ももかのふくしま説明会
自由電子、晴れてまどかさんたちと同じ大学に合格し、高校の卒業証書授与式を終えてから半月ほど経った。この間、つぐみさんがヒキガエルに襲撃されて卒倒し救急搬送され日帰り入院、ラインのアイコンをまどかさんが飼っているカエルの天敵、アオダイショウに変更、後日まどかさんの家に遊びに行ったらそのアオダイショウが彼女の首に巻き付き精神的ショックで卒倒、再び救急搬送されて日帰り入院、アイコンをソメイヨシノに戻すという一連の出来事があった。
今後の予定は、近いうちにいつものメンバーが僕の合格祝いをしてくれるそう。有難い。
平日の20時59分、自室の学習机でスマホを片手にVTuber『うつくしまももか』の生配信を視聴待機中。来る4月1日から始まる福島県への観光促進キャンペーンに伴い、配信頻度を上げているそうだ。
『はいどうもーこんばんももかー! 福島県を応援するバーチャルユーチューバー、うつくしまももかでーす!』
21時00分、予定時刻通りに配信が始まった。定時性の高さも『うつくしまももか』の売りである。
ほんわか穏やかな口調のももかは画面の向こうでこちらに伸ばした両手を笑顔でひらひらと振っている。バック画面は田園風景の向こうに聳える会津磐梯山。多くのVTuberが可愛いバック画面にしているのに対し、我は福島県をPRする者ぞと、わかりやすく提示している。シャツのプリントは赤べこのワンポイント。徹底してわかりやすさ重視だ。
僕は茅ヶ崎名物、湘南江の島タコせんべいをサクサクかじり、上ほうじ茶『白露』をすすりながら配信を見守る。
現在の同接、つまり同時視聴者は10名。ほぼ常連だろうか。
画面下のチャット欄には視聴者たちから『こんばんももかー』と次々とレスポンス(以下『レス』)が寄せられている。
『きょうはですねぇ、お馴染みの視聴者さんには今更といった感じだとは思うんですけれども、4月1日から始まる『ふくしまディスティネーションキャンペーン』に向けて、普段の生活で福島県を意識する機会がない新規のお客さんにも『来て』欲しいということで、福島県についての入門編的な情報をお伝えしようと思いまーす。この配信はアーカイブに残しますのでね、全員常連さんでも何卒お付き合いいただけましたらと……!』
『それではまず福島県の地理について。海側から浜通り、中通り、会津の3つの地方に分かれていて、浜通りの街へはJR常磐線の特急『ひたち』号で東京駅から約2時間。
中通りは東北新幹線の駅が3つ、東京寄りから順に新白河、郡山、福島がありますが、新白河駅にはほぼ各駅停車の新幹線しか停まらないため、東京駅からの所要時間は3つすべての駅で最速1時間少々、東海道新幹線なら静岡県の掛川、浜松、愛知県の豊橋と同じくらいになります』
ここで『掛川にはこだましか停まらないのと同じだね』とレスが付いた。ももかがそれを復唱。『こだま』は東海道、山陽新幹線の各駅停車で、東北新幹線でそれに当たるのは『なすの』と一部の『やまびこ』である。
『そうなんだ。じゃあ浜松と豊橋には『ひかり』が停まるんだね。ああ、福島の宣伝しておいてアレなんだけど、豊橋行ってみたいなー。好きなアニメの聖地でさ、友だちグループが私がふくすまさ帰省している間に行きやがって……』
うつくしまももかの配信では、時折こうして中の人、廻谷巡の素が出る。チャット欄には『素が出てて草』『おーい戻ってこーい』『負けフラグ立っとる』『自ら豊橋送りwww』とレスが連なっている。負けや豊橋送りといった文句は、豊橋が舞台のライトノベルやアニメに関連するものだ。
『おっといっけなーい! 話が脱線しちゃった! 脱線復旧よっこらしょ! ちなみに私負けてないから! 土俵すら見当たらないから! どこどこ私の恋はどこー?
げふんげふん。失礼、えー、気を取り直して、会津へは郡山駅から磐越西線に乗って最も近い湖畔の町で旧千円札の肖像画にもなっている野口英世のふるさと、猪苗代へは30分、城下町の会津若松へは1時間半弱、新幹線と合わせて乗車時間は3時間未満! すごーい! 日帰りでも行けちゃう!
なお、磐越西線ではふくしまディスティネーションキャンペーン期間中、一部の平日では特急『あかべこ』号、カラフルで楽しい列車『あいづSATONO』号を運転。いずれも全車指定席! 必ず座れてうれしーい!
定期列車では快速『あいづ』号が一部指定席で、自由席でも他の普通電車や快速電車より連結車両が多いため、着席しやすくなっているのでおすすめです!
ということで、ここまでは福島県へのアクセスについてご紹介しました! 続いては、福島県には何があるの? についてご紹介します!』




