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私たちは青春に飢えている ~茅ヶ崎ハッピーデイズ!~  作者: おじぃ
つぐみのハプニング

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カエルに睨まれたつぐみ

 春麗らかに花粉が舞い、引き籠もり熱が益々加熱する3月中旬。私、小日向つぐみはいつも通り自室に引き籠もり漫画のラフを描いていた。休講日は概ねこのように過ごし、そのうち半分程度は誰かとお出かけ。先日は武道くんと小出川の河津桜を見に行った。


 しかし漫画をたくさん描いているのに、原稿を公募に出したり出版社に持ち込んだりはしていない。


 あれやこれやと色んな作品を描いては、一向に完結しない。


 よし、きょうはお散歩をしよう。


 行き先を決めず家の外に出た。大量の花粉を含む乾いた生暖かい風が全身を覆う。ベージュのベレー帽、縁の細い眼鏡、白い不織布マスク。可能な限りの対策をする。


 グレーやホワイト、ピンク、エメラルドグリーンといった建売住宅が密集するごく普通の住宅地。憧れの湘南に対して実際に住むことになる湘南といった、空の狭い窮屈な景色。これでも茅ヶ崎市内で最も住みやすいとされる東海岸地区である。駐車場や公園、畑があればそれを宅地造成し、住宅密集地となった。


 そんな地域でもピヨピヨと小鳥のさえずりが響き、見上げればホーホホッホホーと呑気な声のキジバトが電線に留まっている。


 キーンと音をたて巻き上がる春風。河津桜は散り、じきにソメイヨシノが咲き始める。


 裏道を抜け、ラチエン通りのドラッグストアで消耗品を購入し、そのまま南下する。コンビニが移転したのは痛手である。


 自転車屋さんの前で再び裏道に入り、住宅密集地を歩く。風が強くて下を向く。




 大きなカエルが、こちらを見上げている……!



 んんんんんん!? どうしよう、どうしよう、エジプト座りでいまにもジャンプしそう!


 アマガエルのような緑ではなく、マムシのような茶色系を中心としたマーブル模様。混沌の極みである。悪辣で禍々しい模様なのに、純真無垢な潤んだ瞳……。


 なぜこのような場に、私が出くわすのか。


 いや、私の周り、出くわしたところで気にも留めなかったり、むしろ喜んじゃったりする人ばかりだ。


 動けない、脚が震えている、完全にロックオンされている。


 自転車が通過する。もちろん助けてはくれない。何立ち止まってるんだ怪しいヤツめ、といったところだろう。




 そして、運命の瞬間ときが訪れた___。




 ベチャッ! カエルの腹が私の額にがっちり付着! 滑降して眼鏡とマスクを引きずり下ろしてゆく。


「んむんんんんんんーっ!!」


 つぐみ、オーバーキルで昇天。アスファルトに倒れ込んだ。


 目を覚ますと、知らない天井があった。

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