指先がわずかに動いた。
停止。
無意識の異能が発動していた。
だが。
長くは保たない。
レーザーが再び動き始める。
その瞬間。
肩に手が置かれた。
懐かしい感触。
「無茶ばっかりしやがって」
征人の瞳が揺れる。
「せ……いと?」
そこにいたのは。
リープの光でできた制人だった。
「俺はもう人間じゃない」
苦笑する。
「ただのリーププログラムだ」
姿が少しずつ崩れていく。
「でもな」
征人を見る。
「お前の兄貴代わりくらいは、まだやれる」
制人が笑う。
「リープ」
光が弾けた。
征人の姿が消える。
直後。
レーザーが地面を貫いた。
大地が蒸発する。
「どこへ行った!!」
カオスが激昂する。
その時。
トレイター・コードの声が響く。
『一旦引きなさい』
『あなたも修復が必要です』
紫黒の渦が現れる。
カオスは舌打ちした。
「次は殺す」
そう言い残し。
姿を消した。
残されたのは。
破壊された市街地だけだった。
今回は征人にとって最も厳しい戦いとなりました。あと一歩まで追い詰めながら届かなかった悔しさ、そして神子と制人が見せた小さな奇跡を書きたかった回です。この敗北が征人たちをどう変えていくのか、次回も見届けていただけると嬉しいです。




