6話
翌朝。ハルトは国王に呼ばれた
国王「ハルト、よく来た。お前に話がある。サリーナとの婚約の許しを出そう。お前が望んでいたことだろう。」
ハルト「……本当ですか。」
国王「ああ。ザルハーンの件もある。サリーナをこの国に留める理由も必要だ。それに、お前があれほど望むなら、父親として否とは言えん。」
ハルト「必ず、姉上を……サリーナを、幸せにします。」
国王「ハルト。この婚姻は、お前たちの気持ちだけの話ではない。ザルハーンがサリーナの回復魔法を狙っていることは、もはや明白だ。
あの国が諦めるとは思えん。だが正式にお前と婚約が結ばれれば、他国への牽制にもなる。
我が国の王女はすでに相手がいると示すことでな。近日中に、ニマルディア国内、そして周辺諸国にも発表する。
式の準備も並行して進めよう。よいな?」
ハルト「承知しました。発表がいつであろうと、俺がやることは変わりません。姉上を守ります。誰にも渡さない。……姉上には、俺から伝えても?」
国王「ああ、お前から伝えなさい。それが筋というものだ。」
転移魔術でサリーナの部屋の前に直接飛んだハルトは、自分の結界を解いて中へ入ると、朝日の中でサリーナが窓際の椅子に座っているのが見えた。
ハルト「さーちゃん。国王陛下から、許しが出た。」
サリーナは椅子から立ち上がり
「ハルトおかえり。……許し?」
ハルトはサリーナの手を取って、両手で包む。指先がかすかに震えていた。
「俺と、結婚してください。他の国に知らせるためとか、そういう理由もある。でも俺は、そんなの関係なく……ずっと、ずっと前から大好き。」
サリーナ「えっ………?!(涙が溢れる)」
サリーナの目から涙がこぼれた瞬間、ハルトは包んでいた手をそのまま引き寄せて、抱きしめる
ハルト「泣かないで……いや、泣いていい。俺もなんか、だめだ。嬉しすぎて。」
ハルトは少しだけ体を離して、涙で濡れたサリーナの頬を親指で拭う。
「式、ちゃんとやろう。さーちゃんに似合うドレス、一緒に選びたい。全部俺に任せて。」
婚約の発表は、国王の予告通り迅速に行われた。使者が各国へ書簡を携えて飛び、城下町には祝いの旗が掲げられた。ニマルディア王国の王子と王女の婚姻は、人々の頬をほころばせた。
午後、仕立て屋を王宮に呼びつけて、サリーナのためのウェディングドレスの生地見本を広げていた。白絹、銀糸、淡い青。どれもハルトが自ら選んだもの。
ハルト「これ、さーちゃんの青い目に合うと思うんだけど。」
一枚の布を持ち上げて光に透かし、サリーナに当てがうように肩の高さに掲げる。
「さーちゃんが一番きれいに見えるやつにしたい。」
サリーナ「ねえハルト。ハルトと統一感出したいな」
ハルト「(少し考えて)…俺と統一感。それいい。すごくいい。じゃあさ、俺のにさーちゃんの目の色入れよ。青とか。」
「それでさーちゃんは俺の色をどこかに。目とか、俺の髪の色。お互いがお互いを纏うみたいな。」
サリーナ「お互い髪の色が銀色だから、銀色いれるのは?」
ハルト「あはは!それだとどっちの色か分かんなくなるじゃん。でも、いいかも。銀の刺繍、互いの衣装に入れて。それと、裏地の色だけ変えよう。俺はさーちゃんの瞳の色で。さーちゃんには俺の瞳の色。」
(使用人達はハルトの笑顔を見て驚いている)
ハルトの衣の裏にはサリーナの青が、サリーナのドレスの裏にはハルトの黄が潜むということだ。
ハルトは「見えるとこは派手にして、見えないとこでこっそり繋がってるの。なんか……いいでしょ?」
サリーナ「それすごく良いね。楽しみ!」
そうして婚約発表から数日後、結婚式当日になった




