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第十章(6) 公爵様の呼び方
「・・・・ア、アリーナは、私では、不満か?」
「へ?」
「私が、夫では、不満か?」
「そ、そんなことありません!」
もし仮に、私が役立たずであったとしても公爵様が自分のことを好いてくれているのだとしたら。
その場合、私の回答は一つだった。
「私は、公爵様と夫婦になれて、とても幸せなんです。不満なんて、少しも思っていませんよ」
公爵様には、本当に、感謝しかないのです。
少しだけでも、夢を見せていただいた。
「・・・・なら、これからは、その、公爵様と呼ぶのを、やめてくれ」
「ですが・・・・」
「俺の名は、ハロルド・レイルズだ。なんでも自由に呼んでくれ」
これから、があるのですが?
と聞いてみる前に、公爵様にそう言われてしまいました。
公爵様以外、なんてお呼びすれば良いでしょう?
カミラは私と同じ呼び方でした。
違う呼び方をしているとしたら、エリオット公爵ですが、彼ほど私は公爵様と親しいわけでもありません。
だとしたら・・・・
「・・・・ハロルド様」
そう呼んだ時の、公爵様の顔は、少し赤くて、やっぱりハロルド様呼びはやめておこうと思った私なのでした。




