第九章(1) 気になるお客様と私達の決意 By リンゼイ
カランカラン
「いらっしゃいませ」
扉が開く音を聞いて、私は一人、入口へと向かった。
「三人で、お願いできるかな?」
「三名様ですね、お席をご案内いたします」
このお客様・・・・
私はこのお客様達に見覚えがあるような気がしながらも、普段通りに三人を席に案内した。
「メニューでございます。お決まりになりましたら、お声がけ下さい」
・・・・なんでこんなにこのお客様達が気になるんだろ?
正直なところここで働いていれば色んなお客様が来るわけで、いちいち覚えるなんて不可能だ。さすがに常連さんは覚えているけど。
私のその疑問は、すぐに解消された。
「僕はこの特濃トマトパスタで」
「・・・・俺も」
「パスタですが、麺の硬さはどうなさいますか?」
「じゃあ僕は硬めで」
「・・・・俺も」
このやり取りで、思い出したのです。
あ!このお客様、メイさんに沢山声をかけていたご貴族様達!
けど、今日はもう一人・・・・
「わ、私はえっと、こ、紅茶を・・・・」
「アイスティーお一つでよろしいでしょうか?」
「僕たちも頼めるかな?」
「かしこまりました。特濃トマトパスタ二つ、アイスティー3つでよろしいでしょうか?」
「ああ」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
そう、今日は前回とは違い、もう一人女の人がいた。
女の人は、服は支給服を着ているがメイさんと似たような印象だった。
「お父さん、トマトパスタ二つ。きっと大丈夫だけど、気を付けて」
「わかった」
気を付けて、この言葉はお店を開店する前に決めた、私達だけに通じるメッセージだった。
『気を付けて、怪しい』の略。
もし、このお客様達がメイさんをこのお店から引き抜こうとしているのなら、私は必ず阻止してみせる。
そう思いながら、私はアイスティーを準備するのだった。




