42/48
第十章(11) こんなに幸せでいいのでしょうか
ハロルド様が、
私を好きになってくれたことも、
沢山探してくれていたことも、
お、お嫁にもらってくれたことも、
全部とても嬉しかったのです。
私だって、ハロルド様のもとで生きれて、凄く幸せだった。
たとえ、あの人に監視され、狙われていて、生きれる時間が決まっていたとしても。
でも、私はここで生きていくことは出来ない。
だって、ハロルド様が好きになってくださったのは、今の私じゃない。
屋敷を抜け出して働いていた私じゃない。
「今のアリーナが好きだ」
「・・・・え?」
「刺繍や裁縫が出来るところも、その技術を活かして作った作品を孤児院に寄付していた優しさも、カフェで楽しそうに働いている姿も、美味しそうにケーキを食べる姿も」
「そ、そんなに褒めないでください・・・・」
それは、私が、自分の人生が終わる前に叶えたいことをしていたから。全く予想も出来なかった夢が、叶ったから。
それだけなのに。
「自分でも、知るのが遅過ぎたと思うが、君に恋をしたあの時には知らなかったことを沢山知ったんだ。あの日より、今のほうがずっと、アリーナのことが好きだよ」
ねえ、お母様。
こんなこと、誰が想像出来たでしょう?
私は、こんなに幸せでいいのでしょうか?




