第八章(6) 私にとって大切な場所
「だから、メイさん。今日はここではなく別のところで働いてもらえないだろうか」
私はきっともう、ここでは働かせてもらえない。さっきの二人の会話を聞いていてわかった。
奴隷の私を守るというのは、命懸けなのだと。
「・・・・わかりました」
「けれど、今日の仕事が終わってから、もう一度ここに来てくれるかな?」
「は、はい」
きっと、もうここでは働けないというお話だろう。
私、ここでなら別の人生を歩めるのかもしれないって、少し思っていたのに。
やっぱり私は、生きる価値のない人間だったのかもしれない。
「何を思っているかわからないけれど、今日は様子を見て別のところで働いてもらうけど、一日何もなかったら、明日からはまたここで働いて欲しい」
「・・・・え?」
「メイさんがいいのなら、だけど、これからもうちで働いてはくれないだろうか?」
そんなこと、あってもいいのだろうか?
私はきっと迷惑ばかりかけるのに。
「私達から、メイさんを解雇することは無いよ。ひとまず、今日だけは、他のところで働いてもらうしかないけれど」
ああ、やっぱり、店長は良い人だ。本当に優しくて、温かい。
「あ、ありがとうございます。もちろん、働かせて頂きたいです」
ああ、お母様。
私にとって、やはりここは、
貴方との思い出として、
そしてお世話になった人がいる場所として、
大切な場所です。




