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第十章(5) 公爵様が私に話したこと
「アリーナ、君に、本当のことを話そうと思って」
本当のこと・・・・?
すでに夫婦では無いとか、愛する人がいるとか・・・・。
その時、少し胸が苦しくなったことには、気が付かないことにしました。
「私の事はお気になさらず、なんなりとお申し付けください」
私は、この先、どうしたらいいのでしょう?
ここで働きたい気持ちがないかと言われたら嘘になります。
けれど、ここではまた、公爵様に会ってしまう。私はその時に、お顔を見て接客することが出来るだろうか。
「好きだ」
「・・・・あ、あの、なんとおっしゃいましたか?」
今のは、絶対聞き間違いです。
公爵様が、私のことを、す、好きだなんて、おっしゃるわけありません。
「アリーナ、私の顔を、見てくれるか」
私は、公爵様の言う通りにしました。
「君のことが好きだ」
「え・・・・」
「今も昔も、アリーナのことが、好きだ」
「そ、そんなはず、ありません。公爵様が、こ、こんな、役立たずを・・・・」
「アリーナが役立たず?そんな訳がないだろう?」
「あ、あります!私、令嬢として、何も・・・・」
「それは、俺が、君に、仕事を任せなかったからで・・・・。アリーナは何も悪くない」
こ、公爵様は、本当に、私のことを好きだと言っていらっしゃるのでしょうか?
だ、だとしたら、わ、私は、どのようにお答えするのがいいのでしょう?




