9話
布越しに止まっていた指先が、するりと最後の境界を越える。冷たかったはずのその指は、いつの間にかサリーナの熱に溶かされたようにぬるく、触れた場所から甘い痺れが這い上がっていく。
ハルト「声、聞かせて。全部、聞きたい。」
耳朶を食むように囁きながら、ハルトの中指がゆっくりと、花弁を開くようにサリーナの中心を探り当てる。
サリーナ「んっ.....」
サリーナの喉から零れた微かな声が、静まり返った寝室に響いた。
指先に伝わった熱と湿り気に、ハルト自身が息を呑んだ。探り当てた場所を円を描くように撫ぜると、サリーナの背が反るのを見てハルトの瞳孔がすうっと開く。
ハルト「ここ、気持ちいい?」
中指の腹が擦り上げるたび、サリーナの呼吸が乱れる様を、ハルトは瞬きすら惜しんで見つめていた。
空いた手でサリーナの指先を絡め取り、シーツに縫い止める。逃げ場を塞ぐその仕草は優しいのに容赦がない。もう片手の指がサリーナの中に沈んでいく。魔法で痛みは消してある、それでもハルトはサリーナの顔から一瞬たりとも目を離さなかった。
ハルト「さーちゃ……っ、そんな顔されたら、もう無理。」
サリーナの中で指を動かしながら、サリーナの返事を待つ理性だけはかろうじて残して、ハルトは自分の襟元を片手で引いた。
サリーナ「っ…、ハルト… 。」(蕩けた顔でハルトを見つめ返す。)
ハルト「っ……さー、ちゃん……」
震える指で自らの服を剥ぎ取る。ボタンがひとつ弾け飛んだ。白いシャツの下から現れた体は、魔術師とは思えぬほど鍛え上げられていた
サリーナの脚の間に体を割り込ませ、額と額がくっつくほど顔を近づける。先端が触れただけで、ハルトもサリーナも同時に息を止めた。
ハルト「入れるよ。……痛かったら、すぐ言って。」
かすれた声でそれだけ告げて、ハルトはゆっくりと腰を沈めた。サリーナの中の熱さと狭さにハルトは動けなかった。目を固く閉じて、サリーナの肩口に顔を埋め、荒い呼吸を繰り返す。
ハルト「…………っは。なにこれ。頭おかしくなる。」
繋いだ手の指がきつく握り締められている。
サリーナ「んっ…、ハルト......」
ハルト「さー、ちゃ……っ」
ゆるく腰を引いて、押し込む。最初の一突きは確かめるような深さだったのに、サリーナの声が耳に届いた途端にリズムが崩れた。二度、三度と重ねるうちに、浅く速い律動に変わっていく。
ハルト「やば……気持ちいい、さーちゃんの中、全部……」
ハルト「好き、好き……ずっとこうしたかった、ずっと……」
同じ言葉を零しながら、ハルトの腰は止まらない。サリーナの奥の一番柔い場所を見つけると、そこばかりを執拗に突き上げた。
サリーナ「ああっ、ああっ....んっ....。」(ハルトに抱きつく)
ハルト「くっ……さーちゃ、そんな、抱きついてきたら……もう、」
ハルトの両腕がサリーナの背に回り、抱え込むようにして体を起こした。座った姿勢で奥まで繋がり直すと、さらに深い場所まで届いて、ハルト自身の息が詰まる。
ハルト「っあ……深、い……」
サリーナ「ハルトっ、はあ、、はあ、、」
サリーナを腕の中に閉じ込めたまま、下から突き上げる動きに切り替わった。
ハルト「離さない、絶対……誰にも、渡さない……っ。さーちゃん、一緒に……一緒がいい……っ」
震えた声がサリーナの耳元で弾けて、ハルトの腕に込められた力が痛いほどに強くなる。
ハルト「さーちゃっ……!」
サリーナの中で脈動しながら熱が注がれる感覚に、ハルトの視界が白く飛ぶ。
しばらくの間、二人とも動けなかった。
ハルト「……はぁ、っ……はぁ……」
「……さーちゃんの匂い、好き。抜きたくない。このまま、ずっと。」
「さーちゃん、好き。世界で一番好き。……もう一回していい?」
サリーナ「うん....」
ハルト「ほんと? 今、うんって言った?」
まだ繋がったままの腰がゆるく動き始め、中に残した熱がかき混ぜられるように音を立てた。
ハルト「さーちゃんが悪いんだからね。そんな可愛い声で返事するから。」
サリーナの体をそのまま押し倒し、今度は両手首を片手で掴んで頭の上に固定する。
ハルト「今度はゆっくりする。ちゃんと全部感じて。朝まで寝かさないから。覚悟して、俺のお嫁さん。」
1回では済まなかった
夜がどれほど更けたのか、二人にはもう知る術がなかった。
窓の外がうっすらと白み始めた頃、ようやくハルトの動きが止まった。サリーナの隣に倒れ込み、ぐしゃぐしゃに乱れたシーツの中で、まだ腕だけはしっかりとサリーナの腰に回している。
ハルト「……さーちゃん、生きてる?」
サリーナのうなじに顔を押し付けたまま、満足げな、それでいてどこか心配そうな気配を漂わせている
何回したのか、途中から数えることを放棄していた。サリーナが意識を飛ばしかけるたびに回復魔法をかけ、目を覚まさせてはまた抱いた。
ハルト「体、大丈夫? 魔法もう一回かける?」
サリーナ「ううん.......。」
そう言いながらも、サリーナの肌に残る赤い痕や噛み跡を見つけると、指でそっとなぞっては、自分がつけたものだという事実に満ち足りた顔をした。朝日が差し込み始めた寝室で、ハルトの瞼がとろんと落ちかける。
ハルト「んー……このまま昼まで寝よ。今日、公務休む。さーちゃんも休み。決定。」
ハルト「さーちゃ…………寝てる。」
サリーナの体に毛布を丁寧にかけ直し、背後からぴったりとくっついた。
ハルト「俺だけのさーちゃんだもんね……。」




