神崎は私が貰う
お昼にて
「神崎。お昼空いてる?」
と田端さんが席に来る
う~ん。一緒に食べたいけど、やっぱり桐島さんとなかよくなって欲しいよね!!
「いいけどさ、桐島さんも一緒でもいい?」
「……なんで??」
田端さんの目がいつもより黒く見える
「やっぱり桐島さんとも仲良くなって欲しいからさ」
「……私には神崎がいたらそれでいいんだけど」
いや、ダメだからね??なんでそうなるの??
「えっと……ダメだからね??」
「なんで??」
「え、だって僕とずっと一緒にいる訳じゃないでしょ?」
「……そんなことないよ?」
「え?そ、そんなことないの??」
「うん。そんな日は来させないよ」
……あれ、なんか様子おかしくない??
「ん……ん?」
「あはは」
「……ここで話す事でもないかもね?」
見回してみると、みんなから見られていることが分かる
「それもそうだね。んじゃどっか行こ」
「桐島さんとね!!」
「えぇ……」
「桐島さんと!!」
「……ん」
廊下を二人で歩く
「田端さんって桐島さんのこと苦手?」
「苦手と言うほど話したことないからなんとも」
「話してみたら案外いい人かもよ?」
「その可能性も捨てきれないけど、仲良くはなれないかも」
「え~なんでよ。仲良くやろうよ」
「仲良くヤろうよ?」
「ん?」
「あ……、な、なんでもない。気にしないで」
「そう?でもなんで仲良くなれないかもなの?」
そういうと田端さんはねっとりとした目線を僕に向けて、舌なめずりをする
「とある光景が脳に焼き付いてるからだけど……まぁ、私だけのもあるし、許さなくもない」
ん?どうしたんだろ
「ふ~ん。よくわかんないけどいい景色見ると落ち着くもんね」
「確かにいい景色だし独り占めしたいけど、落ち着きはしない。正反対」
「え、うん?」
いい景色見てるのに落ち着くの正反対?田端さんなかなか前衛的な人だった?
そんなことを考えていると桐島さんを廊下で見つける
「あ!桐島さん!」
そう言って桐島さんに近づく
「神崎くん。どうしたの?今日も行く?」
「桐島さん??行くって何かな??」
神崎の真後ろにピッタリくっついて眉をぴくつかせながら田端さんは桐島さんを見る
「あ、いたんだ」
「そんなことより行くってなんの事かな??」
「あんたには関係ないことだよ田端響さん?」
「それを決めるのはあんたじゃないと思うけど」
「私が決めたら何か不都合でも?」
桐島さんもそれに答えるように、どこから出してるかも分からないくらい低い声を出す
「あっそ。ま、いいけど。」
そう言った田端さんは僕の脇の下から手を通して前で両手を結ぶ
「ちょ、ちょっと田端さんみんな見てるから」
流石に見られながらだと少し恥ずかしいな……
「別にいい。見せつけといた方が私は気持ちいい」
「……あんた、なにしてんの??」
「見たまま。お目目ついてるよね桐島朱莉さん」
「着いてるから聞いてるんだよ?頭着いてる?」
「どこからどう見ても着いてるよね?やっぱり
お目目着いてないんだ」
「あぁごめんなさいあまりにもふざけたことを
ぬかす頭だったから、頭だと思えなかった」
「きゃー怖い怖い。神崎にくっついてないと泣いちゃいそー」
そう言って僕に更に力を込めて抱きつく
「そろそろ……いや……はぁ~」
桐島さんは拳をブルブルと震わせ、爪が手のひらに食い込むほど強く握りしめて下を向く。
何か殺意に満ちた言葉を飲み込んだのか、神崎の顔を一瞥して深呼吸で無理やり怒りを抑え込む。
「た、田端さん?僕たちは仲良くなりに来たんだよ?こんな険悪な感じじゃダメだって」
「そう?仲良いよ私たち。ね?桐島朱莉さん?」
「ハッ!……そんなわけないじゃん。赤の他人。神崎くん置いてどっかいって欲しいかな!」
な、なんかめっちゃ仲悪くない!?なんで!?
「い、一旦はなして?ね?」
「……少し待って」
そう言って田端さんは首筋に顔を埋めて大きく息を吸って僕を離す
「全然足りないけど……まぁ、いいよ」
それを見た桐島さんは眉間にしわを寄せて言う
「……てめぇ、神崎に何してんだ?」
ん!?桐島さんブチ切れてない!?
怖いんだけど!?口調が……神崎って言ってたし
「怖いよ。落ち着きな、ね。カルシウム足りてないんじゃない?」
「だったらあんたは脳みそ足りてないんじゃない?」
「聞き捨てならないね。なんでそんなに私にイライラしてトゲのある言葉しか吐けないの?図星だから?」
「は?図星?ふざけないでよ、田端さんが神崎くんにベタベタしてるから少し心配してただけだから」
「へんなの、ねぇ?あんた、そんなんだからこれからもせいぜい学校の中だけの『同学年の女』止まりだよ、あーあ可哀想。泣けてくるね」
「この尼が……ッ!……そもそも男子にそんなことしていいと思ってんの?」
桐島さんと田端さんは互いに眉をピクピクとさせて睨みつける
「そりゃ、私だって知らない男子とか、興味ない男子にはこんな事しない。神崎だからやる」
「じゃあ、私もやっていいってことだよね」
「んぇ!?ちょ!?」
そう言って桐島さんに引っ張られて体に顔を埋める
「その理論なら私がやっても変じゃないよね?」
田端さんが下を向いてボソッと呟く
「……チッ、クソが」
「きゃー怖い怖い。神崎くんこんな人と一緒にいたらダメだよ。勝手に怒って自爆して、最終的に神崎くんのことまで縛り付けようとするメンヘラだよ? めっちゃくちゃに犯されちゃうよ?」
「田端さんはそんな人じゃないよ。ね?田端さん?」
神崎が無邪気にそう振ると、田端さんは少しだけバツが悪そうに顔を逸らして呟く。
「もちろん、そんなこと……しな、い」
「……最後の言い方絶対嘘でしょ。怪しい。神崎くんは、私が全力で守る」
桐島さんはそう言って眉をひそめて僕にさらに力を込める
「神崎だって私がそんなことする人じゃないって言ってるでしょ?信じないの?」
「神崎くんはピュアでふわふわ系小悪魔男子だからどんな誘いもホイホイ着いて行く。だからそこら辺の自己防衛本能は一切信用できない」
……僕の属性多すぎない??なにピュアでふわふわ系小悪魔男子って、変なやつじゃん。
「あ゛?あんたが神崎の何知ってんだよ」
「あんたこそ神崎くんの何知ってんの?」
「そりゃ……ね?」
田端さんが見下げるように片眉を上げて桐島さんを睨みつける
「……まじで、なんなの」
桐島さんは息を荒くする
「ちょ、桐島さん落ち着いて」
そう言いながら両頬をぺたぺたする
「……神崎くんは優しいね」
……ねぇ!ダメなやつな気がする!なんで!?
「神崎、そっちは危ない。こっちおいで」
「ハッ、どの口が言うの?神崎くんを貪ろうとしてるくせに」
「そう言うってことは、あんたはそういう考え方を持ってるってことでしょ?」
「そんなわけないでしょ?あ、もしかして思ってたこと言われて焦ってる?怖い怖い」
「あんたこそ、口を開けば『縛り付ける』だの『めちゃくちゃに犯されちゃう』だの『貪る』だの、頭の中それで埋め尽くされてて、真っピンク……いや、真っ黒なんじゃないの?」
「下半身に脳みそついてるようなやつに言われる筋合いはないかな?田端響さんは口を開けば性関連、悪口。ほんとにまともなのはどっちなんだろうね??」
「議論の余地もない。私が正常であんたは異端。アブノーマルは隔離だよ。なんでここにいるの?」
「まじで、まじで……マジデ、この……この、」
桐島さんが眉間に皺を寄せてプルプルと震える
静かになった場にはヒソヒソ声が響く
「き、桐島さん?」
そういう僕を少し赤みがかった顔で見つめる
「……」
「……桐島さん、落ち着いて。大丈夫だから」
そう言うと桐島さんは深く深呼吸をして言う
「……ごめん、神崎くん。私、無理だ」
そう下を向いて言う
「な、何が?」
「……今は、冷静さを欠いてるから、話し合いできない」
「そ、そっか。よく頑張ったね。」
このままだと……やばそう!!僕の胃が!!
「……田端響さん。今日は戻る。また、話そ」
「別にいいけど、神崎は貰う」
田端さんがそういうと桐島さんがドスの効いた声で答える
「黙れ」
そう言って桐島さんは僕の手を握って走り出した
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