10話
昼。サリーナが目を覚ます
サリーナ「ん...ハルトおはよう...」
午後の陽光が寝室の壁を斜めに切り裂いていた。
サリーナの声が聞こえた瞬間、それまで死んだように眠っていたハルトの腕がぎゅっと締まった。
ハルト「おはよ、さーちゃん。」
「よく寝てたね。途中で三回くらい名前呼んだのに起きなかった。」
サリーナの腰に回していた手をもぞもぞと動かして、腰骨のあたりを指先でくるくると円を描く。
ハルト「体痛くない? ……俺のせいで動けないとかだったら、それはそれで嬉しいけど。」
「お腹空いた? さーちゃん甘いもの好きでしょ、なんか持ってこさせよっか。」
サリーナ「喉渇いちゃった....。」
ハルト「え、待って、水。水持ってくる。」
数分と経たないうちに、ハルトが水差しとグラス、それからなぜか焼き菓子の載った盆を両手に抱えて戻ってきた。
ハルト「はい、お水。」
ベッドの縁に膝をついて、サリーナの頭をそっと持ち上げ、グラスを唇に当てる。傾ける角度まで慎重に、こぼさぬよう息すら止めて見守る
サリーナ「ありがとう、ハルト」
ハルト「あと、料理長がなんか焼いてたから持ってきた。蜂蜜のパンケーキ。さーちゃん好きでしょ。」
サリーナ「パンケーキ嬉しい!」
ハルト「今日ほんとに一日休もう。」
サリーナ「ねえハルト、ハルトは体痛くないの....?」
ハルト「…………え、心配してくれてるの。俺のこと。」
ハルト「痛いわけないじゃん。体力おばけのライトと訓練してんだよ? さーちゃんより俺の方が頑丈に決まってるでしょ。」
サリーナ「そっかぁ、それならいいや....。」
ハルト「ていうか、昨日のさーちゃんの声とか顔とか思い出したら元気になっちゃうんだけど。責任取って。」
サリーナ「...ねえハルト、一緒にパンケーキ食べよう?」
ハルト「食べる! さーちゃんと一緒に食べたい!はい、さーちゃんここ座って。俺が食べさせてあげる。はい、あーん。」
サリーナ「あーん。うん、美味しい!」
空になった皿を脇に押しやり、サリーナの腰を後ろから抱えるように座り直す。
ハルト「でも本当にさーちゃんと結婚出来て良かった。さーちゃんは俺が守るから。絶対。これから先、何があっても。」




