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ゲテモノと悪魔

ぶはっ……あがっ、げほっ!?」次に意識を取り戻したとき、私はコンクリートの冷たい地面にぶっ倒れていた。


電子の世界からは、なんとか脱出できたらしい。……が、

身体が異常に熱い。

指示通りに動いたはずなのに、最悪なことに、左耳と左肩の怪我はまったく治っていなかった。

それどころか、感覚がはっきりと戻るにつれて、信じられないくらいの激痛がぶり返してきた。

「う、あ……痛っ、クソ……っ!」ドロリとした温かい血が、今もダラダラと流れ落ちて地面を赤く染めていく。

私は痛む頭を必死に押さえながら、這いつくばった状態で、ふと視線を上げた。


そこは薄暗く、ひんやりとした路地裏だった。

何気なく顔を巡らせたその時、建物の壁に掲げられた、

やたらとお洒落な看板が目に飛び込んでくる。

(……あれ? ここ、見たことある……)痛みの霧の向こうで、私の脳裏に、大好きなあの人の姿が浮かび上がる。

(あ、ここ……。けり先輩がいつもつけてる、あのネックレスのブランドショップだ……!)なぜ夢喰堂ではなく、こんなお洒落な場所に直結していたのかは分からない。

しかし、ロマンチックな感傷に浸っている暇はなかった。

ここはお洒落な表通りから一歩入っただけの、普通の路地裏なのだ。当然、買い物を楽しむ一般の市民たちが普通に行き交っている。ふと、こちらに気づいた買い物客の市民と、バッチリ目が合った。

「うわ、こわW 何あれ、新しい悪魔? クオリティ高すぎ」「ウケる。血の量ハンパなくね? 写メ撮っとこ」市民たちは怯えるどころか、ニヤニヤと笑いながらスマホのカメラをこちらに向けてくる。そりゃそうだ。ここは20XX年。悪魔や異常気象すら日常に溶け込み、もはや誰も怪異を怖がらなくなった空気みたいな世界だ。耳と肩を切り落とされてリアルに血塗れになっている男が転がっていても、みんな「よく出来たゲテモノ系の悪魔」か何かだと思って、笑って素通りしていく。(笑い事じゃないんだよ……! こっちはガチの人間でガチの重傷なんだわ……!)誰も助けてくれない狂った日常に心の中で全力でツッコミを入れながら、私は震える手でスマホを引っ掴み、画面の血を拭いながら110番を押した。「あ、あの! 人が、私が、耳を切り落とされて……!」必死に状況を伝えてから、わずか5分後。本当に5分しか経っていない。いくらなんでも早すぎる。ただの勘で近くを巡回していたとしか思えない驚異的なスピードで、路地裏に一台のパトカーが滑り込んできた。

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