捕食
「え、えっと!?」
「昨日からずっと、ずっとずっとずっとずっとずっと思ってたんだ。神崎のこと」
田端さんは口は笑っているが真っ黒な目でこちらを見つめている
粘膜とか……あれ、今度こそ終わった??
「ぼ、僕のこと思ってたの……?」
「うん、学校であの……えっと、桐島?だか言うやつに連れていかれてるの見た時さ私思ったの」
そう言ってコップを隣の椅子に置き、神崎の顔に手を置いて親指で唇を撫でる
「あぁ、本で読んだりネットで見たりした人の黒い感情って創作じゃなくてほんとなんだって」
そう言うと田端さんはニコッと笑う
「それからずっとあの光景が脳に焼き付いて離れない。目を瞑ってもずっと離れないし、モヤモヤって言葉だけじゃ言い表せないくらいムカつく」
「……な、なるほど」
「だから、あんな思い出を塗り替えるくらいに官能的で、エロくて、独占的な体験をしないと」
田端さんは至近距離で僕の目をのぞき込む
「割に合わないと思わない?」
そう言って田端さんはコップをもつ
普通に怖いんだけど!?頭痛いしめちゃくちゃ!
で、でも僕が悪いのも納得できてしまう……とはならないよ!!僕悪くないって!!
「それじゃ、お茶、飲ませてあげる」
「ちょ、ちょっと待ってよ、猫山さんは?」
「あの女は書類関係で忙しいよ。外にも行かなきゃらしいから。」
「……てことは、家には────」
「私たちだけ。でも、あの女は悪くないんじゃないかな。書類今日までだし、学校側から私は安全とかいう根拠もない薄っぺらな評価だったから」
田端さんは息を荒くさせて言う
「はは、そそるね。……でも、安心して。全部終わったら……いや、私がある程度満足したらちゃんと片付けして、猫山さんだっけ?にバレないようにして引き継いで行くから」
田端さんは深呼吸をする
「じゃあ、お喋りはここまで」
……ダメだ、全然頭回らない、ここで断ったら……何となく文字通り身体中犯される気がする……抵抗する力もないし、ここは諦めかな、
そう思い僕はいっその事、目を瞑る
「あぁ……あはは、すっごいいい、私だけの景色……誰にも、渡さない」
田端さんは神崎の口の中に人差し指を入れてからその指を自身の口に入れ、息を激しくさせる
「神崎はさ、誰ともキスしたことない?」
「……ないかな。誰ともキスしたことない」
「そっか、はは。いいね、新品。その新品をこれから私の使用済みにする……あぁこれ以上ない」
そう言って田端さんは口に水を含ませると、僕の唇へと吸い寄せられるように触れた。
彼女の黒い瞳には、理性などという綺麗な言葉では括れない、どろりとした独占欲が渦巻いている。
「……んっ、あ……っ」
唇が重なった瞬間、お茶の温かさと、それ以上に熱い彼女の舌が、強引に僕の口内を侵食してきた。
……ちょっと、やばいかも
田端さんの舌は、僕の舌を捕らえると、まるで逃がさないとばかりにねちっこく絡めてくる
口の中という極めてプライベートで湿度の高い空間で、粘膜同士が密着し、離れるたびに「ちゅぷっ」と卑猥な音を立てて糸を引く。
「んむっ……ちゅ、ちゅぅ……っ!」
僕の口の隅から隅まで犯さんとする舌に、僕は抗いようのない圧を感じる。
お茶の味なんてとうに忘れ、ただ田端さんの唾液と、彼女の吐息、そして口内を支配する田端さんの熱だけが、感じられていく
そして僕の舌を執拗に吸い上げ、口の端の隅々まで、まるで僕という存在を隅々まで味わい尽くすかのように舐め回される
「んぐっ……っ、ぁっ……!ぷはっ……田端さん、もう……」
「はぁ……はぁ……、まだ、全然、足りない」
そう言ってまた唇を重ねてくる
呼吸をしようと口を離そうとしても、今の田端さんがそれを許すはずもなく腕を頭に回して動けないようにする。
そして彼女の手が僕の首筋からシャツの中へと滑り込み、背中のラインを爪先でなぞった。その刺激が背筋に走るたび、口内の接触がより一層激しくなる。
「……あはっ、神崎、すごい……口の中、私でいっぱいだね……」
唇を離した瞬間、銀の糸を引く唾液が僕の口元から田端さんの口元へと伝う。彼女は親指で僕の濡れた唇をなぞり、それをを自分の口へと移し取った。
「まだまだ全然足りない。こんなんじゃ私の乾きは潤せない。私のを、神崎のを、全部交換しよ」
彼女は恍惚とした表情のまま、もう一度僕の唇を塞ぐ。
何度も、何度も、キスをして、また強く重なる。
そのたびに僕の口の中には田端さんの唾液が入り、田端さんは僕の全てを奪うというかのように、ねちっこく僕の唾液を飲み込む
僕の意識は、もはや犯されていると言っていいような状況を受け止めきれないのと、高熱のせいで薄れている。
すると田端さんがようやく口を外す
「はぁ……はぁ……」
僕は息が荒くなっていた
田端さんはそれを見ながら自身の唇をなめる
「神崎美味しい……ほんとに、美味しい」
そう言うとまた軽く唇を重ねてくる
「んっ……ちゅっ……はぁ……」
田端さんが恍惚とした表情のまま、更に息を激しくさせ、腰を揺らす
「はぁ……はぁ、」
田端さん、勢いがすごい……ほんとに初めてなのかな
「ねぇ、はぁ……田端さん」
田端さんがまたディープキスで舌を絡めてくる
「んちゅる……んくっ。あ、なに?」
顔を赤く染めて聞き返してくる
「田端さんって、ほんとにキス初めて?」
僕の問いに、彼女はきょとんとした表情を一瞬見せ、すぐにまた僕の唇に口をつけ、舌でこじ開けてくる
「……んくっ。……え?なんでそう思ったの?」
淡々と聞き返してくるが合間合間にキスの雨が降ってくる
「んっ……、なんか、勢い凄くて、っ」
「────っはぁ、あ、え?んっ……はぁ……あ、答えてなかった、私も初めて。キス処女卒業」
……この世界だとそう言うんだ。なんか新鮮
そんな状況じゃないのに熱のせいか危機感なくそう感じる
その間にも田端さんは唇を寄せて舌を絡めさせる
「────っはぁ、マジでいい、満たされる」
田端さんはキスの度にゴクリと僕の唾液を飲み込む
……キスってこんな感じなの?僕が熱のせいかもしれないけどさこれって捕食じゃない??
あれ、てかなんで僕今キスしてるんだろ、抵抗できないのかな……
そう思いできるだけ力を加える
「ん?もしかして抵抗しようとしてる?」
そう聞いてきてすぐにたま唇を重ねて舌で蹂躙してくる
「んくっ。はぁ……無駄だよ?私、強いもん」
「……なんか、視線霞んできた」
「え、水飲める?」
「……多分」
そう言ってまた田端さんは口移しをしてくる
冷たいはずのお茶は田端さんの体温で少しあっためられて、田端さんの唾液とともに流れてくる
「んっ……ぷはっ……、どう?」
「んくっ……、あ、ありがとう?なのかな?」
「感謝されちゃった。もっと、してあげるよ」
そのままどれだけか分からない間、何回、何十回かはたまた何百回と田端さんと唇を重ね、舌を絡めて唾液を飲まれる
「……はぁ、はぁ、はぁ……あぁ、生きてる」
「……田端さん、体力ありすぎ、死ぬ、」
僕は薄れる意識の中そう言う
「まだまだ全然足りないから」
そう言ってまた唇を軽く重ねてきて言う
「ねぇ、人間ってさ水がないと生きていけないの」
田端さんは当然かのように言葉を切らせる度に舌を絡めてくる
「────ぷはっ、だからさ、私の水は神崎なの」
「何……言ってるの」
「あは、確かに。んっ。おかしいこと言ってるかも。でも、もうなんか、自分だと止められなくてさ」
そう言うと田端さんは僕の上で腰を激しく揺らしてからビクン!と一瞬反り返ってからしばらく下を向いて、ビクンビクンと大小様々に痙攣する
「あっんッッッ。ふぅ……ふぅ……んっ……。
あ、えっと、どこまで言ったっけ……あ、そうそう。自分だとなんか止められなくて」
田端さんは僕の手を持って自身のお腹において、円を書くようになぞらせながら言う
「その、なんだろ。脳の深い所のリミッター的なのが外れて、ここら辺?かは分からないけど深いところが耐えられなくなってきてる。キュンキュンってして、トロトロしてるのが何となくわかる」
そう言うと手を離してまた唇を重ね、舌を入れてくる
「ぷはっ……。わたし、あんなに何回もずっと
キスするの絶対創作だと思ってたし、キスすることもないと思ってた。でも、違った。」
そう語る口元には、神崎の口へと続く銀色に光る橋がある
「……何が」
僕はそこで意識を手放しかけて、最後に聞こえは言葉は
「こんなによくて、気持ちいいなんて、知らなかった。私、まだまだ足りないから。
陸、覚悟してね」
そう言ってからまた蹂躙される感覚を微かに感じた
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