第九章(3) 僕がハルの奥さんを探す理由 By スタンリー・エリオット
「取引をしたくてね」
僕がそういった時、店員は少し怒っているような表情をしていた。
・・・・ふーん、怒るんだ。
何かあるな。
「少女はここに来てないの?」
「ご貴族様であっても、これ以上のことは教えられません。個人情報ですので」
教えてくれない、か。
このお店、やっぱりちゃんとしている。
「・・・・少しの時間だけでいい。お店を閉めておらうことは可能だろうか?」
「え?」
「今から話す話は、外部へ流出しては困るんだ」
「・・・・なぜ、そんな話を私達へ?」
「話す必要があってね」
このお店の人間なら、話しても大丈夫だろう。
手荒な方法は使いたくなかった。
対話で解決に向かいそうで良かった。
僕がハルの奥さんを探している理由は二つ。一つは今回の事件の真相を明らかにするため。もう一つは奥さんにハルの想いを知ってもらうため。
『アリーナ様は、カフェの皆さんをとても大切に思われていました』
さっき、カミラがそんなことを言っていた。
「・・・・わかりました。しかし、まだ、お客様がいらっしゃいます。その方々が帰られてからでよろしいでしょうか?」
「ええ。もちろん」
「リンゼイ、看板を裏返して来なさい」
別のところからコック姿の男が出てきて、僕達にそう言った。
「スタン!どういうつもりだ?」
「え?本当のことを伝えて、奥さんの所在を聞くだけだよ?」
「は?本当のことを話せと?」
お店の客がいなくなるまでの間、何故か僕はハルの質問攻めにあったのだった。




