第八章(7) 俺を見てくれる友人の頼み By カフェ店長の友人
「はあ?」
朝早く友達のカフェの店長からかかってきた電話に、俺はついそう言ってしまった。
『今日、君のお店で従業員を雇って欲しい』
「いや、待て。お前、俺の店に従業員を貸し出せるほど、ゆとり無いよな?いつも貸し出さないんだから」
『ああ。無いな』
「ならなんで今日は貸し出すなんて言えるんだよ・・・・」
『言い方を変えよう。貸し出した従業員を今日一日だけ、匿って欲しい』
「はあ?」
なんで、俺が誰かもわからないやつを匿わないといけないんだ。それも、匿わないといけないほど、問題のあるやつを。
「断る」
『これは、友人としてお願いだ。僕のお店の恩人を、匿ってはくれないだろうか?』
・・・・友人として?
恩人を・・・・。
『従業員の給料も、君への謝礼も、全て僕が負担する。だから・・・・』
「わかったよ、引き受けてやる」
『ありがとう』
恩人を助けたいなんていう人間の助けなら、してあげてもいい。
「で、従業員はどうしたらいいんだ?なんの仕事を任せたら良い?」
任せたい仕事なんて沢山ある。なんでも大丈夫だ。こっちは人手不足だから・・・・
『ひと目につかない仕事をお願いしたい』
「ホールを任せられるのか?それは助かる!」
『いや、ホールにすら立ったことがない子だ。できることなら、お前の仕事ぶりを見学させてもらえないだろうか』
「はあ?」
ひと目につかず、ホールに立ったことすら無い子に任せられる場所なんて無い。それに、俺の仕事の見学だと?
『お前の仕事の姿勢は、とても勉強になるだろうから』
「・・・・わかった」
『ありがとう、開店時間には向かわせるよ』
あいつはそれだけ言うと、電話を切ってしまった。
俺の仕事の姿勢が勉強になる。
そんなことを言われてしまったら、俺は断ることが出来なかった。




